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こぼれ話07






オリエンテーション前に約束していたバケツパフェなるものを現在、食べに来ていた。

キャイキャイと辺りは賑やかだ。

ザッと見回して、女しか居ないのを確認。


「…早まったか?」


つい呟きが零れ落ちる。

目当ての店が、本日割り引きデーだったらしく、篠原が珠姫を連れて誘いに来たのだ。




ああ、約束したな。



と、軽く了承して、学校を出た。

高知に途中会うことも無く、3人で目的地へと向かう。

やつならば、この機会を目ざとく見つけて途中参加するのではないかと思っていいたのだが、そんなことはなかった。


だから現在、賑やかなるこの店内に男1人。

視線が四方八方から寄せられているような気がしたが、きっと気のせいに違いないっ!


…高知、なぜこんな時にこそ顔を出さないんだっ!役立たずめ!!


「…」

「やっぱこれかな~?珠姫、これでイイ?」

「ん」

「よし。すいませ~ん」


無言を貫く俺を放置して、珠姫たちは今回の目的である大型パフェを選ぶ。

というか、種類がいっぱいあることに驚いた。

そして、バケツパフェとかいうものの見た目に、そのままガン見しちまった。


マジすごいんだぜ?

絶対見たらその情景に呑まれるって。

迫力半端ねぇ…。



「こ、これを3人で食べるのか?」

「はい。頑張りましょうね」

「ん」


3人で囲んだテーブルの中心に置かれたブツに、嬉々として手を伸ばす2人。

唖然としたままそれを見送る。


「皇ちゃん」


珠姫がコーンに盛られたアイスクリームを俺に差し出してきた。

異常がわかるだろうか?

パフェを食べているはずなのに、コーンに入ったアイスを食べようとしているんだ。


何故?


何故に、普通にパフェにアイスクリームの一式がぶっさされているんだ?!


パフェなのか?


それとも普通のアイスなのか?


はっきりしてくれよっ!!


心の中で、休む間もなく突っ込みを入れながら、渡されたアイスクリームを逆らわずに食べる。

その合間にも、大きくカットされて飾られたフルーツを手にとって、俺の口に珠姫が持ってくる。


「あーん?」


ザワリ


「…」


パクリ


モグモグモグ…


周りからの視線が痛い。

何故ここまで注目する?

動物園に生まれたパンダの赤ちゃんのお目見えの日みたいだ。

この場合、そのパンダの赤ちゃんは俺だ。


視線を黙殺するべし!

今こそスルースキル全開だっ!!


「美味しいですか?」


にっこりと艶やかに笑う篠原に殺意を覚えたりはしないぞ!


「ああ…そうだな」


口の中が空く間もなく寄せられるスプーンを視線で止める。


自分で食えよ。

てか、自分で食わさせてくれ。

そして、そんな残念そうな目で見ないで欲しい。


「…珠姫も食えよ」


俺に食べさせるのに必死で、自分がおろそかになっているのにも気付かない珠姫に呆れつつ、パフェにスプーンを持つ手をのばす。

ジッとその手を見る珠姫。


「…」

「…」

「…ほら」


いつも通りに根負けして、すくったアイスを珠姫の口に運んでやる。

素直に口を開ける珠姫。

先ほどと反対に、親鳥のようにパフェの中身を運ぶ。

一生懸命に咀嚼する珠姫に、つい、楽しくなって、自分で食べる事を忘れた。


「宮ノ内先輩」

「…ん?」


呼ばれて我に返る。

視線を移せば、仄かに頬を染めた篠原の顔があった。


「それぐらいで…私が居たたまれなくなってきました…」

「?」


ワケが分からん。


考える合間にも珠姫の口へスプーンを押し込んだ。

珠姫も何か言うわけでもなく、口を動かしている。



この後、何かの限界に達したらしい篠原の懇願に、俺と珠姫が各々にバケツパフェの完食に精を出すことになるのだが、それはもうすこし未来の話だった。






あと1、2つでこぼれ話終了予定です。

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