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活動報告にオマケが載ってたりします。
良ければどうぞ。
俺の願望が叶うはずもなく、未だ大広間。
仲直り(そもそも喧嘩していたわけではない?)した2人に、それ以外。
今度はその「それ以外」である親戚さんたちと揉めてたりします。
ああ…茶番。
「珠姫ちゃんのお宝データはみんなで共有すべきだと思う!」
「そうだそうだ!」
「駄目よ。この写真データは私たち夫婦だけのものだもの!」
「そんな馬鹿なっ!?珠姫に関しては協定があるじゃないか!」
「それとこれは別だよ」
「別じゃないわよ!」
みなさんヒートアップしてます。
てか「協定」って何?
そんなの結んじゃってるんですか?
この一族恐ろしいわ…。
うんにゃ。そんな協定を作らせてしまう珠姫が恐ろしいのか…?
そう思って珠姫を見て気付いた。
「澪さん」
「だからっ…皇くん?」
「珠姫が眠たいみたいです。部屋に戻ってもいいですか?」
珠姫の頭が時折揺れるのと、瞼が緩慢に動くので気付いた。
どうやら澪さんたちの攻防に興味は無いようだ。
俺の服の裾を掴んでぼうっととしている。
「あら、疲れちゃったのね。分かったわ。皇くん、よろしく」
「はい。じゃあー」
「おい!待てよっ」
「……」
はい、また突っかかってきました~(投げやり)。
「――何か?」
「何かじゃねぇよ!何処をどう見たら珠姫が眠そうって見えるんだよっ」
こいつ馬鹿か?
明らかに眠そうだろうが!
周りを見て見ろよ!
……あ?
なんか周りも分かってない?
……珠姫の状態も分からないって、駄目じゃねぇか。
澪さんと真さんはすぐに分かってくれたのに。
呆れた。
珠姫に好意を寄せるわりにこの程度も分からないんじゃ、こいつの気持ちもその程度ってことだ。
付き合ってやる価値もない。
「おいっ!何無視してー」
「皇ちゃん、眠い」
どうするかと思っていれば、無視されたと憤る奴を後目に珠姫が俺に訴えてくる。
周りで囀っていた親戚たちが一様に口を閉じて部屋の中がしんとする。
流石に奴も珠姫(本人)の言葉に口を閉じた。
「ああ…部屋に戻ろう」
「ん」
立ち上がる俺と珠姫。
真さんから部屋の鍵をもらった。
「失礼します」
余計なことはそれ以上言わず、大広間を後にした。
珠姫熟睡。
部屋に帰ってきて、限界だったのか、珠姫がすぐに俺の膝を占拠して昼寝に入った。
辛うじて軽い掛け布団と鞄をたぐり寄せることに成功した。
鞄の中から読みかけの小説を取り出そうとして、GW中の課題を出されていたことを思い出してそれをすることにした。
宿題など最終日にやるって奴もいるが、俺は断然前に片づけてしまう派だ。
後で慌てるくらいなら前にやってしまった方が何かあっても対応が出来る。
主に高知のせいでやらなきゃいけないことが増えたことが数え切れないくらい…悲しくなってきた。
「疲れた~」
1時間ほどして澪さんと真さんが帰ってきた。
様子からして、先ほどの戦い(?)は上手くいったらしい。
「お帰りなさい。データは死守できたようですね」
「分かる?そうなの。マコが今回頑張っちゃったのよ~」
「えへへ」
「…」
いい年した男が照れるなと言いたいところではあるが、それが似合ってしまうんだから言う必要はないだろう。
「それは良かったです。…まあ、従兄弟の人たちがいっぱい写真撮ってたんで、問題ないでしょう」
「…」
「…」
「どうしました?2人共」
じっと俺を見る2人に首を傾げる。
「問題おおありだと思うわ」
「そうだと思う」
2人と意見が一致しなかったらしい。
残念だ。
ん?残念か??
「ほかの子たちが撮った写真データも回るだろうけど、きっとみんな皇くんが撮った写真のデータが欲しいと思うよ?」
「…そうかもしれませんね」
それはまあ…肯定しておく。
確かにほかの奴には撮れなかった写真だ。
珠姫の笑顔写真なんてそうそうお目にかかることはないだろうな。
「皇くんもあげちゃ駄目よ?」
澪さんに言われて苦笑する。
「金つまれてもあげる気ないですよ」
「なら良し!」
当然だ。
珠姫の特別を簡単に人に渡せるほど俺は心が広いわけじゃないし、軽い気持ちで珠姫に接してるつもりはない。
結局のところ、俺も珠姫が特別なんだ。
珠姫の髪を梳きながら庭園を見渡す。
今日もいい天気だ。
珠姫が起きたら今度こそ市内見物をしようと決めて、課題に視線を移した。
そんな俺を澪さんと真さんが笑って見ていたようだが、俺は気付かなかった。