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こぼれ話09―②




初っ端から皇紀はやってくれた。


珠姫に連れられて行った先、祖父の前にて珠姫に挨拶指導しやがった。


珠姫のリアクションの無さには親戚一同納得済みだったから、あの祖父でさえ珠姫に関しては返事を強要しない。

頷いただけでも上々と思っていれば、「挨拶はきちんとしろ」ときた。

さすがの俺もすぐには反応できなかった。

そんなこちらなど放っておいて、話は進み、異を唱えることなく珠姫が挨拶をしたものだから大変だった。


みんな唖然呆然。


声もなく驚く俺たちなど構わず、叔母の笑い声が大広間に響いた。


その後も叔母が皇紀がいかに珠姫にとって重要か述べ、賛辞するのに、俺は聞き漏らすまいと集中した。

多分、祖父とその大半の親戚は話半分(もしくはそれ以下)で聞き流しただろう。

だが、俺はこれは限りない真実なのではないかと思っていた。



「小さい頃から皇くんがいたら珠姫はご機嫌で――」


ほぼ生まれた時から一緒だったらしいことから入り、いかに皇紀に助けられたかを語る叔母を止めたのは叔父で、俺はそのことに不満を覚えた。

もっとその話を聞きたいと思ったから。

しかし、大半は叔父がしゃべり続ける叔母を止めたことにほっとしたことだろう。


機会があれば聞いてみよう。


そう自分に誓って、俺は視覚から入る情報を取り入れる方に意識をかえた。












長兄組が皇紀を待ち伏せする計画を立てていることに気付き、無理やりそれに参加した。

人数が多すぎると警戒されるかもとのことで、兄貴に遠慮してもらった。


「お、お前って奴は……」


ごねた兄貴をちょっとしたネタで抑え込んだんだが、そのせいで従兄弟(長兄組)たちの顔が引きつっていたのは、まあ…大したことじゃない。


集めたネタってのは、こう貯めるだけじゃ意味がないからな。


ここぞという時に使う。


これが正しい使い方だ。


じゃないと使えないまま終るからな。



と、そんなことはどうでもいいことだった。


浴衣を持って露天風呂に向かう。

皇紀は脱衣所に居らず、浴場のほうからお湯の流れる音が聞こえてきた。


早く皇紀と話をしてみたくて、さっさと服を脱いで入る準備をしていれば、従兄弟たちが驚いた顔をして俺を見てくる。


従兄弟たちがそんな顔をする理由は分かっている。


いつもの俺は全体を見て行動するクセがついてて、周囲の様子を見て判断し、行動に移す。

所謂慎重派ってやつだ。


そんな俺がいつもの慎重な行動を投げ捨てたように動いていることに驚いているんだろう。


だからといっていつものように行動しようとは思わない。

俺はあいつと話してみたい。


湧き上がる感情に振り回される。


今までになかった感情に、ちょっと興奮してる。


でも、それがけっこう楽しくていいと思うんだ。




浴場で見た皇紀は……あー、うん、イイ身体をしていた。

危ない意味じゃないぞ。


服の上からでは想像出来ないくらいに引き締まっていたんだ。

これが噂に聞く細マッチョってやつなのか。

そんな事を思った。


俺たちの登場に動揺したような様子は見られず、感心した。

その後、俺たちに囲まれた時には流石に困惑した表情が表に出ていたが。


挨拶をかわしてそれぞれに湯船に沈む。

無言で従兄弟たちが皇紀を観察するのを放っておいて自分の欲求に忠実に従って話しかけた。


そこで分かったのは自分と同い年って事と、俺の周りには居なかったタイプだということだった。


こいつ絶対ダチになったら面白い。


俺は確信した。


そして、決めた。


絶対ダチになってやるって。


気付けば、珠姫の特別だからとか関係なく、俺は皇紀に興味を持ってしまっていた。



注)これはBL成分は入っておりませぬ。


……何処に向かって言い訳してるんでしょうね(哀)


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