こぼれ話09―①
活動報告にて予告(?)していた大河視点の話です。
GWの話を大河視点でちょい抜粋。
男も女も関係なく、親戚一同(うちの家族も含めて)、筒井珠姫に夢中である。
残念ながら、俺はその範疇には入らないが。
俺の名前は藤路大河。
珠姫の従兄弟で、珠姫の親父さんである真さんの二番目の兄の3男坊にあたる。
珠姫とは近すぎず、遠すぎずな関係ってところか。
うちの家系は男系で、女が少ない。
そのせいか、稀に生まれる女児はとても過保護に甘やかされ、守られる。
その中でも珠姫は特別だ。
それはどうしてか?
ひとつは見目がいいことだろう。
別に、他のやつらが醜いってわけじゃない。
親戚連中見回しても、結構整った奴らばかりだ。
ただ、珠姫は格が違うのだ。
……そのせいで結構誘拐・変質者騒ぎが後を絶たなかったぐらいだしな。
つぎに、あの表情の乏しさというか、感情の少なさが庇護欲(?)を掻き立てるらしい。
美佐(姉)や千里(従姉妹)は感情表現は豊かなのだが、珠姫だけは小さい頃から少しも変わらない。
いや……珠姫も少しは変わったのか?
小さい頃は寄ってもこないし、反応が無いに等しかった。
しかし今は、話しかければ表情を変えないまでも、何かしらリアクション(注意して見てなければ分からないほどだったりもするが)はある。
うちのやつらは全体的に構いたがりというか、世話好きが多いというか……懐かない動物(?)ほど闘志がわくというか……。
すまん、ちょっと変な奴らが多いいかもしれん……。
で、結局、長年の珠姫との攻防(?)の末、気づけば親戚一同見事なまでに珠姫フリークスとなった。
いつの間にか珠姫に関する同盟みたいなものも出来てて、俺的には「なんだかなー…」って感じ何だが。
まあ、俺の立ち位置としては、珠姫と珠姫を取り巻く親戚たちの動きを観察して楽しむって役どころだろう。
しかし最近は年頃になった珠姫に、本気で惚れてしまった年の近い従兄弟が数名ほどいて、今までのみんなの珠姫から自分だけの珠姫にしたいとか、独占欲とかも混じってきて、面白すぎて目が離せなくなってきている。
それらに煽られて、ちょっと年の離れた辺りの従兄弟たちの行動も変わるかもしれないって俺は推測してたりする。
本当に…どうにも目が離せない状況だ。
やべぇなぁ…楽しいじゃねぇかっ!
俺を楽しませてくれよな、みんな!!
今年のGWの集まりはやばいくらいに楽しい。
久しぶりに会う珠姫はやはり綺麗だった。
春休みにも集まりがあったのだが、叔母が県外への入学に、引っ越しだったりの準備を理由に断ってきたのだ。
俺的にはその話が回ってきたときのみんなの反応には楽しませてもらったが、すごい落ち込みようだったぜ。
そんな訳でちょっと再会までに間が空いたわけで、みんなのテンションも最初から高かった。
そんな中だ。
珠姫たち家族におまけが付いていた。
俺にとっては嬉しい誤算なおまけで、他のみんなにしたら悪夢のようなおまけ。
おまけの名前は宮ノ内皇紀。
珠姫のひとつ上で、俺と同い年だった。
そして重要なのはそこではない。
皇紀は、珠姫の「幼馴染み」だった。
珠姫にとっての「特別」が現れたわけだ。
初めて会うそいつは、ごくごく自然に珠姫の『特別』という名のポジションを占領し、親戚一同を敵に回した。
おっと、全員じゃないってことは付け加えておくべきだな。
俺はそう思ってないからさ。