表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/103

16 サビと俺 ~~こ、この無礼者めがっ!~~

開いて頂いてありがとうございました。どうもうまく書けなくて、見苦しい文章になってしまいましたが、ここで拘っても無理だと思い、とりあえず先に進むことにします。

ゲルマン民族の大移動を見ているうちに目が覚めた。

ローマの何百年もの歴史を見ていた上に、最後に諸民族が入り乱れて移動しまくるので、目が覚めてからも、少しぼうっとしていた。


乳母のクロティルドは、日当たりの良い窓際に座って、何やら作業をしていた。ああそうか、糸を紡いでいるのか。あれは何の毛だろうか。もこもこして、ふわふわの毛を山のように積み上げて、紡いでいっている。日本のやり方や道具とは違うようだが、よく分からない。


クロティルドは、僕が目覚めたのに気付いたようで、立ち上がって僕のところに近づいてきた。

よし。

おっぱいの時間だ。

実のところ、僕は、このおっぱいの時間が大好きになっていた。

いや、大人の身体をしていたときは、別の意味でおっぱい好きだったんだけどね。赤ちゃんになると、気持ちもそうなるのか、単純に食事とか、心地よさとか、そういう意味で、僕は、おっぱいが好きだ。


クロティルドが上衣を開く。

そういえば、最初は、痴女だと思っていたのだが、あれは失礼な感想だったな。


そうとりとめなく考えながら、口を開けた。待ちの体勢だ。


来ない。おっぱいが近づいて来ない。何があったのだろうか。


「あら、テウデリク、おもらししたのね。」

テウデリクって、誰かね?ああ、僕のことか。そういえば、フランク族の王子とか、東ゴート族の大王の名前から貰ったとか言っていたな。


クロティルドは、僕を布団の上に置いて、おしめを取り外した。その辺の布きれで、適当に拭く。

汚れが簡単に落ちないようなので、僕はうつぶせにされて、念入りに拭かれた。


うむ。


「おしめとってくるね。」


クロティルドがそう言って、どこかに行ってしまった。

というか、この部屋は、何階建てかの建物の最上階らしい。ようやく周りが見えるようになってきたので分かるのだが、部屋の隅に大きな穴が開いていて、そこから階段で下に降りられるようになっているようだ。下に何があるか、僕はまだ知らない。洗礼のときに抱きかかえられて降りて行ったのだが、そのときには、まだ良く目が見えていなかったのだ。


さて。


下半身丸出しのまま放置された、この状態で、特にすることもない。


「にゃにゃにゃ!」


サビの声がした。おや、いたのか。そういえば、野蛮魔法の秘術は、未だ解明されていない。あれから何度か蝙蝠を捕まえる瞬間を見ることができたのだが、やっぱり良く分からないのだ。


サビが布団の上に乗ってきた。僕に近づいて、お尻の匂いを嗅いだ。


「にゃあ!にゃにゅにゃっ!」(おいやめろ。)


慌てて窘めるが、無視だ。このサビは褒め言葉以外は分からないふりをするのがムカつく。


かさこそ音がした。


(なに?なにをするというのだ!)


猫が僕の背中に乗ってきた。なんか、密着してきている。僕の脇の下に、サビの前足が差し込まれる。


(ハッ、この体勢は? もしやっ?)


あれだ。ちょっと言い難いが、あの体位だ。その証拠に、しょ、証拠に・・・。

僕のお尻の近くに、何か堅い棒状のものが当たっているではないか。


「にゃにゃにゃ!」(やめんか、無礼者!僕は男の子なんだぞ!!)


叱責するが、全く聞く様子がなかった。


ぐりぐりと押し付けられる。鼻息が荒いのが、非常に腹立たしい。しかし、赤子の身、僕には抵抗する術がない。


(いや・・・術は・・・あるっ!)

必死でお尻に力を入れ、侵入を阻止しようとする。流石に嫌だしね。


「ハアハア、ハアハア」

錆猫が、俺の背中で何か言ってる。猫なのに、「ハアハア」とは、なんなのだ。くそう、この粗チン猫め。

お尻に当たっていた棒が、激しく動き、そして・・・


サビが、「うっ」と言って・・・


熱い物がお尻から背中に掛けて、飛び散った・・・。


・・・


泣きそうだわ。

なんで、こんな目に合わなければならないのだろうか。

もう本能寺で死んでいれば良かった。

サビは、満足したように、「フゥッ」と声を出すと、僕の背中の上で、じっとしている。

ああ、分かるよ。僕も分かるよ。しばらく動きたくないよね。


トントントントン


サビと僕が虚脱していると、階段を上がる足音がしてきた。クロティルドの足音ではない。もっと軽やかな音だ。


部屋に上がってきたのは、3歳くらいの幼女だった。

つぶらな瞳を大きく見開いて、僕と背中の錆猫のことをじっと見ている。ふっ、大人の世界だよ。お嬢ちゃんには、分からんだろうな。分かって欲しくない。

サビは、慌てて、僕の背中から離れて、窓から外に出て行ってしまった。捨てられた女の気分だ。


幼女は、僕の顔から目を離して、僕の背中とお尻を見ている。

見るな。

これは、屈辱だ。恥辱だ。幼女に見られた。不思議そうに凝視されてしまった。


幼女が叫び始める。

「ママー、猫がテウ様のお尻に、白いおしっこをしたよおぉ!」


心の中で泣きながら、幼女が大人を呼ぶのを聞いていた。「白いおしっこ!!」という言葉を連呼している。妙に気に入ってしまったらしく、絶叫している。正直やめて欲しい。ここまで恥ずかしい思いをしたことはなかった。

ところで、その幼女の母親は、クロティルドではないようだ。侍女らしき女が入ってきたが、僕はその顔を見る勇気がなく、自分の手をじっと見つめる。


するとどうしたことか。


僕の手から、うっすらとではあるが、赤い光が見えるではないか。


サブヒロイン登場です(多分)。

ご一読ありがとうございました。

明日も、おそらく同じくらいの時刻に投稿できると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ