表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

ガチャガチャガチャガチャ

誤字脱字は……多いです。


 

 ストラテと呼ばれる森を抜けると、巨大な建造物が姿を表した。


 アルビーさんによると、ここが神殿という建物らしく、ストラテは神殿の裏に広がる森なのだそうだ。


 ボクの寝ていた場所から大体1時間位歩いてきただろうか?最初は四つん這いで歩くのに違和感があったけど、歩いてる内に気にならなくなった。


 ボクって順応性早いな、うん。何かいつもより冷静でいられるし。身体が獣になったというのに、忌避感がそこまで無いのも変だし……。

 う~ん……現時点ではこれ以上考えてもしょうがないかな?


 結局道中はボクが四つん這いで歩くのに慣れるのに精一杯で、アルビーさんやジオさんに話を聞けずじまいだった。





「ヒイヒイ……ハアハア……。もっ…もう自分は神殿から……一生出たくないっス~!」


 と、言いながら肩でゼェゼェ息をするジオさんに、アルビーさんは「情けない!明日から特訓だ!」などと怒っていた。


 ジオさん、可哀想に……。神官なのに特訓て何をするんだろうか……想像がつかないや。


 今にも泣き出しそうなジオさんに同情しつつ、神殿内部に向かって歩いて行く。

 因みにボクの方は全然大丈夫だ。息ひとつ乱していない。神獣の身体って頑強なんだな。




「神獣様……。神殿の中に御座います大広間の祭壇へ向かいますので、わたくしに付いて来て頂けますでしょうか?」


「うん。別に良いですけど、そこに神官長って人が居るのでしょうか?」


「はい。作用に御座います。少なくともわたくしよりは神獣様についてお詳しいと思われます。こちらです」


 アルビーさんに案内されながら神殿内を進むと、ボクらを遠回しにチラチラ見てくる人が沢山居る。


 この身体になって、何だか人の視線にも敏感になったみたいだ。まぁ、大多数の人が尊敬っていうか畏敬の念っていう感じの視線なんで、別に不快とかでは無いんだけど気にはなるよね。はぁ~。


「うっひゃ~!神殿の中は涼しいっス!快適っス!先輩~!!早く早く~祭壇はこっちっス!こっちっスよ~!」


 ジオさんはさっきまでグッタリしていたのが嘘の様で、涼しく快適な神殿の中で絶好調の様子だ。

 やっぱ変わり身早いな……この人。


 アルビーさんは激しく手招きをする、ジオさんの足を意図的に踏んで黙らすと、痛みでしゃがみ込むジオさんの脇を涼しい表情で通り過ぎた。


 ひでぇ………。


 ボクはしゃがみ込むジオさんの肩に、ポンポンッと軽く前足を乗せると大きく頷きながらこう言った。


「うんうん、口は災いの元って言いますよね?まぁ貴方の場合は自業自得の様な気もしますが……」


 慰めたつもりだったけど、ジオさんはしゃがみ込んだまま無言だった。あっあれっ?失敗したかも!?どうしよう。


「神獣様……参りましょう。神官長もあなた様のお着きを首を長くして待っておいででしょうから」


 失言にオロオロするボクに、アルビーさんは急かすように先へ進むようにほだした。


「えっ……えっと……ジオさ………ジオが……」


 又もやジオさんに敬称を付つけようとしたら、アルビーさんに鋭い睨みをつけられた。

 敬称はつけちゃだめって言うけど、そもそもアルビーさんがボクを睨むのは良いのだろうか?


 若干腑に落ちないけれど、事なかれ主義の日本人であるボクはその事に突っ込まない。

 チキン野郎の謗りを受けても構わない。ボクは喧嘩はしない。だって弱いからね。


「ジオならば大丈夫で御座います。しばらく致しましたら復活します。そういう者で御座います。ささ、祭壇の広間へ参りましょう」


 急かしてくるアルビーさんの声に圧されて、ボクはジオさんにチラリと視線を向けつつも、ゆっくりと歩き出したのであった。



 ジオさん……お達者で。



 トコトコ歩くこと数分で、ボクは大きな漆喰の扉の前まで来ていた。


「コホンッ……。到着で御座います。ここより先はわたくしはご一緒出来ません。神獣様のみでのご入室でお願い致します」


 そう言ってアルビーさんはボクに頭を深々と下げると、来た道を戻って行ってしまった。


 どうしよう……何かこの扉向こう側から、何やら威圧感を感じる。

 一体ボクの登場を待っている神官長って何者なんだろうか?もう少しアルビーさんに探りをいれておけば良かったかもしれない。


 まぁ、もう既に後の祭りだけど。


 ボクはドキドキしながら漆喰の扉を開けるために、扉のノブに手を掛けたのだが、ツルツルと滑ってしまい一向に扉は開かない。


 ボクは失念していた。

 現在の自分の手が獣の手であり、人間用の扉のノブを回すことが限り無く不可能に近いことを。



 ガチャガチャと扉のノブで格闘すること数分。



 ボクは遠い目をしながら扉を開けることを放棄した。


 これだけ扉を騒がしくガチャガチャやってたのだから、室内に居る人も普通に考えれば気付く筈でしょ?何で開けてくれないのだろうか?………解せぬ。


 中に居る人物が開けてくれないのならばどうしようか?


 扉をぶち破る…………いや、痛そうだから却下。


 扉を爪で引っ掻いて穴を開ける…………いや、時間が掛かり過ぎるから却下。


 扉をノックしてみる…………いや、今までガチャガチャやっているにもかかわらず、開けてくれないのだから今更ノック程度では開かないだろうから却下。


 うう~ん………。良い案が浮かばないし、何だか段々腹が立ってきたな。


 ふんだっ!そっちがその気なら、ボクにだって考えがあるぞ。


 ボクはクルリと反対を向くと、神殿の窓から外に飛び出したのであった。






あれだっ!両手ぶらり戦法。丸腰とも言うね。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ