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神隠しとかってこんな感じ

「今日もいい天気だなー」


雲ひとつ無い快晴の空、木々に囲まれた我が家に届くのは川と鳥と風と木の音。


「あら、今日も早いのね」


「母さん、おはよう」


「はい、おはよう。今日もすこし走るの?」


「そのつもり、朝食はしばらくまてる?」


「わかったわ、ああそうそう。弟がそっちにいくかもしれないからよろしくね。昨日俺もやるやるうるさかったし」


「叔父さんが?わかった」


「じゃ、気をつけてね」


「行ってきます!」


日課として家の周辺を大体2周ほど走っている。


「しかし叔父さんが来るのか、情けない姿を見せることはできないな」


僕の叔父は運動担当であり筋トレから何まで面倒を見てもらうことが多いのだ。そんな叔父に家の周囲を走る程度でへばっている姿など見せるわけにはいかない。


「さて、後ろから追いかけてきたわけだが追いついてしまったぞ」


「叔父さん・・・さすがに速過ぎでは」


「お前を育てたのは俺だぜ?早いに決まってる。その後は俺の父さんの稽古だろう?速いとこ走り終えて戻るとしよう。俺が勝ったらおかずを一品増やすんだな」


「叔父さんは食い意地張りすぎですよ!」


「うるさいうるさい、口より足を動かしたまえ」


そして平然と僕を抜いていく叔父、毎回思うのだが木がよけているような気がする。それに勝つには木を味方にするとか・・・かなあ。


「お、もう我が家ですか。・・・叔父さんは?」


「やあやあ、あいつはここら辺にいないよ。大方方向音痴が過ぎて大分あたりではないかな?」


「あ、おはようございます。叔母さん」


「おはよう、姉さんがおなかをすかせているよ」


これはこれは、急いで用意をしなければならない。私の母は我慢弱いのだ。


「そうそう、今日は高校の入学式だろう、私の祖父達も来るというから身だしなみには気をつけておくようにな」


「曾じいちゃんも来るの!?」


「うん?そんなに驚くことかい?祖父達は君が大好きなんだから来るに決まっているだろう」


全て早めに終わらせないと身だしなみは整えられないじゃないか。


「ならば全ての作業を猿田彦のごとく終わらして参ります!」


「うん、がんばってね」


♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨♨


あの後2時間掛けて終わらした。え、今何時だよって?7時だよ?何時に起きたんだって?4時だよ?


可笑しくは無くないか?


「さて、武蔵。準備は万全か?」


「はい祖父ちゃん、忘れ物は無いです!」


「ならばよし、お前の晴れ舞台だ。その姿見せ付けてこい」


「ちょっと、お父さん。武蔵に何させるつもりよ」


「勿論、我が家の威厳を」


…危ないな、この口喧嘩からは早急に抜け出した方が良いな。


「では行ってきます!!」


その後どうなったかなど僕は知らん。

ちなみに我が家なのだか山の中腹にある。しかも神社の本殿のおくという立地だ。

はじめは普通だと思っていたのだが小学校中学校を経験するに当たりそれが異常であることをようやく理解した。普通の人は神主や巫女に世話を頼まん・・・。


「武蔵様、おはようございます。本日から高校生ですね」


「あ、真由美さん。・・・おはようございます」


この真由美さん、なんと僕専属の巫女らしい。母さんがそろそろ専属の巫女をつけるといっていたがこういうことだった。しかも自分と同年代なんだとか、なかなかうまく言葉を交わすことは難しい・・・。


「武蔵様、今日から学園生活のほうでも私がお世話させていただきます」


「うん・・・うん?」


「ですから、私も一緒に高校に登校しますということです」


「え?・・・なんで?」


「それはもちろんお世話させていただくためです。普段から武蔵様はお一人で何もかもなさってしまいますから、今日から学校の間だけでもお世話させていただきますね。」


あっはい。


さて、真由美さんに連れられること大体20分。高校に到着した。

入学式、これといって豪華でもない体育館が心付け程度に装飾され、生徒が列を成す。


クラス配属も終わり、真由美さんとは結局同じとなった。


「さて、クラスメンバーとある程度顔合わせ出来たかな?担任の杯冬也だ。これから3年間、よろしな」


スポーツマンタイプの男性だった、オフィスカジュアルの様な服装にメガネといういかにも出来る感じが出ている。


「武蔵様、これからの予定ちゃんとお聞きになられましたか?」


正直、聞く気もなかった。


「いや、聞いていなかった」


「今日はこれで終わりの様です、また明日授業などの詳細を説明するそうです」


「これで終わりなのか、おじいちゃんやひいおじいちゃんもみてたけどすぐ帰っちゃったし…帰るか」


「え、見ていらっしゃったんですか?気づきませんでした…」


たいして教材や道具があるわけではない、帰宅準備を済ませる。


「武蔵様!危ないです!」


「え?」


真由美の手が触れた瞬間、教室は全てがもぬけの殻となった。





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