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真さんが通話ボタンを押して2、3会話をしたあと、そのまま携帯を片手に席から離れていく。

それを目で追いつつ割り箸を割る。


せっかくのカツ丼が冷えたら美味しくないからな。


珠姫と澪さんもそれぞれに自分の手にした料理に箸を付けた。

俺と同じように待つつもりはないらしい。


「あ、これ美味い」


メインとなるカツを口に運ぶ。

肉厚な触感と、俺好みの味に顔が綻ぶ。


サービスエリアの品にしては完成度が高い。

お腹の空き具合も相まって、がつがつとかき込む。


あ、ちゃんと噛んでるから。


「皇ちゃん、ひと口ちょうだい」


珠姫はどうして俺の食べているものを欲しがるのか。


もしかして、俺ってそんなに美味そうに食べているのか?


食べ歩き番組に出れたりする?





…すいません。出たくありません。







「ほら」


カツを1口大に箸で分けて珠姫の口元に運ぶ。

ここひと月近くで慣れてしまった行為。

開いた珠姫の口の中にカツを放りこんだ。

もぐもぐカツを噛む珠姫。


よしよし。ちゃんと噛めよ。


「懐かしいわね~。昔も、同じように皇くんに食べさせてもらってたものね」


澪さんに微笑ましそうに見られてしまった。


なんかちょっと離れたところからワッと興奮したような声が聞こえてきたのは気のせいか?

辺りを見回してみたが、なにか催しがされているわけでもない。


よく分からないから放っておこう。


しかし、昔と同じか…え?てことは昔から全然進歩無いってこと!?

それってどうよ?!


…。



……。



ま、いいか。澪さん的に問題ないみたいだしな。うん。


俺的に害がなければなんでもいい(投げやり)






「そう言えば聞いてませんでしたね。今回、何処に行く予定でしょうか?」

「うん?温泉よ。お・ん・せ・ん♪」


カツをやったお礼にか、天ぷらをもらってただいま咀嚼が終わったところ。

聞くのを忘れていたが、何処に行くのだろうと聞いてみた。


前にも説明したが、俺の母はサプライズ好き。

だから、あの人が計画したときはほぼ100パーセントの割合で行き先を教えてくれない。


だから、聞くのが遅くなったんだ。


澪さんはうちの母さんとは違ってそういうところは教えてくれるはずだ。


…と、思っていたんだが、温泉?それは何処の温泉なのでしょうか??


「ええと、何処の?」


分からないことは聞いてみるべし!


「さあ?」


はいっ!終~了…-って何それっ!!


「…さあ?って、もしかして行き先決まってなかったり?そ、そんなことはないですよね!ああっ!ま、真さんが計画立てているから、澪さんは知らないと-」

「ううん。場所は本当に決めてないのよ。いきあたりばったり(はあと)」





…ああ、うん。






…やっぱり母さんの友人だけあったよ。






よく言うよね。






類は友を呼ぶって。




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