こんばんは、勇者。
やあ、こんばんは、勇者。今日は月が綺麗な夜だね。こんな夜に会いに来るなんて、結構ロマンチスト?……単にミノタウロス倒すのに時間とられて遅くなっただけ?なら、一回町に帰ればいいじゃん。
まさか私に殺されたら教会に飛ばされるし、移動が楽!とか言わないよね?……素直でよろしい!
あーあ。こんな夜を、こんな無骨な奴より、素敵な王子様と踊って過ごしたりしてみたかったなぁ。
いや、笑わないでよ。私だって女の子らしい願望はあるもん!……まあ、魔王になっちゃったから、そもそも会いに来るの、君しかいないけど。あー。もっと勇者がイケメンだったらなぁ……いや、何でもない。ホントダヨ。
え?魔王になる前は、何してたかって?……ふふ、秘密だよ。ほら、女は秘密をまとって綺麗になるっていうじゃん。まあ、いつかは教えてあげてもいいけど、ね。
あ、そうだ。一緒に踊ってみない?……いや、それ、いつもの殺し合いじゃん。もっとこう、優雅な音楽に合わせて、綺麗に着飾って、憧れの人と踊る……憧れない?憧れないか。ふーん。ま、演奏してくれる人たちもいないし、君の恰好、踊るには血生臭すぎるもんね。
私はいつもドレスだから、問題ないけど。
じゃ、そろそろいつも通り、踊る?君、今日は珍しく突っ込んでこなかったじゃん。……ははーん。もしかして、月に照らされた美人、魔王ちゃんに見惚れてたな?違う?ほんとかなー?顔、赤いよ?ふふ。
今日は私も剣使おっと。その方が舞ってる感じしない?まあ、かなり久しぶりに使うんだけどねー。実は、昔は剣の方が得意だったんだ。魔王になって魔力上がったから、魔法使ってるだけ。楽だし。
じゃ、お手柔らかに、よろしくね?
ふふ、今日はいつもより楽しかったかも!楽しくない?ふーん。私は楽しかった。こんな夜に会いに来てくれて、ありがとうね。凄く嬉しかった。きっと、この記憶は忘れずにいられる、そんな気がする。
……じゃあ、おやすみ。




