靖康
靖康の変 語り/韓世忠
「皇子、こちらです」
開封が落ちた。先帝と皇帝陛下は金に捕らえられてしまった。だが、簡単に宋を終わらせるわけにはいかない。
構皇子を連れ、南へ逃げる。そこでなら、また金と戦える。
土地があればあとは優秀な将がいる。
岳飛殿は、力を貸してくれるだろう。方臘戦にて共に戦った梁山泊軍も、協力してくれないだろうか。多くが死んでしまったが、生残りにも強者はいるだろう。
とにかく、国がなければいけない。そしてそこには、皇帝が要る。
まずは、皇子を守り、南へ向かおう。
万人敵韓世忠、必ず、国を再興せん!
兄弟再び 語り/朱同
開封が落ち、天子は捕らえられた。
そして奸臣は消え、忠臣が南へ逃れた。
無論私も南へ向かい、金と戦う。
だが最後に、ふと梁山泊が気になった。今は梁山泊へ向かっている。
そこに行けば、道が開ける気がしたのだ。
語り/柴進
開封が落ちたためか、多くの兄弟が集まってきた。
朱同殿、蕭讓殿、裴宣殿、凌振殿、安道全殿、皇甫端殿、金大堅殿、穆春殿。
不思議だ。また、何か動こうとしている。
語り/関勝
黄信殿と合流し、南京の宋に仕えた。
だが、朱同殿、凌振殿らは行方知れずとなってしまった。
私はここで、公明兄貴が遺した忠義双全の魂は、私が守っていこう。
再動梁山泊 語り/李応
「柴進殿、如何であろう。我ら兄弟は、再びこの地に集った。これもまた定め、ここで抗金の兵を挙げてみては」
「そのこと自体に異存はない。だが私は公明兄貴の偉業を告げる器ではない。そう言っているのだ」
なんども説得するも、渋る柴進殿。このままでは、盧俊義殿の梁山泊入りと同じことが起きてしまうだろう。ああ、こういったときには、いつも呉軍師がてをうってくれたが、わしではどうしようもない。どうしたものか
「杜興、どうすれば柴進殿は頷いてくれるだろうか」
「主人、私はそういったことは分かりかねますが、やはり、天命でしょうか」
”天命”忘れていた。我らがここに集ったのは天命だった。そしてその天命によって、我らは団結してきたではないか!
「杜興、感謝する。すまないが、戴宗を呼んできてくれ」
「戴宗、公孫兄貴をどうにか連れ戻せぬか?」
「ほう、そう来られましたか。確かに公孫兄貴が加わり、柴殿を説得すれば」
「いや、公孫兄貴には総頭領になってもらう。そして副頭領に柴兄貴を置くのだ」
「たしかに、席次ではそれが自然ですな」
「ああ、天命に寄って集った我らは天命に従う。席次も、天命だ」
「では、探してまいります」
戴宗殿は支度を整え、神行法を使い梁山泊をたった。
もうすぐだ。もうすぐこの梁山泊に再び替天行道の旗が翻る。