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短いです。いつものことですが(苦笑)
旅館に帰ってきて驚いた。
旅館の門のところで澪さんが待っていたのは、まあ…予想の範囲内に入るか。
澪さんの表情が鬼気迫るものであるのが気になる一点だが、その横に、満面笑顔の真さんが居ることで予想以上のインパクトだ。
そしてそんな澪さんと真さんから少し離れたところには珠姫の従兄弟殿たち(出先でいなかった辺り)とそれ以外(親戚連中)が顔をのぞかせていた。
申し訳ないが、すごく嫌な出迎えだ。
「おかえりなさい、皇くん」
「おかえりっ!皇くん!!」
「…」
珠姫が横にいるにも関わらず、2人は俺を名指しで呼んだ。
やばい、Uターンしたい。
しかし、Uターンしようものなら、追いかけられるのが目に見えている。
それだけじゃなく、俺たちの背後にはこれまた珠姫の従兄弟殿がいるから無理だろう。
そう。結局彼らは俺たちについて帰ってきたのだ。
…当たり前か。
珠姫が目当てな奴らだ。
旅館から呼んだ送迎車に乗るときにも一悶着起こりかけた。
珠姫の一言ですぐに終わったが、面倒くさいことこの上ない感じだった。
俺を巻き込まないところでやって欲しいと思うが、珠姫が俺から離れないのだから無理ってものだ。
「皇くん」
俺の逃避を妨げる声が届く。
そろそろ現実に目を向けなければならないようだ。
「…はい」
「お話があります」
「…」
神妙な顔で澪さんが俺に視線を注ぐ。
いつも以上にその視線は強く、俺は目をそらせない。
「ええと…旅館の玄関先で話を始めるのはどうかと思うので、移動しませんか?」
どんな話か分からないが、こんな落ち着かないところで話を始めないで欲しい。
俺の言葉に今居る場所を思い出したのか、澪さんの視線が俺から逸れた。
ホッと一息吐く。
「そうね…移動しましょう」
澪さんが旅館の中へと入っていく。
それに続く真さん。
真さんの後に続きながら、後ろから聞こえてくる多数の足音に俺は戦慄した。
付いてくるのかよっ!!?
……珠姫の親戚ご一行、ご案内のようです。