綺麗な蝶にはご注意を
性懲りもなく投稿。
多分……また途中で続かなくなる。
あれは学校帰りの出来事だった。幼馴染みの将太と2人で部活帰りにラーメン屋に寄って帰えろうか?と、相談しながら歩いていた時に起こった。
ボクの視界の端に赤い蝶が数匹、ヒラリヒラリと飛んでいた。
こんな冬の時期に蝶が飛んでいるのが不思議で、ボクはその場に立ち止まり、しばし魅入ってしまっていた。
突然足を止めて立ち止まっているボクに、将太は怪訝そうな表情で「急に立ち止まったりしてどうした?」と、聞いてきたのでボクはヒラヒラ飛ぶ蝶を指差しながら返事をした。
「ん?ああ……この時期に蝶が飛んでるから珍しいなって……」
ボクの返事に将太は更に怪訝そうな表情をすると、いきなりボクのおでこに手を当てて来た。
「正隆………熱でもあるのか?」
「はあっ!?何でだよ?」
そりゃあ熱はあるさ……無ければ死んでるからね。
「だって………蝶なんて飛んで無いぞ?」
「ふはっ!将太……この蝶が見えないって?だったら眼科に行った方が良いんじゃない?」
こんなにはっきりと見える蝶が見えない何て、将太は目が悪くなったのかと思い、病院に行くことを進めたボクに、将太が真剣な眼差しでこう言って来た。
「………………お前の方こそ本気でそんな蝶が見えるって言ってるなら、眼科に行った方が良いぞ?それとも冗談か何かか?だったらあんまり面白くねーぞ?」
将太にはボクを茶化す気配は微塵も感じられない。どうやら本当にあの蝶が見えていない様子だった。
しかしボクにはハッキリと空を飛ぶ赤い蝶が見えるのだ。
だからついムキになってしまった。
「何だよ……嘘じゃないよ。証拠にあの蝶をボクが捕まえてきてやるよ!」
ボクは将太にそう宣言すると、赤い蝶を捕まえるため近付いた。
すると赤い蝶は近付いて来たボクに逃げもせず、むしろボクの方に自ら近寄って来た。
絶好のチャンスにボクは嬉々として蝶を捕まえようと、両手を伸ばしたその瞬間、何かが割れる音が辺りに響き渡った。
ビキビキッ…………バキバキバキバキバキキッ……………。
余りの音の大きさに、ボクは驚いて両目を瞑り耳を塞いだ。
それからどれくらい時間が経ったのだろうか?
ボクには分からない。ただ……………ボクは現在おかしな空間に囚われている。
そしてボクの目の前には黒いローブを着た人物が佇んでいる。
「………………変な者が釣れたの。ククッ……だがまぁワシは釣るだけじゃ。釣った後の事は関係無いから、どうでも良い事じゃな」
目の前の人物はそう呟くと、ボクを足下に転がっていた巨大な壺の中に突き落とされたのであった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「少年っ!グッドラ~~~~~~ック☆」
親指を上に立てながら最上級の笑顔で見送る黒ローブの人物に、ボクは混乱の最中、初めて人に殺意を覚えたのであった。
壺の中は異常に広く、そしてその中をボクはずっと落下している。
どこまで落ちるのか。そして落ちきったらどうなるのか。不安は尽きないが、現在ただ落下しているだけのボクにはどうする事も出来ないのだから、途中で考えるのをスッパリ諦めた。
すると突然頭に声が響いて来た。
『きゃはっ☆今回釣れた奴は当たりだわっ!あたし好みの美少年だわ~やった~☆』
物凄いかん高い少女の声が聞こえる。頭の中で彼女の声が反響して気持ち悪くなる程だ。
『う~ん☆そうねぇ……。良しっ!君に決めたっ☆あの国の新しい守護の神獣は君よ~☆』
少女が一体何を言っているのか分からない。頭がガンガンする。
『うふふ☆良かったわね?貴方……ラッキーよ☆あの国は他国より断然裕福だからね~☆大事に扱ってもらえるわよ~☆きっと♡』
割れる……割れてしまう……。それ以上喋らないでくれっ!
『じゃあね~☆美少年~☆グッドラック☆良い人生……じゃ、無いわね☆良い獣生を~~~☆キャハハハハハハハハハ』
そのかん高い笑い声を最後に、ボクの意識はブラックアウトしていったのであった。
異世界ものを愛してる。耽溺してる。
文才の無さには定評がある。