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……腰痛めました(T_T)





目の前で1年共が必死で話し合いをしています。


そう、この緊張感が大切だ。



なんて、相変わらず俺は珠姫の座椅子状態だが。


腕を引っ張られて抱き込むような形になっているが、気にしない。

それくらいで珠姫が班活動に従事できるならお安いもんだ。


チラチラと盗み見されようとーー。


「羨ましい……」

「会長、抑えて、抑えて」


高知がジトッと恨みがましい目で見てこようとな!











ああ、うん……作戦会議はなんとか恙無く終わった。


腕を掴んでこようとする珠姫をいなしながら俺は高知の元に戻る。

作戦会議中黙って珠姫の好きなようにさせていたからか、それ以上絡まれることなく離れることは出来た。


「時間です、会長」

「…………ああ」


高知の視線がブスブスと刺さる。

もう慣れた。

ニッコリと笑って見返す。

視線をすごい勢いで逸された。


何故?




「ーーでは、これよりスタンプラリーを開始する。己の現在出しえる力を最大限使い、結果を出してくれたまえ」


さすが高知。

カリスマバリバリな生徒会長の顔とオーラが出ていた。

星埜先輩がそれを引き継いで注意事項に入る。

星埜先輩の声はスッキリとしていて、とても聴きやすい。

真剣に耳を傾ける1年。


いい感じだ。


「ーー以上のことを気を付けて頑張ってください」


笑顔と共に注意事項が終わる。

ポーッとなって見ている女子がチラホラ。

おっと、俺も話をしないとな。


「赤いバンダナを腕に巻いた2、3年が各ポイントを巡回している。赤いバンダナをしている者は救護班だ。ちょっとした擦り傷や切り傷は各ポイントでも治療できるように救急セットを用意しているが、急な体調不良等をきたした場合はこの救護班に申し出てくれ。もし救護班が近くにいない場合はチェックポイントに申し出れば連絡が入るようにしている。今日は天候にも恵まれている。脱水症状などに陥らないように各自水分補給もするように。水分補給地に関する情報は班ごとで渡した地図に記載されている。参考にするように」


言いたかったことを伝えて、高知を見る。

高知が頷いた。


「ではスタンプラリーを開始ーーーーと行きたいところだが、俺からひとつ」


威厳ある生徒会長から一転、いつもの勝気な、悪戯小僧のような顔が覗いた。


「宮ノ内が言ったように、無様な結果を出した班には後日それ相応の罰ゲームを受けてもらう。と言っても、一生懸命頑張っているやつを追い込む意図はない。たかが宿泊訓練のレクのひとつと思わず、全力を持ってして臨んで欲しい」


1年の視線が高知に集中している。


「ーーで、罰ゲームがあるならば、褒賞も用意して然るべき。と言うことで、最優秀の班には一週間分の学食のチケットを進呈しよう」


……いつの間に用意したんだ。


知らない間に、高知はご褒美を用意していたらしい。

これは本気になるな。


1年の顔が輝いている。

いや、目の色が変わったと言うべきか。

特に男子。

この年頃はいつも腹を空かしているようなもんだからな。


「オマケに、今日参加した2、3年生達と同じ席で本日の昼食を食べる権利も付けよう」


気前がいいな、高知。

今日はレクのお礼ではないが、結構豪勢な昼食が手伝いに来てくれている2、3年生のために用意されている。

これは全部学校持ちだ。

学校こそ気前がいいのか?


てか、それは有志の皆様にちゃんと許可取っているか?


そこが俺は心配なんだが。

ああ、男子も女子も目がギラギラしてきた。

ちょっと怖い。


「本日のスタンプラリーを全部・・踏破した中からひとり、MVP賞を与えよう」


なんか『全部』のところが強調されてたぞ。

きっと裏チェックポイントも含めての話なのだろうな。

1年たちはそんなこと分からないだろうが。


後で罵倒されても知らないぞ。


「MVPの賞品は物品ではない。桜ヶ丘高校生徒会長として出来る範囲内でひとつ望みを叶えよう!」


おいおいおい……生徒会長としてってかなりのもんじゃねぇか。

たかが高校の生徒会長の権限の中のことと侮る事なかれ。

自主性を重んじるうち(桜ヶ丘高校)は、それこそ一人一人のスペックが高い。

その中でも高知ーー生徒会長はそのトップだ。

言っちゃなんだが一高校生が出来ることの範囲を軽く超えたことが出来る。

校長先生に直接意見が言えるんだよ。

1年はイマイチ意味が分からないようで、ざわついている。


まあ、最初はそんなもんだよな。


「質問いいですか?」


1年の中から手が挙がる。

篠川だった。


勇気あるな、篠川。


「どうぞ」

「ありがとうございます。すみませんが、高知生徒会長が出来る範囲内のこととはどういうものですか。具体的な例を挙げていただきたいです」


そして冷静だ。

篠川の言葉に1年全体が頷いている。


「そうだな……最大で出来ることと言ったら、学校行事を増やすとか?」


高知の言葉は短かった。

しかし、言っていることはきっと1年たちの想定範囲を軽く飛び越えていただろう。

皆呆気な顔をして固まっている。


いや、珠姫はなんの反応もないな。


うん、想定範囲内だ。





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