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2話続けて更新です。お気をつけください。

活動報告にてちょっとしたオマケが掲載されています。よければどうぞ。




玄関先から場所を移して、大広間。


今日の朝食でも使った大きな部屋に来ていた。


どうしてここなんだと思ったが、口を挟むのも面倒ごとに発展しそうで、あえて何も言わなかった。


当然のことだが、従兄弟連中から親戚一同揃い踏みだ。


ため息の10や20ついても罰は当たらないと思うがどうだろうか。



「それでー…何かありましたか?」


口火を切る。


こんな居心地の悪い場所に長居したくなくて澪さんを促した。


「何か?それ本気で言ってるの?」

「…そうですね」


ニコリと笑う澪さんに背筋がゾクゾクするのは何故だろう。


機嫌が悪い?


いやいや、不機嫌なら負けはしない。


俺も十分機嫌が悪い……はずだ。




「…皇くん相手に腹のさぐり合いなんてしたくないから単刀直入に聞くわね」

「お願いします」

「写メのことよ」

「写メ?」


写メというと、やっぱり先ほど真さんに送った写メのことだろうか。


いや、それしかないだろう。


真さんが機嫌良くて、澪さんが不機嫌なんだから。


「真さんに頼まれて写メを送りましたが、それが何か問題が?」

「問題はないって?」

「ないと思いますが…」

「問題おおありだわ!」


ダンッ!と目の前のテーブルに手を叩きつける澪さん。

それに同意するように頷く一同。


ああ、一同と言っても外出組は何のことか分からずみんなを窺っているようだ。


「どんな問題でしょうか」


周りも気になるところだが、まずはというか、澪さんの話だ。


「マコが皇くんに送ってもらった写真のデータを私にくれないのよ!!」

「…」


真剣に聞かなきゃと思った俺が馬鹿だった。


とてもくだらない…。


てか、俺をすぐに呼び戻す必要なくない?

外に出たと思えば誘導されて市内見物なんていっこも出来なかったんだぞ。

俺は真さんに頼まれて写メを送っただけで、その後のことは関係ないと思う。


今すぐ部屋を出ていきたい。


「ええと…それは真さんと交渉するしかないのでは?」


それでも話に参加する俺。


優しいなあとか自画自賛したら駄目?


「話したわよ!でも、マコが絶対あげないって言うのよ!!」

「そうですか」

「私の気持ちが分かる?本当は珠姫や皇くんと観光に行きたかったのに、旅館に缶詰とか。せっかく珠姫に久しぶりに会ったんだから、おいしいもの探して食べ歩きしたり、一緒に写真撮ったり色々したかったのにここまできて我慢とかあり得ないし!!」

「……」


うん、色々限界だったようです。

ズラズラと鬱憤をぶちまけてます。

止まるどころか勢いを増しています。



でも気付いていますか?澪さん。



ここは俺たちしか居ないわけではないのですよ。



周囲の人たちが澪さんの言葉に苦笑いしてます。




「我慢して我慢して、その結果がこれよ!マコは皇くんに頼んだんだからあげないって言うし」

「…お言葉ですが、澪さん」


まだ続きそうな澪さんのグチを申し訳ないが遮った。


「何?」

「最初に真さんに写真データをあげなかったのは誰でしょうか?」

「え!そ、それは…」

「澪さんですよね?」

「は、はい」

「――夫婦間のことに他人がとやかく言いたくはないのですが、澪さんは勝手すぎだと思います」

「っ!」


今度はこちらがにっこりと表現されるくらいに笑ってやる。


澪さんの顔がひきつったような気がしたが、気にしない。


「澪さんの趣味・・に口を挟む気はありませんが、自業自得だと思いませんか?俺も母も(多分…)片方の為に写メを珠姫に送らせてるわけじゃありません。2人のために送らせてます。ですが、今日真さんから連絡が来てそうじゃないことを知りました。だから俺は真さんのためだけに写メを送らせてもらったんです」

「…」

「約束したことですから、今回俺が澪さんにあの写真データを渡すことはありません」

「!?」

「ここまで言ったらわかりますよね?俺に言い募っても無駄です。――もう一度真さんと話し合ってみてはどうですか?…真さんほど澪さんのことを想っている人もいませんし。真さんも頭が冷えたようですから、話を聞いてくれることでしょう」


俺が言えることは…いや、言いたいことはこれくらいだ。


口を閉じて真さんを見れば、先ほどと違って苦笑を口元に乗せてこちらを見ていた。


「皇くんにはかなわないなあ…」


ポリポリと頭をかいて言葉をこぼす真さんに張りつめた室内が綻んだ気がした。

これぞ人徳か。


「澪さん」

「マコ…」

「僕の気持ち…少しは分かってくれた?」

「…」

「澪さんと一緒で珠姫と会えなくて寂しいのは僕も一緒なんだよ?写真データもらえなくて僕はすっごく悲しかった」

「っ!」

「僕は澪さんと一緒に珠姫が居ない寂しさとか、送られてくる写メを見て嬉しさとか共有したかった」

「!!…ごめんなさい」

「分かってくれたらいいんだ。澪さん、大好きだよ」





……




うん、すいません。

自分でこうなるように話を持っていったのに、口から砂が出てきそうです。


お2人とも、仲がいいのは結構ですが、親戚一同いらっしゃいますよ?


めっちゃガン見されてます…。




本当に…部屋から逃亡しちゃ駄目ですかね?




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