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水滸伝・結  作者: ての
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生き残りし志

前書いた水滸伝は飽きたのでしばらくこっちで。

中学生の妄想水滸伝。生き残った好漢の物語。


関勝や柴進、戴宗たちは死んでません

離脱  語り/盧俊義

我らは方臘をとらえた。これで戦は終わった。ようやく宋の国も平和になるだろう。

だが、どこか悲しい。いつも思い出す。仲間とともに梁山泊の地で共に飲み、歌った日々を。

公明兄貴の心は如何であろう。己が宋への忠誠を最優先したために、多くの仲間が死んでしまった。そう考えているかもしれん。少し、話してみるか。

「失礼いたします」

聞きなれた声。燕青だ。

「何か用か、燕青」

「単刀直入に申し上げます。この軍より抜けるべきです」

驚くべき発言につい動揺してしまう。

「なぜ、そんなことをいうのだ。今更仲間を置いて、故郷へ帰れとでも?」

「はい。このままでは高俅らに殺されてしまいます」

「それはなぜか」

「凱旋すれば、我らは位を授かれます。それを良しとするような奸臣ではないでしょう」

「話にならんな。私は同志と共に生きると決めた。奸臣なんぞおそるるに足らん。どうしてもというならば、お前一人で行くがよい」

「…承知しました。では、どうかご無事で」

静かにそう言い立ち去る燕青。私は見逃さなかった。あの目に浮かんだ涙を。

次の日、燕青は私の前から姿を消した。


英雄  語り/方臘

私を捕らえたのは、魯智深といったか。いかにも豪快そうな僧だったが、私を捕らえたのち、寺で円寂したらしい。梁山泊の男たちは、皆英雄だった。ほとんど直接は会っていないが、部下から報告を受けるたび、感心した。仲間が一人欠ければ、その仇討ちに来る。その結束力は、凄まじいものだった。本当になぜ私は渡り合えたのかと、そう思う。

「それは、貴公も英雄だからだ。方臘」

「誰だ」

「私は梁山泊軍軍師、智多星呉用と申します」

智多星呉用、聞いたところではその智謀は諸葛孔明に匹敵するという。私は詳しく知らないが、とても頭がキレるらしい

「我らはこれまで、遼、田虎、王慶と戦った。これらの戦いで、同志が欠けることはなかった」

「…」

「戦中、我らはかつての梁山泊軍と戦っているような心地だった」

「もういい。俺は大罪人。お前も下手に俺と話さないほうがいい」

「すまなかった。方臘、国に抗いし、英雄よ」

そう言って立ち去る呉用。不思議と嫌悪感は沸かなかった。

「私も、あと数日の命か」

この一隊は確実に、都に近づいていた。


凱旋  語り/宋江

都が見える。我らはこれより堂々凱旋し、官位を授かる。これで我が同志たちは歴とした皇帝の臣下。梁山の山賊と馬鹿にされることはないのだ。

都に入ると多くの歓声が迎えてくれる。そして陛下のいる宮に入った。


「陛下、臣宋江、反乱を鎮圧し、ここに、戻ってまいりました」

「よくやった。朕も嬉しく思う。だが、だいぶ数が減ってしまったようだな」

「はい。はじめは百八人おりましたが、今では死者、離脱者があり、二十七人となりました」

宮の空気が重くなり、少しざわついた。おそらく、ここまで情報が届いていなかったのだろう。

「静まられよ」

この空気を破ったのは、高俅だった。

「陛下、将軍らは疲れておられます。早く休ませたほうがよいかと」

「うむ、では褒美を渡す」

一人一人名を呼ばれ、官職、褒美が渡されていく。その読み上げられた名の少なさに、私は悲しみを隠せなかった。


志  語り/方臘

斬首役人が刀を洗う。目の前には多くの民がおり、こちらを見ている。

私はこれからどこへ行くのであろうか。私のからだはどうなるのだろうか。

考えても仕方がないが。

斬首役人が刀を振り上げる。

「志よ永遠に!断たれることなかれ!」

私はそう叫び、直後意識を失った。





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