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あの後はもう何も問題など起こらず、俺は布団に入ることに成功した。
心身ともに疲れていたものだから、夢も見ずに寝た。
目を開ければもう朝だった。
すっきりとした目覚めに、ちょっと物足りなさを感じたが、せっかく気持ちよく起きれたのだからと身体を起こす。
横に気配。
視線を向ければ案の定、珠姫の寝顔が。
「っ!」
視線の先の光景に不覚にも固まる。
俺が起きたせいで布団がめくれあがり、珠姫の身体が布団からはみ出してしまっていた。
……いや、それだけなら残念ながらいつもの情景だ。
どうして俺が固まったかというと……あ~…なんていうかだな…旅館ということで、浴衣を着て寝たものだから……くそっ!!察してくれ!!
俺も健康な17の男って言うことで……。
慌てて布団から脱出し、めくれあがった布団をまだ寝ている珠姫にかけた。
寝ている珠姫のいるこの部屋に平然といられるほど悟りを開いているわけでもなく、俺は部屋付のお風呂に入るべく早々に部屋を出た。
「……参った」
ガシガシと頭を掻いた。
ひとっ風呂あびて、何とか波立った気持ちを平常に戻すことに成功した。
頭を適当に拭きながら部屋に戻る。
部屋に戻れば、みんな起きたようで、服に着替えて俺を待っていた。
「おはよう、皇くん」
「おはよう」
澪さんと真さんが笑顔で迎えてくれる。
真っ先に寄ってきそうな珠姫がじっと俺を見ている。
内心、ドキリとする。
「おはようございます。……珠姫?」
澪さんたちに挨拶を返してから今朝の動揺を仕舞いこんで声をかけた。
しかし、珠姫はじっと俺を見つめるばかり。
何かあったか?
考えても見えてこない答えに早々に考えるのを放棄する。
そう、分からないなら聞けばいいのだ。
そのために――――
「珠姫」
名前を呼んで手を広げる。
そうすれば、珠姫はこちらを窺っていた様子から一転、喜び勇んでその場から立ち上がって腕の中へ飛び込んできた。
ちょろい。
こんな簡単でいいのかと思う反面、いつも通りの珠姫に顔には出さずに笑った。
「どうした?」
腰に腕を回して抱きついた珠姫の髪を梳く。
指が引っかかることのないサラサラとした髪に毎度の事ながら感嘆する。
「…お風呂一緒入ろうって言った」
ああ……うん……そういや、その件があったか……(遠い目)
原因が分かったが、あまりのくだらなさに髪を梳いていた手を止めてしまう。
鳩尾辺りに頭をグリグリと押し付けられた。
はいはい、やめるなってか。
「言っとくけどな、一緒に入るなんて約束、これっぽっちもしてないからな」
「……」
グリグリグリ……。
……地味に痛いぞ、珠姫。
無言の抗議に呆れた。
「ほら、珠姫、一緒にお風呂に入るのは諦めなさい」
どうするかと考えていれば、思いも寄らぬ救援が入る。
驚いた。
澪さんが俺に味方している。
「今はまだ時期じゃないのよ。もうちょっと待ちなさい」
……
はっはー、分かってたよ!(泣)
澪さんが俺の味方なんてするわけないって!!
時期ってなんだ、時期って!!?
時間がどれだけ経とうが、そんな日は来ないぞ!




