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明日はオリエンテーション。

これといって問題なく時間は過ぎた。


表向きは。


「…」

「副会長~、空手部がオリエンテーションでの時間を増やしてほしいって言ってきてます」

「今さら…考えてみるって言っといて」

「わっかりました~」

「会長」

「あー?」

「食堂のほうで、小競り合いが勃発しているそうです」

「そんなのは、風紀に言えって」

「風紀からの要請です」

「…か~~~~っ!!出てくる!」

「おう…」


高知が目に苛立ちを浮かべて生徒会室を出て行く。

それを見送る俺の前には積み重なった書類と各部から回ってきた要求書だ。


地味で小さな嫌がらせを俺たちは受けていた。


俺たちは1分1秒さえも惜しんで事にあたっている。

なので、意外とこの小さな嫌がらせが痛い。


「暇人共め」


口の中で悪態を噛み潰しながら、パソコンに向かい合う。


明日で終わる。


そう胸に言い聞かせながら何とか動いている最中だ。


「体育館の設置終了したぞ」


声と共に入ってきたのは遠山先輩。

その後に続いて姿を見せたのは、星埜先輩だ。


「お世話になりました」

「いんや~、そっちの業務のほう全然手伝ってなかったし、他に何かあるなら言ってくれて構わんぞ?」

「そうだね。他に何かあるかな?」

「ありがとうございます。…―では、すいませんけどこれ、収めてきてもらえませんか?」


目の前にあった案件の書いた紙を2人に渡す。

渡した紙に目を通した遠山先輩の顔が歪む。

星埜先輩は笑顔だ。

とても意味深な。


「明日がオリエンテーションだよな?」

「そうですね」

「…こいつらは今頃何を言っているんだ?」


渡した紙は今さらながらに出る順番に対する変更やら苦情。そして要望だ。

俺たちが要望などをほったらかしにしていたとは1ミリも思ってないようで何よりだ。


「んふふ…。何かきな臭いね?」

「…想像通りですよ」

「分かったよ。これは僕らでなんとかしよう」

「お願いします」


とても楽しそうに頷いた星埜先輩に、要望を言ってきたやつらに少しだけ憐憫が沸いたが、自業自得と思って切り捨てた。


俺は忙しいから、優しさなんか求めるなって感じか?


「遠山。上から順番に回っていこうか」

「お、おう…というか、分けたほうが効率よくないか?いつものお前ならそう言うだろう?」

「そうだね。でも、今回は裏がありそうだから、遠山1人で回すより、2人で回った方がいい」

「そうか。お前が言うならそういうことなんだろうな」

「理解が早くて助かるよ」

「…どれだけお前に振り回されてきたと思ってるんだ」

「ふふふ」


楽しそうに生徒会室を出て行く星埜先輩のあとを疲れた顔をして追う遠山先輩。

うん。この2人もいいコンビだ。


「僕が話をするから、遠山は黙って僕の後ろに立っておいてね?」

「あ?分かった」


…。


切って捨てたつもりの憐憫が湧き上がりそうになった。

成仏しろ。馬鹿野郎共☆







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