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水滸伝・結  作者: ての
3/4

運命の再開

安寧の終わり  語り/武松

ー六和寺ー

俺はここで兄弟たちの供養をしている。

一番新しいのは呼延将軍墓だ。墓といっても、遺骨は入っていない。そこに名前を記しただけだ。

そこに毎日、手を合わせる。来世での再会も願って。ここでこれをつづけるには、最後まで生き残らねばならないな。

なんだ。寺の中が騒がしい。

物陰に隠れて様子を見る

「な!?」

これは金の軍だろう。それが、寺の中のものを漁っている。そして、墓にも近づいてくる。

供物を漁り始めた。

俺はそれが許せず思わず飛び出す。金の兵は驚いたようだったが、すぐに刀を抜き切りかかってきた。

なんとか避けるも攻撃ができない。

片腕が残ってさえいれば…!

俺は逃げることしかできなかった。

噂で聞いた。兄弟たちがまた梁山泊に集まっているらしい。

そこに向かおう。


梁山泊  語り/武松

ああ、湖が見える。我らが運命の地、梁山泊!

「兄貴!」

嬉しそうな顔でこちらに手を振る若者がいる。

間違いない。阮小七だ。

「小七!なぜここに?」

「謀叛の濡れ衣を着せられ、ここで今まで通り、漁師をやってました!しかし、兄上はなぜ?」

「六和寺が金の軍に襲われた。兄弟たちの碑も…」

「そうか、金がそんな近くまで」

「だが安心した。お前たちはここでよく暮らしているようだな。他の兄弟の情報はないのか?李俊と童兄弟の話を聞いていないが」

「戴兄貴によると、暹羅国に渡って、そこで王になったらしい」

「ほう、李俊なら、容易だろうな」

「まあ後は梁山泊で話しましょう、兄弟も待っています」

「ああ、そうしよう」

懐かしい。ああ、忠義堂だ。

いまだ残っている椅子、机、我らはここで天命を知った。

”替天行道 忠義双全”


奸臣の最期  語り/高俅

金軍はすぐそこまで迫っている。

もう逃げてしまうか、蔡京殿、童貫殿は新しい皇帝から追放が言い渡された。

私も逃げたほうが良いだろう。

だが、もう少し待つ。運が良ければ、生き延びれる。

権力は、直前まで持っておくべきだからな。

金国でも利用してくれるわ


体が、うまく動かんな…

ふふ、梁山泊も消えたと思えば、これか…


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