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(3) フランシア帝国

(3)フランシア帝国


宇宙は広大で、人類の物差しで図る事など不可能であり、所詮は起きてみる夢程度の世界である。

だが、現時点で認識されている範囲内の話でなら、まだ妄想的に見ることは出来る。

ホールド・ディビィジィ星を一方の端っ子と認識するならば、現時点で言う逆の端。

遥か彼方にある、現時点で母星と呼ばれる唯一の星がある。

【ゼリアス母星】

万物の麓、全ての生命の源である母の温もり。

それすなわち人類生誕の地、いや生命誕生の地であるとされている星。

それ故に、その地は聖地・聖星として祭り上げられ、今も尚輝きをはなっているのだ。

当然、入星希望者は各地から溢れだし、我こそはと密入星実行者まで現れる始末。

それを阻止すべく集いし志願者達が、ゼリアス母星の兄弟星として存在していた名も無き無人惑星へと降りたって行った。

その個人が団体となり、作物が栄え、町が出来、法律が生まれ、国となり、何時しか帝国として母星より光を放ち始めるのだ。

帝国として名を挙げてから10年の後、ゼリアス母星を統治する、

聖母ゼリスより賜ったとされる名称が公表となる。

それが、フランシア帝国誕生の瞬間。

フランシア帝国の主な意義はゼリアスとのパイプ役である。

聖母ゼリスへの貢ぎ物は、一旦全てフランシアに届けられ検疫。

その後、何十項目もある審査を通過した物のみが母星のへ入星を許可されるのだ。

当然、人の入星にも帝国の許可が必要となり、

その都度調査監視管理され、一握りの人々にしか入星資格は与えられない。

そこで、毎回現れるのがワイロ、裏取引の存在である。

だが、いや当たり前だがフランシアはそれを否定し、遺憾の意という不透明なモノにて終結させるのだ。

まぁ、実際はワイロ以前にそもそも母星に届けているのかすら怪しく、

もはやどちらが母星なのかすら分からないのが、周囲の見解となっていたのだが。


フランシア帝国は前出の国家とは違い、宇宙統一等という夢は見ていない。

だが、他国や賊との戦いに勝利していく必要も場合によっては存在する。

母星ゼリアスを我が物と目論む組織や、現フランシアの立ち位置を獲ようと画策する他国やら、多種に渡る訳で。

そんな望まざる敵との望まざる戦いに勝利してゆくべく、帝国軍が結成されるのだ。

その始まりは志願軍とも言われ、ゼリアスを護る事に魂を捧げた者達が集っていく。

戦いのための武力持ち込みもあり、その勢力は一気に拡大、1年も満たぬ内に軍隊としての基盤の精製に成功する。

だがやはり、母星を守護する軍としての証、

絶対的な力という物を彼等は欲した。

某国家の統一心同様の渇きと欲求にて、

彼等は1つの可能性に到達する。

後はそれを実施するのみなのだが、消えぬ最後の問題、外れぬ知恵の輪。

簡潔に言うとエンジン出力が足りないのだ。

だからこの案と可能性は、夢物語として人々の記憶から静かに消えていくのだった。

【夢の実現者、クレイディ・ハウゼン】

大半の帝国市民が帝国新聞の一面記事に反応出来なかった時代に、それは甦る。

彼が起こした夢の実現、それはエンジン=ジェネレータの小型化である。

それまで誰も試す事及び成功する事の無かった【ハイメタチタニウム】を加工、そしてその爆発力を最大限に発揮させる事と継続させる事、そして小型化を実現させたのだ。

全てが彼の閃きと、努力の結晶だとする記事に、帝国市民の心は踊った。

実現するかもしれない、あの絵空事が。

母星の守護星としての、最強の矛が。

クレイディはその記事の後半にて、自身と共にこの夢を実行しないか?

と研究員を募集する。

帝国全土よりの応募を期待していたクレイディだったが、

そこはやはり絞られる、頭脳で金銭を稼ぐ者達に限定されて行く。

それは後に、クレイディの息子達と称えられた夢の実行者達。

クレイディの発想と人柄に魅了された10人の男女である。

その中の一人、エグザル・ドヌーブ。

彼がこの絵空事を埋める最後のピースとなる。

クレイディの元で研究を重ねた8年の月日、皆がまた夢を忘れかけた頃に、現れる。

高効率にてエネルギーの伝達を可能にし、大質量の物体をも軽々と動かせる新伝導効率システムの開発と、

そして夢の形、ヒューマンタイプ戦闘兵器、バイザーの試験機完成である。

帝国全土にオンライン中継されたバイザーの稼働姿に、帝国市民が泣いた。

最強の矛が、遂に我らの手中に…と。

そのオンライン中継の最後に、エグザルは語っている。

『この成功は、実現の父である故クレイディ無しでは叶わぬ夢でした。だからこの機体に、彼の名の一部をつけさせて下さい。』

レイ・バイザー誕生の瞬間である。

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