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04






「副会長〜。これって何処に配置するんですか?」

「それはあそこだ」


ここは体育館。


今日の主役はまだ登校もしていない。

今は、生徒会役員や放送部などの部員等が入学式の準備に追われていた。


「宮ノ内。高知を知らないか?」

「高知なら教頭先生に呼ばれて出て行きましたよ」


近寄ってきた教師に知っている情報を教え、俺は絶えずマイクや椅子の配置などの細々としたことで質問に来る生徒たちを捌いていた。


「分かった。助かった」

「宮ノ内!荷物運んでいたやつが階段で足滑らせちまった」


教師と入れ違いにやってきたのは、俺と一緒に高知に巻き込まれて生徒会に入った3年の先輩、遠山トオヤマ 一哉カズヤだった。

役職は書記である。

外見的には書記など似合わないほどにがっしりとした体育会系の男だ。

運動部長と紹介されたらきっとみんな納得すると思われる。


「怪我とかは?」

「ああ、幸いにしてというか、荷物を放り出したおかげで怪我無しだ」

「それはよかった。それで、荷物の中身は壊れたんですか?代えのきかないものですか?」

「どうだろ?先生に聞いてみる」

「分かりました。お願いします」


遠山先輩と俺は軽く挨拶をして、また仕事に戻っていった。

体育館の中の大半を占める椅子の配置を先に準備していたが、まだまだ仕事は沢山あるのだった。







入学式。


新入生たちが座る舞台に向けて正面という場所の右側に教師と、生徒会の面々が座っていた。

ちなみに、反対側は来賓席になっている。

そして、新入生座席後方には保護者席があり、そこはほぼ、埋め尽くされていた。


「後は式が終れば行事の1つが終るな」


俺の隣に座っている遠山先輩が、やり遂げたといった顔をして吐息をつく。


「まだ式は始まってもいませんよ」


俺は遠山先輩に釘を刺し、反対側に座っている高知の方に視線を向けた。


「後はお前のスピーチと片付けだけだ。しっかりやってくれよ」

「おう!まかしとけっ…というか、おれはいつでも完璧だぜ」


自信満々に高知は言う。

何処からその自信は出るのだろうか。

まぁ、それぐらいではないと会長職は務まらないのだろうが。


本日の司会進行役の教頭がマイクの前に立つ。

体育館が静かになり、静寂が辺りを包む。


「始まるな」


高知の辺りを憚って抑えた声が、隣に座る俺にはしっかり聞こえた。

その直後、教頭がマイクに向かって口を開いた。


「新入生、入場」



新入生の入場である。







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