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ガララッ…


「すいませーん。宮ノ内います?」

「!」


聞きなれた声が聞こえて、とっさに後ろを振り向くが、カーテンに遮られて見えない。

分かっていたことなのに、動揺してしまったようだ。


「あら、高知君。宮ノ内君なら奥のベッドの方にいるわよ。でも、あの娘が寝ているから静かにしてあげてちょうだいね」

「はい」


高知が何でここに。

生徒会のことで何かあったのか。

それとも―…。

いろいろなことが頭の中でめぐり、混乱する。

混乱している間に目の前のカーテンが開き、高知が顔を覗かせる。

高知は先程先生と話していた時とは違い、少し固い表情をしていた。


「…よう」

「お、おう。お疲れ」


なんとなく気まずくて、皇紀は視線を少しそらした。

高知の視線を感じる。

男に見られて喜ぶ趣味なんて無いので、やめて欲しい。


「…」

「…」


沈黙が支配する。


「…」

「片付けでなんかあったのか?」


いつまで待っても高知が口を開こうとしないので、仕方無しに口を開く。

何故に俺がここまで俺が気を使わないといけないんだ…。


「――いいや、万事つつがなく。俺がいて問題なんて起こさせるかよ」


不遜だ。

やっと口を開いたと思えば、いつもどおりのふてぶてしさ。

いつもどおりの高知の口調に、力が抜けた。


「じゃあどうしたんだ?…彼女が寝ているから、その枕元に居られたらさしあたりがあるんだが」

「…お前はいるのにか?」

「…手を掴まれているんでな」

「…」


また無言。

高知にばれないようにひっそりと溜息をつく。

面倒だな、本当に。


「俺は…」


高知は椅子に座っていることにより目線より下にいた俺を強い目で睨みつけて言った。

何故睨みつけられなければならないんだ!


「――…」

「負けないからな」


いきなりの宣言。

高知の言葉は唐突で、意味が理解できない。


「はぁ?」


思いっきり疑問が口をついて出てしまった。

素直なんで…疑いの目で見ないでくれよ。

高知はそれにより一層闘争心を刺激されたのか鼻息も荒く、俺を睨みつけてきた。

友に睨みつけられるってどうよ、本当に。


「だから!」


次の発言はさすがに大きい声で、ベッドで寝ている彼女が緩慢な動作で身動ぎする。


「高知君!静かにしてちょうだいって先生言ったわよね」


カーテンの向こう側から先生の非難の声。

高知は口を開けたまま何かを言おうとして数回口を開けたり閉じたりしていたが、最後は自分を何とか諌めて口を閉じた。

思いっきり不満そうではあったが。


そんな時、保健室のドアが開いた。







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