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夕飯を食べて、風呂に入った後の寝る前のひと時。

俺は両手を後ろに組み、枕代わりにしてベッドに寝転んでいた。


珠姫はお風呂である。


ボウッと生徒会室での高知との会話を思い出していた。












「学食で片畑に会った?」

「…仮にも先輩だろうが」

「尊称なんて付けたくないね。どうせお前だって心中で呼び捨てだろうが。いや、そんなことよりも…だ。今の問題は、あの野郎が珠姫ちゃんをまだ諦めてないってことだよ」

「ああ」

「まぁ、あれくらいで諦められるほど珠姫ちゃんくらい魅力のある女の子はそうそういないからな。驚くことではないわな…。しっかし、空手部か…ちょっと厄介だな」


いつも快活な男が珍しくしかめっ面で上を仰ぐ。


「高知?」

「ん~…最近なんだが、空手部がきな臭いというか、荒れているというか…ぶっちゃけて言うと、部長と副部長の仲が険悪らしいんだわ。前々からそんなに仲は良くはなかったみたいなんだが、4月入ってからの指導方針ての?意見が分かれたみたいなんだよな」

「指導方針?そんなものは大体、顧問の先生の仕事じゃないのか?」

「う~ん。数年前まではそれなりの段もちだった先生が仕切ってたらしいんだが、その先生が異動して、顧問の先生が代わってから今の形らしい」

「今って…誰だ?」

「内山先生だな」

「ああ…あの先生じゃ、指導は無理か」

「そういうことだ。内山先生は、運動系はからっきしだからな。…どうして空手部の顧問になったのか理解できん」

「…で?」

「ん?ああ!なもんで、その年々の部長と副部長が部を引っ張っていっているというのが現状だ」

「ふむ。最近の空手部の戦績は?」

「選ばれるだけあって、部長、副部長はそれなりの成績持ちだな。あと参謀っぽいのがいたか?」

「参謀ねぇ…ちなみにそいつはどっち派だ?」

「部長」

「…部長は誰だ?」

「覚えとけよ、副会長様」

「覚えるから今聞いた」

「…はぁ。本条怜二ほんじょうれいじ先輩だ」

「あの人か」

「そうだ。あの本条先輩だ」


言われてみれば、顔を思い出せる人物だった。

ガタイがよくて、顔もそれなりに整ってるので、女子に人気な1人だ。

言葉で語るよりも、行動で示すような人なので、無口な部類の人だろう。

別に人付き合いが悪いような人ではなかったが、広い交友関係をもつ人ではない。


確か、彼をサポートするように横には常にある人物がいたことを思い出す。

あれは確か…。


菱目川ひしめがわ先輩か」

「お。そうそう!その菱目川先輩が参謀」


高知から返事が返ってくる。

そうか、あの人が参謀ね。

確かに、本条先輩がいて、あの菱目川先輩がいるなら彼は参謀役だろう。

あの人は本条先輩のサポート役だ。


腐れ縁で、小学校から一緒だったか?

ちょっと情報があやふやだな。



学食での出来事を思い出す。

確かにあの時、本条先輩は一緒には居なかった。

ようよう思い出してみると、一緒にいた奴らは空手部部員のようだったが、柄の悪そうな奴らばかりだった。


偏見かもしれんがな。


「3日後にはオリエンテーションだからな…ゴタゴタは勘弁だな」

「そうなんだよな。部活紹介だから、奴らも関係してくるし」

「当面は、珠姫には1人にならないように言ってある」

「おう…周りの奴にも気を付けてくれるように注意でも促しておくか」


オリエンテーションさえ終わればどうにかなる。

それは裏を返せば、オリエンテーションが終わるまでは、こちらも対処のしようが無いということだった。







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