表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水滸伝・結  作者: ての
2/4

隣国の危機と宿命

天命  語り/柴進

公明兄貴、盧俊義殿、呉軍師、花栄殿、鉄牛が死んだ。

公明兄貴、盧俊義殿は奸臣からの毒で、鉄牛は公明兄貴によって、軍師、花将軍は兄貴の後を追って。

あの日々はなんだったのだろう。梁山泊で過ごした日々。

素晴らしかった。この退屈な日々とは比べ物にならないほど、満ち足りた日々。

天命とはなんだったのか。

「ご主人、お客様です」

「誰だ?」

「戴、と名乗られておりましたが」

「戴?まさか!通せ」

部屋に男が入ってくる。

「兄弟!」

戴宗だった。いつぶりであったか。

「急にどうしたのだ?」

「それが、梁山泊に再び兄弟が集まりだしているのだ。すでに李応殿、杜興殿、鄒潤殿、蔡慶殿、楽和殿、楊林殿、蒋敬殿、孫立殿、孫新殿、顧大嫂殿。今は皆で梁山泊で暮らしている」

「まさか、再び山賊になったのか?」

「いや、ただそこにいるだけで、国に逆らうつもりはもうありません」

「そうか」

「兄貴もともに暮らしませんか。あの頃を思い出せて、とてもよい生活ができています」

私はすぐに承諾し、支度をした。


宋国の行く先  語り/関勝

我らは先日、遼のさらに先、金という国と協力し、遼を滅ぼした。いや、我らの軍は弱く金の足手まとい、恥さらしであった。遼は無くなったが、金も近いうちに恐怖となるだろう。


金国  語り/呼延灼

「無能な奸臣どもめ!」

思わずそう叫ぶ。

燕雲十六州のためだけに、遼の残党と結託し、金と対立した。金は強大で宋国は弱い。これでは、勝てない。

そして現に苦戦している。童貫はやはり無能だった。

「報告!童貫様の部隊、撤退しました」

!?

敵前逃亡だと!?ふざけるな童貫!

金軍が迫る。

「皆、童貫のようにはなるな!国のため、ここで華々しく散ってみせようぞ!」

双鞭を持ち、馬で駆ける。屍を踏み、飛ばし、敵を殺した。

!?

激痛が走る。

背後から槍で刺されたらしい。

槍を抜き、殺す。双鞭も己の体も血で染まっている。

自分の血か、敵の血か、味方の血か。わからなかった。

ただ一つ分かること。自分は、ここで死ぬ。

ああ兄弟よ。懐かしき梁山泊の兄弟よ。私ももう終わってしまうようだ。

願わくばまた来世で、兄弟と出会えるように。

敵将が近ずいてきた。私の最後も、もうすぐそこか




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ