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(1) ジュリアス・フューリー

遥か彼方に渦巻く憎悪と、私の隣で始まる口論と。

さて、どちらに利がありどちらに非があるのだろうか。

当事者同士の利非にはこの際目を瞑り、遠くでこれから始まる最悪の事態と

今まさに始まっているくだらない争いと。どちらが優先される解決事案なのだろうか。

どちらも急迫ではない、だがその先にある展開を想うと胸が痛む。

結果として、過ぎ去った不毛な時間と引き換えに答えは出るのだろう。

だから今の私には、甲乙を判断する事は出来ない。

きっとこれは、後世の歴史が判断するのだろう。

勿論、勝ち残った側の、勝手なる解釈のもとに…。


(1) ジュリアス・フューリー


時代が独り歩きする事など、過去の歴史を見てもない。

すべては愚の精神を持ち寄った集合体、もしくは強烈な意思を持った一人の人物によって生み出されていく絵空事。

それにより始まる戦乱と、罪のない人々(いや、それらを放置したのだから無実ではない)の削られていく命。

そしてほくそ笑む者達と、肥えていく一部の富裕層。

人類にとって、なんらプラスのない戦火となるのだが、残念ながら好み欲する。

権力という媚薬と、財力という甘味が合わさり、それは極限の調べとなるのだ。

数世紀前より始まりし戦いと謀略の日々が産み出した現状。

1つの惑星から開始された人類の膨張は、宇宙へと広がり、そしてそれは終わること無く続いて行く。

宇宙歴1993年(人類が宇宙へと活動拠点を移した翌年より施工)、世界がミレニアムを実感し出した頃より、始まる。

惑星ポターシャに住むジュリアス・フューリー(23)

彼を中心に、物語は進行して行く…。


惑星ポターシャ、直径約5800㎞、総人口約10億人の惑星。

この宇宙内では中規模サイズ、取り入った物資や資源もなく、自然と生命に溢れたる星である。

当然、都会と称される街もなく、皆が平等に、自然を愛し暮らしていた。

そんな星の小さな町ポポスにて、彼は生を与えられた。

兼業農家ゆえ、大きな財を持つ事の無かった父だったが、情に熱く町民の信頼も厚く、

ジュリアスの愛すべき父であった。

母もそんな情にやられた側で、家族共々愛すべき父であった。

『ジュリアス、来なさい』

ひとつだけ、不満と呼べる事はあった。

このフレーズを父が発する時、それは始まる。

彼の望まざる展開と、苦痛なる時間。

『ここでだな、発芽の数を管理してだな…』

農業、それが良いか悪いかは問題ではない。

継ぎたいかどうか、である。

答えは勿論のノー、それも特大サイズの。

だが継がせる気しかない父は、いや継ぐとしか思っていない父は、

彼の為になると伝承してゆくのだ。

『分かったな? よし、やってみろ』

別になりたい将来の図式があった訳ではない。

だからといって農業はしたくない。

でもやれないと熱き拳が降り下ろされてくる訳で。

敷かれたレールを歩く事を拒絶しながらも、そこを歩くしかない現実に、

まだ幼きジュリアスは、洗練された溜め息を吐き出すのだった。

まぁ、それは彼の宿命であるかのようで、今後もその【やらされる】は続いていくのだが。。。


ポポスの町は小さい、だから学道の始まりと終わりのメンバーは変わらない。

7歳より18歳まで、クラス変えもなく学舎も同じ。

その為同学年とは10年間苦楽を共にし、年齢の近い学童との交流も深い。

ルブル・クロイス(23)は、その10年を共に過ごした親友である。

(現在も交流は継続中)

『農業なんて、がらじゃないよな』

毎日のように繰り返される親友の愚痴に、嫌な顔1つ見せずに対応してくれたルブルを、優しいというか罪深いというか。

まぁ、こんな何もない町で金銭を稼ぐ方法なんて無いのだから、

さっさと腹をくくれと言うべきだったかも、だが。

(ルブルは幼少より既に家業を継ぐことに同意済み)

『貴方に何があると言うの? さっさと決めちゃいなさい!』

ナオミ・レーベル(25)はジュリアスに正論を与え続けている。

幼少より、現在に至るまで。

そしてそれが正論だと理解させる語力と迫力があった。

だから反論は常に倍加で返され、ジュリアスは撃沈するのだ。

だが、ここは引けぬ、引く訳にはいかない。

『俺はまだまだ若い、これからだ可能性が解放されていくのは!』

根拠の無い自信と言葉を、ナオミは何時も鼻息だけで撃退するのだった。

…ジュリアスが自身の気持ちに気付いたのは、最近の事ではない。

初恋と言う言葉を使える年代よりずっと、彼女を見ていた。

何時もの対応具合から【無しだな】と思われていると理解しながら、

想いだけは、日々増大していった。

だから、この集まりに参加しているのも彼女がいるからであり、

当の本人には、まったくそんなつもりは無い訳であり。

【紅き朋翼ほうよく

そもそも、なぜこんな組織に彼女が入っているのかが、一番の謎だったのだが聞けずじまい。

確かに誘われる事はなかったが、

確かに入った後、本気の『バカ!』を頂いたが。

(まぁ、常に正論を与えてくれるのだから、ジュリアスがバカなんだと言う事は間違いない)

紅き朋翼の集会は毎週金曜日の19時より。

つい先日23歳になったばかりのジュリアスも、当然参加となる。

勿論目的は、ひとつなのだが。

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