戯れ書き
※連載中・構築中につき、誤字や細かい部分の修正、挿絵の追加等、後日に行います(物語の大筋に支障が無い程度です)。
※お読み頂く際、残酷描写、及び不快表現や猥褻な内容が含まれている場合があります。苦手な方はご遠慮下さい。
(2012.10.1.)
【戯れ書き(ざれがき)】面白半分に書いた文章や書画。
戯れ書き・一 世界構築
ラッダイト運動――19世紀初め頃、英国の中・北部で起こった、紡績労働者による機械の打ち壊し事件があった。
機械は抵抗出来ず、使用不可となったガラクタは、大量廃棄された。同盟罷業やストライキだったと笑う者は言い、再笑う。
機械が機会を得、人智を凌駕する、そんな戯れ言は隈なく却下されよう、労働は、人のものであった。
13世紀初め、『巧妙な機械装置に関する知識の書』を著した現在のトルコ・ディヤルバクル出身、アラブ人博学者アル=ジャザリは、城時計という天文時計を発明した。黄道十二星座、太陽と月の軌道、月相を示すことができたらしい、世界初の、「プログラム可能」なアナログコンピュータとされており、5体のロボット楽団が音楽を演奏したという。紀元前から存在する十露盤などの計算器具は、機械式計算機、電気、電子、コンピュータと姿を変え、高機能化、高速化してきた――全てが、計算による未来予想演算化され、一定律の規律を造る。
宇宙原理である調和は乱されることなく具体化され、歯止めの利かないポリシーは、捨て置けることとなった。
輪を結び人は自由と言う名だけの規律に従則し、地で紛うことなく日々の生活を送っている……
時は20世紀、地を、地の球と呼んだ。月の傍を、一周する。
月を陽と言う者も居た。昔の話である。
「カレン……」
午後8時に、彼は毎時にそう呟く。
名は無く、藁のホウキにも似た荒くれの髪を持つ彼は、「人」ではなくなる前に、呟くのだ。
全身を毛で覆い尽くされる前に、人でなくなる前に。彼はもはや、人ではないのだ――「カレ、ン」
声が声でなくなる前に。
戯れ書き・二 彼の言
カレンのように与える美しい者もいれば、猟師のように奪う奴もいる。
私に平穏はないのか?
愛し、愛され、憎み、憎まれ、そして……
カレンは死んだ。
私の傍らで、そっと、微笑みながら、最期の心音を、刻んだ。
何も言わずに。
「愛してる」と告げずに。