第8話 「激突」
耳に劈くような金属音が木霊している。
前鬼が頭部をハンマーの様に振り回し、鹿が前角で受け流す。さっきからそれの繰り返しだ。
うちは苦虫を噛み潰したような表情で状況を見とる。
うちが気にしとるのは一点! 鹿の足下に倒れている人物や。……今ならまだ、後鬼の回復魔法を使えば何とかなるやもしれん!
そう信じ、鹿をその場から離そうと、前鬼に指示を出したんやが。鹿が全く動こうとせん。
澤井さんがそばに居る為に攻撃魔法も一切使えん。余計イライラが増してった。
「なんやねん! お前はぁぁ! はよどっか行けっちゅんねぇぇぇん!」
鹿も、決して余裕で攻撃を受け流していた訳ではなかった。度重なる激しい殴打で、すでに足下がふらつき始めていた。
「奴さん、足にきとるでぇ! 頭を左右に打っ叩くんや!」
前鬼は頭部の出っ張りを左右に振り、鹿の頭を激しく殴打した。
鹿は若干あとずさるが、前足が痙攣して、体制を旨く立て直せない。
うちはこの隙に、一気に畳み掛けた。
「今やぁぁぁぁぁトンボ返りキックやぁぁぁぁぁぁ───!!」
前鬼が鹿の懐に潜り込み、後方宙返りをしながら下半身で蹴りを放つ。
夥しい轟音が一帯に鳴り響き、先ほど前鬼が叩き込まれた家の一階に蹴り入れられた。
更に、支柱を破壊されたのか? 家は中心から倒壊し、その際に発生した粉塵で辺りが見えなくなる。
うちはこの隙に、澤井さんの元に駆け寄った。
胸に大穴が空いていて、穴向うのアスファルトがハッキリ見える。
再び目頭が熱くなり、声を上げて泣き叫びたかったが、その全てを飲み込んだ。
「武田さぁぁぁ──ん! お願いこっちに来てやぁぁぁ! 澤井さんをマギア・アルボーまで運んで欲しんや、お願いやぁぁぁ!!」
武田さんが澤井さんを抱きかかえ、マギア・アルボーの根本まで運んだ。そして、後鬼に命じ全身に回復魔法を掛ける。
うちは頭では分かっていた。もう、どうする事も出来んちゅう事を……体を動かす中心が──無いんやもの……。
回復魔法で体を元に戻せても……うちはそれを、お父ちゃんの時に散々思い知らされた……。
でも……澤井さんは招待者や。さっきマギア・アルボーと契約を交わし、その加護を受けとった。
マギア・アルボーも、うちに力を貸してくれた。今、その僅かの奇跡に縋り付いとる。
澤井さんの左手を両手で掴み、うちの心臓に押しつけ心の底から祈った。
回復魔法がいつも以上の速度で体を治していく。それを見て、うちは奇跡が起こるのかと更に強く手を握る。
でも、治療の終わった体からは……心臓の音が聞こえてこなかった。
鼻孔が熱くなり、両目に涙が浮かび上がった時だった。
倒壊した家から瓦礫が舞い上がり、再び辺りは粉塵で見舞われる。そして、中から甲高い嘶きが聞こえた。
うちは澤井さんの左手をそっと置き、鼻を啜って立ち上がり、涙声で言い放つ。
「えぇで、こうなったらトコトン殺り合おうや! ……うちも、あんなんや気が済まんかったんや……今度はさっきとは違う、正真正銘の全力を見せたるわ!!」
粉塵が晴れ、鹿の姿が見えると凄まじい殺意を放った。
「第三ラウンド開始やぁ!」
目に涙を浮かべ、口元を緩ませて鹿を見遣る姿は、まるで炎の中に飛び込もうとしている蝶の様だった。
前鬼の正面に五つの魔法陣が浮かび上がる。
「先ずはこれでも食らいやぁぁぁぁぁ! 牙炎弾!!」
それぞれの魔法陣から火球が飛び出して、真っ直ぐ鹿に襲いかかる。
五発の火球が一点に命中し、瓦礫が舞い上がり炎が燃え上がった。
だが瞬間! 前鬼の後ろの空間が歪み、そこに鹿が現れる。
「何度も同じ手は食わへんでぇ!! 後鬼! 花方壁!」
鹿が体を溜め、カタパルト突進を仕掛ける。だが、前鬼の上半身部分に円形の光りの盾が現れ、鹿の突進を防いだ!
インパクト時! 周囲に衝撃波が巻き起こり、駐車してある車は近くの壁や別の車などに衝突して、ゾンビ共は吹き飛ばされた。
うちは、澤井さんの上に覆い被さり、互いが吹き飛ばされるのを防ぐ。
鹿の四足はアスファルトを削り上げ、光りの楯──花方壁を押しやるが、ビクともしない。
体を起こして、鹿を睨み付けて言う。
「さっきの、うちらを覆ってた星方壁とはちゃう! 一点しか防げんが防御魔法としての力はこっちの方が上や! もう、自分の突進技は前鬼には利かへんで!」
鹿の足下に、炎の五芒星が描かれる。
「年貢の納め時やぁぁ! 火炎陣!!」
鹿の足下から、炎の柱が現れた。鹿は逃げ出そうとするが、炎柱の内壁は鹿の逃走を阻止する。
前の威力とは段違いで、炎柱内のアスファルトが瞬時に燃やし尽くされた。
そのあまりにも高い温度で、近くの民家が次々と燃え上がる。
「火炎陣は、敵を炎柱で包み込み退路を断ち、焦熱を与える技や。直接炎でのダメージは無いが、永遠に地獄の熱さを味わうで! 生物ならあっという間にミイラや!!」
澤井さんに目を配せ、爪が食い込むくらい、強く拳を握り込んだ。うちの肩や両腕が震えだす。しかしこれは、恐怖では無く──怒りで震えていた。
そして、再び鹿を睨み付ける。
「……ミイラにはせん」
怒気を含み、呟くように喋り出す。
「ミイラだなんて、体が残る死を自分には与えん! ……その体! 木端微塵に吹き飛ばしちゃる!!」
激声を放つと同時に、炎柱の下に水の五芒星が描かれる。
「ここで、スイッチやぁぁぁ! 水氷陣!!」
炎柱が消えると同時に、凄烈な水柱が吹き出した。
「火炎陣の熱さは千二百度や! ここで水氷陣の温度を、限界のマイナス百八十度まで下げれば、一瞬で吹き飛ぶ!……ジ・エンドや!」
水柱の表面の色が白色に変化して、火が燃え上がった家々が一瞬のうちに消化された。それと同時に、大粒の氷塊を辺りに撒き散らす。
うちは、水氷陣の温度がマイナスの限界まで達したところで術を解いた。
刹那! もの凄い爆音が周囲に鳴り響く!
熱衝撃爆発の威力は凄まじく、路面に巨大な穴が空き、その場所には何も存在して居なかった。
「……やった!?」
目頭が熱くなり、体の力が抜けその場にへたり込んだ。
うちは、澤井さんの左手を取り。彼の指をうちの指に絡ませ、両手で強く握り締めた。そして、笑顔で語りかける。
「かたき……討てました……」
片方の手で彼の顔に触れ……右目に掛かっていた前髪をずらす……。
「私が……あなたの代わりに……街も……」
うちが澤井さんに語りかけてる時やった──突如、前鬼が穴に向かって臨戦態勢をとったのだ!?
穴の空気がゆらゆらと揺らめき、何かの体が徐々に発現しだす。
そしてその場から、甲高い嘶きが聞こえた……。
「え?! そ、そんな……? う、嘘や!? あり得ん? ……何で?」
うちは、澤井さんの手を更に強く握り締めた。そして、この光景を否定したかった!
「何で自分生とるんや? ……今まで、あれで死なんかった奴なんておらんかったのに……」
穴の中にはっきりと鹿の姿が現れる。そして、再度空に向かって嘶く。
うちは澤井さんの手を、自分の顔に擦りつけて、堰を切ったように泣き喚いた。
「かんにんや……かんにんしてやぁぁぁ! かたき……取れんかった……あの技が利かんのなら、もう、うちに出来る事あらへん……かんにんやぁぁ澤井さぁぁぁぁん!!」
気概を失い。ただ、泣きじゃくった……。
お父ちゃんが死んでから、ひたすら皆を護る為に努力してきたのに──その努力が、全く報われへんかった。ううぅぅぅぅぅぅうぅ……。
鹿の攻撃を前鬼が受ける。だが、先程とは違い、鹿の猛攻に対処しきれていない。
もう……気力は全く沸いてこなかった。
澤井さんに絡めた指を離し、彼の掌をうちの顔中に擦りつけた。
そして、目を閉じて……彼の胸元に顔を埋めた。
……………………トクン。
「え?!」
今、澤井さんの鼓動が聞こえたような気がした?
顔を上げて、澤井さんの表情を見るが、別段変わった様子は無い。
うちは、もう一度彼の胸に顔を押しつける。
………………トクン…………トクン
間違いなく、心臓の鼓動が聞こえる。
嬉しくて、澤井さんのシャツを強く握り締めた時だった──。
「仇なんか取らなくて良いのに……」
澤井さんの声が聞こえた? うちは勢いよく顔を上げた──彼は目を開き……うちの事を見ている。
顔が崩れ、瞳から大粒の涙が零れだした。
「澤井さん! ……澤井さん! ……澤井さん……澤井さん。澤井さん。澤井さん。澤井さぁぁぁぁ──ん!!」
彼の胸に崩れ落ちて、何度も名前を呼びながら泣きじゃくった!
「……何で逃げなかったんだ?」
「……そんなん……逃げれる訳ないやん……すっごい腹が立ったんやもん!……もう、腹が立って、悲しくて、悔しくて……どうしょうも無かったんやもん!!」
顔を上げて、両手で涙を擦りながら答えた。
うちの言葉が終わると……澤井さんはうちの頬に右手を当てて──親指を口の中に入れて引っ張る。
「あにをふるんれふか?」(何をするんですか?)
「お前が逃げてないから……俺が逃げれないじゃないか?」
もの凄く理不尽な事を言われた。……そして、澤井さんはもう片方の親指も、うちの口の中に入れて左右両方に引っ張る。
「ひはいれふはわいはん!」(痛いです澤井さん!)
うちの口から指を抜き、右手で頭を優しく『ポンポン』と叩いた……そして……。
「ありがとな……。」
聞いて欲しいのか、聞いて欲しくないのか? ……小声で語ってくれた。
うちは両頬を摩りながら、何かを話そうとするんやけど、旨く言葉が出てこない……。
「全く、何してくれるんだ、お前は! 俺の町内がメチャクチャじゃないか!?」
今までを全部見てきたかのような? とても不思議な事を言う。
「え?! ……澤井さん……何で知って……」
その時、倒壊した向かいの家から、轟音と共に瓦礫と粉塵が巻き起こった!
前鬼──くんが、鹿に吹き飛ばされたのだ。
鹿は、荒い息を吐き、空に激しく嘶いた。
「先に、あいつをどうにかしないとな!」
澤井さんはそう言って体を起こす──だが、治療が不十分なのか、胸を押さえてふらつく。
「ダメや澤井さん! そんなん体で何する気や! ……うちが……うちがもう一度がんばるから……そんなん止めてぇぇ!!」
うちが再度、瞳に涙を潤ませて訴えると、澤井さんはうちの頭に手を置き……
「ここからは、俺のターンだ! 格好付けさせろ!」
と、口元を緩ませて言った。「でも!」と反論すると……
「舞名! 俺に力を貸してくれ」
と…………言われた。
(狡いやん、こんな時に真顔で、うちの名前読んで……うちの事頼ってくれて…………凄く嬉しい……)
「狡い人や……そないな事言われたら……断れへんやん」
澤井さんを行かせるなんて、絶対嫌やのに、笑顔で返してもうた。
こうなったら、澤井さんが何をしようとも、全力で護るしかない。
「どうするんですか? ……あの──鹿は、前鬼くんの最強の攻撃でもダメだったんですよ?」
「あぁ……そうだったな! でも、あれは生物じゃないからしかたねえよ……。」
またや!? やっばり澤井さんはうちの戦いを全部知っとる……そして、何故か鹿の正体まで?
「え?! 何で知ってるんですか? そして、あの鹿は何なん?」
「それは、追々話してやるよ! ……後、あの鹿はこの土地の霊獣だ!」
「……れーじゅー?」
「あぁ! “ユッコルカムイ”だ!」
「ゆっこ? ……かむい?」
「アイヌの霊獣だよ!」
「……あいぬ?」
全く知らない単語が出てきて、チンプンカンプンや。
「俺がユッコルカムイに突っ込むから、あの小さい楯であいつの突進を防いでくれ」
「な!? 何言ってるんや! そんなんあかん! 失敗したらどないすんや! ……あかん、絶対あかん!」
澤井さんの要求に全力で反対した! だって、失敗したらまた串刺しに──今度も助かるなんて分からんやんか!?
「頼む、舞名! お前を信じているから」
またや……また一番言って欲しい言葉(名前)を、一番言って欲しくない時に言う。……凄い狡いやん。
うちは拳を強く強く握り締めた。
「分かった……うちが澤井さんの事、全力で護る!」
「サンキュー! なら、俺の足掻きをしっかり見せてやるよ!」
そう言い、澤井さんはユコル──ゆっこ? ──鹿の方に向き直った。
鹿は嘶いた後、首を左右に振って、うちらの方に向き直り。地面で前足を蹴って、突進の体制を見せた。
澤井さんは両腕を互いの腕で掴み、押さえ付けている。……まるで怖くて震える体を、無理に黙らせている様に見えた。
そう言えば、この人はそういう人やった。……うちの為に格好付けて本気で体を張る人。
戦うとか、ましては殺すなんて、今まで考えたこと無いやろに。それを無理矢理押しつけられて、パニックになるのが当然やのに……。
うちかて、最初の頃は澤井さん以上にパニックしてた。泣き叫び、絶望して──師匠がおらんかったら、うちは今頃死んどったんとちゃうかなぁ?
他人の為に体を張るなんて、うちには出来んかった。自分の事で精一杯やったから。だから……お父ちゃんが死んでしもうたんや……うち達を護る為に……。
お父ちゃんも怖くてパニックしてたのに。うちやお母ちゃん為に、無理して……我慢して……。
ほんと、澤井さんはうちのお父ちゃんそっくりや……すっごく、大好きなお父ちゃんに……。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ────!!」
澤井さんが叫んだ。でも、恐怖を払ったんやって事が……うちには分かる。
「よっしゃぁぁぁ!!」
かけ声と共に、澤井さんが走り出した。それに呼応するかのように、鹿も澤井さんに向かって駆けだす。
「後鬼くん! 花方壁やぁ!」
うちは渾身の思いを込めて放った! どんな攻撃でも受け止める、強い強い楯のイメージをして。
澤井さんが鹿と接触する瞬間! 彼の胸元に円形の光りの盾が現れた。そして、激しい衝突音が鳴り響き、辺りに衝撃波が巻き起こる。
粉塵が舞。うちも飛ばされて、マギア・アルボーに背中を打ち付けた。
「澤井さぁぁぁぁぁ───ん!!」
埃で視界が奪われ、状況がよく見えない。
「澤井さん! 澤井さぁぁぁぁ────ん!!」
澤井さんの無事を祈って何度も呼んだ!
「あいよ!」
澤井さんの声が聞こえた。それと同時に埃が晴れ、彼の前で花方壁が強い輝きを見せている。
鹿が前に進もうと足掻いてるが、花方壁は一切の進入を許さない。
「舞名……サンキュー」
お礼の言葉が嬉しくて、顔が綻んでしまった。
澤井さんは足掻いている鹿に手を伸ばし、角を掴む!
「やっと分かったんだぜ、何故ダメだったのか? ……この魔法は、臆病者は使えないんだ! ……自分が安全な場所に居て、遠方から放ったって意味が無かったんだ! 何故なら……こうやってガチに向き合い、相手に接触して初めて発動するんだから……」
澤井さんの右手から青白い光りが放出される。
「ブレーンウォッシング!」
鹿は微弱な光りを発して体を小刻みに震わせた。そして、後方に下がり頭を左右に振って嘶く。
「もう、大丈夫だぞ」
澤井さんの言葉を聞き、彼に駆け寄った。
澤井さんはメニュー画面を開き、使役者の項目を見ていたので、うちはそっと覗き込む。
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◆使役者◆
種族 :霊獣 【ユッコルカムイ】
年齢 : -
生息地 : 日本国北海道全域
LV 3
力 890
耐久 340
魔力 490
精神力 490
種族解説 : ユッコルカムイとはアイヌ伝承における鹿の霊獣である。霊獣や精霊は大地のエネルギーそのもので構成されている為、大地と切り離さない限り存在を消滅させる事は出来ない。
特殊能力 : 自らの力を何倍にも高め、爆発的な加速で相手を攻撃する。肉体を量子分解したり再構成したりする。
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「霊獣ってそういう存在だったんですね? ……だから、倒せなかったんだ」
思った事を、つい口に出してしまう。私の癖だ。
「わっ! お前はどうしていつも勝手に覗いているんだよ!」
澤井さんが、またもや大慌てでメニューを閉じてしまった。
私だって、詳しく知りたいのに……そういうところは意地悪だ。
だから、不満を声に出して言ってやる。
「いけずぅ~」
そして、澤井さんはユッコ──鹿に手をかざして言い放つ。
「まあ……色々とあったが、お前も今日から俺の部下だ! ……宜しく頼むな ……取り敢えず今は帰ってくれ」
鹿の足下に、見たことの無い模様の魔法陣が浮かび上がった。
「サモンゲート」
澤井さんの言葉と共に、鹿は魔法陣の光りに包まれて消えていった。
「へぇ~ ユーカラ模様の魔法陣か」
(ゆ~から?)
またしても意味不明の単語を聞く。
そして私に向き直り。目を泳がせて、人差し指で頬を掻きながら話し始めた。
「そのぅ……何だ?……ま──こ、小鑓さん、色々と有り難うな……。」
澤井さんが、私の名字を呼んでくれた。
覚えてくれたんだと喜んだが。さっきまで下の名前を呼んでくれてたのに、これはあんまりだと思う……。
「え、えと、澤井さん……わ、私の事は、ま、舞名と、下の名前を呼んで欲しいです……。」
私は今、多分! もの凄く赤い顔をしてると思う……あまりにも恥ずかしくて、顔を俯いたままでしか話せない。
「あ! そうか、なら、舞名……サンキューな!」
『ボッ!』……間違いなく、今! うちの顔は茹で蛸みたいになっとる。両手で頬を触っても凄く熱いの分かるもん!
今のではっきりした。うちは、本気で好きになったみたいや──そりゃそうや! うちのこと命がけで護ろうとしてくれたんやもの、これで惚れないわけないやん……あかん! 心臓がバクバクしてきた。立ってれへん……。
全身の力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
「おい! 舞名! 大丈夫か、しっかりしろ!」
澤井さんが、うちを抱きかかえて心配してくれてる。すっごく幸せやぁ~
周りからゾンビ達の呻き声が聞こえてきたけど……今は考えんとこ。せやから後鬼くん、星方壁を宜しくや!
◇◇◇
HEROS Community (ヒーローズ コミュニティ)
◆チャットルーム◆
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
何だよ セルゲイの奴来てね~じゃね~か 人を呼び出しておいてよ (怒)
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
黙るのですね
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
ハァ~~ 何か言ったか ( ゜Д゜)ゴルァ!!
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
その顔文字もウザイのですね
直ぐ止めて欲しいのですね
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
顔文字はネットの文化なんだよ! てめ~も アホみたいな語尾 打ってんじゃね~よ ヴァ~カ ヽ(`Д´)ノ
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
貴方に言われたくないのですね
それにこの喋り方は元々なのですね
名前:レオニード・シェレスト No.0853
お前らいい加減にしろ。
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
セルゲイの奴が居ね~のが悪いんじゃんか
アイツが来て さっさと用件を済ませりぁ こんなバカ女の相手なんてしなくてすんだのによ! (-公-)y-~
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
私だって、お前みたいなの、相手にしたくないのですね
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
おう! 上等だゴラァ! 俺のNo.登録しろ! 今すぐお前のとこ行ってけりつけてやっからよ! ヽ(`Д´)ノ
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
お断りなのですね、お前みたいなのが来たら、私の街が汚れてしまうのですね
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
何だと! ( ゜Д゜)ゴルァ!!
名前:レオニード・シェレスト No.0853
いい加減にしろと言っているのだ!
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
ゼリグもカーチャも相変わらずだな。
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
セルゲイ Σ(°△°)
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
セルゲイ
名前:レオニード・シェレスト No.0853
やっと来たか。
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
済まん遅れて。木と対話していた。
名前:レオニード・シェレスト No.0853
マギア・アルボーとですか?
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
そうだ。
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
で? 何なんだよ 俺たちを呼び出したのは (。-`ω´-)
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
魔王がいる。
名前:レオニード・シェレスト No.0853
魔王?!
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
何なんだ? そのゲーム展開は? ( ̄^ ̄;)
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
噂で聞いたですね
イギリスの方に魔王“レヴィアタン”が現れたと
名前:レオニード・シェレスト No.0853
あの、聖書の魔王ですか?
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
うわっ!? 対峙したくね~ (ノ >д<)ノヾ
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
確かにそれも驚異だが、そっちは対策部隊が結成された。
先程会議で決まったとこだ、明日にでも告知されるだろう。
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
私の言う魔王は、招待者の中にいる。
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
どういう事なのです?
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
何だよそれ! ヽ(`Д´)ノ
名前:レオニード・シェレスト No.0853
詳しく話して頂けますか。
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
私も詳しい情報は分からないが? 先程マギア・アルボーの力の中に、ハッキリと魔王の存在を感じたのだ。
つまり、招待者の中に魔王がいる。
名前:レオニード・シェレスト No.0853
それは、由々しき事態だ。魔王とはこの世に災いをもたらした張本人。
魔王共がゾンビを生み出しているのですからね。
レヴィアタンには対策部隊が組織されたのなら、我々は招待者の魔王を何とかしましょう。
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
有り難い。だが、不明瞭な事ばかりだ。なので、はっきりとした事が分かるまでは、上にも進言が出来ない。
それに、今はそれどころではないしな。
この件は、私の独断で行う事になる。それでも、手伝ってくれるか?
名前:レオニード・シェレスト No.0853
喜んで、お手伝いしましょう。
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
ゾンビの王様か! 上等じゃねえか! 俺がぶち殺してやるよ! ヒャヒャヒャヒャ
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
私も協力するのですね、人間の魔王を倒すのですね
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
有り難い。
だが、その存在を感じただけで、実際何処にいるのかも分からん?
まあ、その辺は私が根気よく、マギア・アルボーと対話を試みるしかないのだが……。
名前:シト No.0666
魔王の居場所を教えてあげましょうか?
名前:レオニード・シェレスト No.0853
?!
名前:ゼリグ・カーハン No.3003
誰だ おめぇ~?
名前:カーチャ・コヴァレンコ No.2997
だれ?
名前:セルゲイ・ペレルマン No.0007
知っているのか? 魔王の居場所を!
名前:シト No.0666
魔王は、日本にいます。