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うわあっ!ここは一体どこなのか?

まぁ…諦めの境地でご覧ください。

 

 ピピピ……チュンチュン……ピピッ……。


 ううん?もう朝かな?小鳥が囀ずる鳴き声で目が覚めるなんて、ボクにしては珍しいな。

 いつもは目覚まし時計を3個は設置しても中々起きられないのに。


 目は覚めているのだが、中々目蓋が上がらない………。2度寝の誘惑に駆られる気持ちを軽く叱咤すると、ボクはいつも枕元に設置してある目覚まし時計に手を伸ばした。


 タスッ…タスッ……タスッ………。


 んあっ?どうしたのだろうか?目覚まし時計に手が届かない。それにさっきから顔にモサモサ何かが引っ掛かる。


 ソロリと目蓋を開けると、顔の下には何故か草が生い茂っていた。


 驚いて飛び起きると、ボクは辺りを見回した。


 そこは鬱蒼とした草が生い茂り、辺り一面緑で一杯の光景が広がっていた。

 余りにも現実味の無い光景にただただ呆然としてしまう。


「ガウッ…?ガウゥ~~~?」


 へっ?いっ……今、確かに獣の声がしたような………。

 ひぃっ!こんな鬱蒼とした場所だ……肉食の獣が居ても不思議は無い。かなり近い所から声が聞こえたぞ……。相手を刺激しない様に、ゆっくりとこの場を去るべきだろう。


 ボクはゆっくりと立ち上がろうとして………失敗した。


「ギャンッ………」


 ドサッ。


 おかしい……足が……。一体どうなっているのか?

 ボクは自分の足に視線を向けた。




 ……………………………………………???




 ボクの視界に獣の足が見える。ヤバイ……さっきの声の獣だろうか?倒れた音で呼び寄せてしまったのだろうか?


 って、あれっ?ボクが右足を動かすと、獣の足も動き今度は左足を動かすと、獣の足も動いている。


 どゆこと?


 いまいちこの状況についていけないボクの目の前の茂みの奥から、人の声が聞こえてくる。



「ハアハア…ハアハア…。せっ…先輩……ちょっと…休憩するっスよ……ハアハア…」


「バッキャロー!お前それでも神官かっ!?昨夜の神託でこの聖なる森に神獣様がご降臨されるって話だったろうがっ!お迎えに上がるのも神官の勤めの内だろがっ!」


「ハアハア……そうっスけど……自分のような文系の神官はひ弱なんスよ……。こんな肉体労働は……正直きついっス……」


「バッキャロー!俺だって神官だぞ?たがな…日頃の鍛練のお陰でこの様な鬱蒼とした森も、楽々動き回れるのだぞ?お前も明日から一緒に俺と鍛練するんだっ!」


「ひいぃぃぃぃ!!無理っス!死んじゃうっス~!!」


「ワハハハハハハ~!お前もいずれはこの俺のような上腕二頭筋を手に入れられる様になるぞ!」


「うげぇっ…。そんな暑苦しい神官は先輩だけで十分っス~!自分には絶対に向いてないっス~!」


「待て待て~フハハハハハハハ!!」


 何だか楽しそうに会話をしている2人に、混乱していたボクの頭も徐々に冷静さを取り戻してきた。


 そしてボクの目の前の茂みが一段とガサガサ激しく揺れる。


「ぎゃぁぁぁぁぁ~!来ないで欲しいっス!暑苦しいっス~……………………………………」


 茂みの中から飛び出してきた人物と目が合う。

 咄嗟に日本人の性だろうか……社交辞令の笑みを浮かべてみる。





「うぎゃぁぁぁぁ~!!見たこともないモンスターが、自分に微笑みかけて来たっス~!先輩っ!暑苦しい先輩っ!!助けて欲しいっス~!!」


 灰色のローブを纏った人物は、泣きながらもう1人の人物に助けを求めて後ずさった。


 ひっ……酷い……。モンスターって言われたよ。初めてだよ…そんな事を言われるのは。

 これでも学校ではかなりモテていた方だったのに………そのボクの微笑みをモンスターって……。



「ジオっ!?バカかお前はっ!モンスターなんて居るはずがねぇだろがっ!!ここは聖なる森だぞ?って、お前……それはもしかして……………」


 ガサガサと後から出てきた白銀のローブを纏った男性は、ボクと目が合うと慌てて姿勢を正し、戸惑いながら話し出した。




「しっ…神獣様で御座いますね?お迎えに上がりましたっ!私の名前は聖王国の神官アルビーと申します。あちらの無礼者は私が後程罰を与えますゆえ、お許し下さいませ」


 そう言うと白銀のローブ纏った……えっと…アルビーさんはボクに向かって頭を下げてきたけど、どうしよう……返事をしなきゃだよね?


「グルル……ガルゥ………………………」


 うん、無理だ。ボクの口から出るのは意味をなさない獣の唸り声だけだった。


 困惑しているボクにアルビーさんは「心得て居ります」と、言うと懐から取り出した豪奢な腕輪をボクの腕に嵌めた。


「これで神獣様のお言葉が我々にも分かりますゆえ、お話しされても大丈夫で御座います」


 おお、そんな便利な機能の付いた腕輪があるとは……。これでボクが聞きたいことを色々聞けるね。


 ボクがイソイソと喋ろうとすると、微動だにせず固まっていた灰色のローブを纏った人物が、驚いた様に呟いた声が聞こえて来た。



「せっ……先輩がっ……。あの脳筋の先輩が、敬語を使ってるっス。これぞ神獣様の御業ってやつっスか?だとしたら凄いっス!尊敬するっス!」



 さっきまで恐怖で固まってた癖に、ボクがモンスターじゃないと分かった瞬間にこの態度だ。物凄い変わり身が早いなこの人…。



 若干呆れながらもボクは口を開いたのであった。





アンポンタンな小生ですので、変な箇所はスルーしましょう。

それはお互いの為にです。

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