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07

※途中で視点変わります。






適度な長さで校長先生の話が終わり、他の来賓の方々の話も問題無く終わる。

現在は、今年の新入生代表者が挨拶を述べている。


これが終れば次は自分だなぁとそれほど緊張という緊張もせずに待つ。

ここまできたらもう、腹を括るしかない。


人前で話すのは好きではないが、苦手というわけではないので、なんとかなるだろう。

そうこうしている内に、新入生挨拶も終る。

教頭先生にも顧問の井川先生が話を通してくれているので問題は無い。


式は後少しで終る。


さっさと終わらして帰りたいと思った。



「在校生挨拶。在校生代表、宮ノ内皇紀」

「はい」


やってきますか。






腹を括れば堂々としたもので、皇紀は遅くもなく早くもない速度で前に進み出た。

来賓、保護者、教師といった場所に視線と体を向け、お手本のような礼をする。

舞台横の階段を上がり、国旗と校旗にも挨拶をすませ、壇上に立つ。


皇紀が前を向いた瞬間、少々新入生と保護者席からざわめきが起こった。


大抵、生徒会長の派手な外見に隠されがちだが、整っていて落ち着きもある皇紀は、会長と同じくらい生徒たちに人気があった。

それも、本当は生徒会長がやるはずだった在校生挨拶を彼がすることになり、新入生にとって一番最初の印象に残る先輩が皇紀になったのである。

その後の影響などは露とも知らずに、皇紀は淡々と祝辞を述べていく。

それがまた一層皇紀のオーラを引き立たせ、新入生たちの視線を釘付けにしていた。



「うわぁ…きっと後で、高知は悔しがるだろうね」


はんなりと笑って、星埜は席から全ての様子を見ていた。


「おいおい…笑い事じゃないんだぞ」

「ふふふ…あれ?」

「どうした?」

「ほら、あの一番目立っている新入生の子」


入場の際、ざわめきと共に体育館に入ってきた少女に遠山の視線を誘導する。


「ああ、どうした?」

「…君はまったく。見てみなよ。あの真剣な目」


星埜の言葉に従って注視する。


「あ」

「なにやら意味深だよね。――彼女の宮ノ内を見る目は」

「知り合いか?いや、しかし宮ノ内はそんなことはこれっぽっちも…」


首を傾げる遠山を他所に、星埜は意味ありげな笑みを見せる。

だが、式に意識を戻させようと星埜はひとたび声をかける。


「ほら、そろそろ祝辞も終って、式も終わる。あと少しだから他ごとは後、後」

「あ、ああ」


自分から話をふっておきながら、それをおくびにも出さず遠山を促し、自分も式に意識を戻す星埜であった。







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