表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

急転直下な事象

誤字脱字は致し方がないのですよ。

 

 一方その頃、正隆は森の中にある川辺で水浴びに興じて居た。


「お風呂……とまではいかないけど、これはこれで水が冷たくて気持ちがいいなぁ……」


 ジャバジャバと水飛沫をあげながらしばらく戯れていると、不幸な事に川の中に這えている苔で足を滑らすという、神獣にはあるまじき大失敗をしてしまう。


「ギャッ!!ギャアァァァァァァァァァァ!!!」


 滑って転んだらまさかの、川の中心部へダイブであった。


 川辺の流れは穏やかだったのだが、中心部は中々に流れが早く、特にカナヅチでは無いはずの正隆ですら、まともに泳げずにただただ川の流れに身を任せるしかなかったのであった。


 因みに一応正隆の名誉を護るために具申しておくと、泳ぎ慣れた人間の身体じゃ無かった事も、敗因のひとつであったと明記しておく。





 ***





 神殿より数十キロ離れた場所にある、エルデ砦の隊長であるアルトベリクは、二日酔いでフラフラしていた。


 昨夜は副隊長で親友の、モルダーとの飲み比べで調子にのってしまい、ついつい酒杯を重ねすぎてしまったからだ。


「うっ………うっぷ………」


 朝方まで飲んで居たせいだろうか?込み上げてくる吐き気を我慢する事が出来ない。


 まだまだ若いつもりであったが、寄る年波には勝てぬか……などと思いなながら、胃の中をスッキリさせるため、川辺にフラフラとした足取りで降りて行く。



「うげっ……うげろげろげろげー…………」



 ビチビチビチチ……という不快な音を撒き散らしながら、川面に全てを撒き散らし終えると幾分、さきほどよりはスッキリしてきた。


 アルトベリクが汚れた掌を川の水で濯いで居ると、上流より何かが流されて来るのが、ウッスラと見えた。


 最初は酔っ払っていたので、幻覚かとも思ったのだが、ドンドン近付いてくるその影が人間だという事に、直ぐに気が付いた。


「はあっ?あっあれは……まさか……人間の……子供かっ!?」


 アルトベリクはその事実に、まだ残っていた酔いも吹っ飛んだ。


 慌てて川の中に入ると、流され来る人物を助けるために両腕を広げた。



 そんなに幅の無い川だったのが幸いしたのか、アルトベリクは楽にその人物を川から引き上げる事に成功した――――――――――のだが、その人物はどういう訳か一糸纏わぬ裸体であった。


 しかも性別はどうやら少女の様で、銀色の長い髪と真っ白い肌が眩しく、その目を閉じてさえいても、際立つ位美しい容姿をしていた。


 次にアルトベリクの目に留まったのが、裸体の少女が唯一身に着けていた豪奢な腕輪であった。


 それを視認したアルトベリクは、ただでさえ面倒なのにこの少女が貴族や、それに準ずる高貴な血筋とかだと更に面倒だな………などと考えていた。


 溜め息を吐き出しながら、少女の裸身に上着を掛けていたアルトベリクの耳に、自身を呼ぶ大声が聞こえてくる。


「おーい!待てよアルー!!俺はまだ負けてなどいないからなぁ?ヒック………」


 片手に酒樽を担いだモルダーが、フラフラと近付いてくる。


「まだまだ飲めるぞ~……。家に帰って飲み直しだ………ぜ……………」


 厳つい顔をしたモルダーの表情が少女をみた瞬間、青ざめた。


 そしてブルブル震える指で、アルトベリクを指差すと、とんでもない事を叫んだのであった。



「砦の隊長の癖に………遂にヤっちまったのか?そこまでお前が女に飢えているとは!見損なったぜぇ~!!」


 完璧な勘違いであったが、状況的に見るとアルトベリクが襲っていた……と、勘違いされても致し方がない状況でもあった。


 親友の不名誉な指摘に、アルトベリクは拳を握ってモルダーの頭部に一撃を喰らわすと、烈火の如く怒りを爆発させた。


「アホかっ!!!流石にこんな年頃の少女を襲うほど、俺は飢えて無いからなっ!!!」


「痛ってぇ~な!冗談じゃねぇかよっ!何も本気で殴らなくても良いだろがぁ~」


「冗談では済まない時もあるんだよっ!そして今がその時だったんだ!」


「へクチッ………」


 アルトベリクとモルダーの両者は、お互いに睨み合って居たのだが、そんな2人の横で少女が小さくくしゃみをした瞬間、睨み合いは終了した。


「んで?この子どうすんだ?」


「う……う~ん……。砦には連れて行けないし……モルダーの家で良いんじゃないか?」


「はあっ?無理に決まってんだろぉ?家のかかあに何て説明すんだよぉ?隠し子とか疑われたら最後、地の果てまで追い掛けられて命取られちまうぜっ!!」


「サリーさんって、そこまで嫉妬深いのか?」


「おおよっ!まだ所帯持って直ぐだしなぁ……。そんな嫉妬深さも可愛いんだけどよぉ~?でよぉ…………」


「そんな事よりも!この少女………どうするべきか?」


 モルダーの嫁自慢&ノロケには辟易していたアルトベリクは、話を少女へと戻した。

 すると嫁自慢を阻まれたモルダーは、なげやりにこう言った。


「ん?身元が分からないならば、孤児院にでも預けりゃ良いんじゃねぇ?」


 至極まっとうな意見であった。確かに孤児院へ預けるのが、ベストでは無くともベターであったからだ。


 アルトベリクは若干後ろ髪を引かれつつも、少女の身元が分からなければ孤児院へ預けるのもありだなと、結論付けたのであった。




お分かりでしょうが、少女=正隆氏であります。


スッポンポンでの登場で御座います。


ひとがた年齢は……多分10歳程度。


つるぺたでゴザル。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ