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間が空きました。再開します。




1年生の半分以上がグループを作り終え、作戦会議という名のルート決めをしている。


そして慎重なのか、はたまた違う理由なのか、グループになれずにウロウロしている1年生がまだいた。


実は、珠姫も俺のところに来てなかったりする。


集会室に入った時から珠姫が何処にいるかなどすぐ分かったが、宿泊訓練真っ只中である。

こちらから話しかけに行くはずがない。

そして珠姫も勝手をしていい時かどうか分かってるはずだ。

なので、まだ俺は珠姫と接触していないのである 。


さて、珠姫といえば篠川と忍であるが、この二人はブレず珠姫の傍だ。

そんな三人を取り囲む連中がいる。


連中と言っても、男子の集団と女子の集団、そしてそれ以外だ。

それ以外というのは群れてない(集団ではない)やつらで、どうやらそれぞれに珠姫や篠川、そして忍をグループに誘っているのだと分かった。

珠姫のことばかりで忘れていたが、篠川と忍も1年生の中で人気の奴らだ。

いろんな奴らから誘われてもおかしくない。


そこでハタと思い出す。

高知が言っていたじゃないか。

5人から10人でグループを組めと。


珠姫と篠川、忍で三人だ。


グループの最低人数は5人。

2人足りないのだ。

だから誰か迎え入れないといけない。

そこで問題が出た。


誰が珠姫たちのグループに入るか。


今の状況への理解が及び、またしてもため息を吐きそうになって、慌てて止めた。



……どうしたものか。


そう思ったが、ここは俺の出る幕ではないと思う。

お手並み拝見といこうじゃないかってところだろう。


珠姫は1年生で、俺は2年。

この学年差は絶対埋まらない。

ならば、いつもいつも俺が助けられる状況のはずがない。

ということはだ、珠姫たちが解決していかなければならないのだ。

俺が安易に手を差し伸べてはいけないのだ。



















……なんて考えていたんだが、一向に動きの見えない集団にしびれを切らしたのが高知だった。


まあ、そうだろうな。


実を言えば、高知があと少し動くのが遅ければ俺が動くところだった。

そろそろグループを作らないと、作戦会議の時間が取れなくなるのだ。

作戦のひとつも練らずにスタートさせるなど誰が許しても生徒会役員は許さない。


何のために……誰のためにあんな面倒くさい資料を短い期間で作ったと思っている!


1年たちのためだぞ!!


宿泊訓練なんて、これから行われる行事への取り掛かり方の勉強(お試し)の場みたいなものだ。


こんなことでつまずいてる場合じゃないんだ。

……いや、良いように受け取るなら、最初の段階で問題が浮上したことを喜ぶべきか。

今解決してしまえば、今後同じような問題が浮上した時には楽だろう。


うん、そういうことにしておこう。


チラリと腕時計を見る。


「ーー開始まであと20分」


集会室に声を響かせる。

俺の声にざわめきが起きる。


……主にまだ班を作れてない奴らから。


そうだ、焦れ。


そう思う。


半分ほど俺の思惑は成功する。

どうにか珠姫たちと班を組めないかと残っていた幾人かが、慌てて俺の元へやってくる。

最初から最低人数の5人は揃っていたのだろう。


一応ダメだった時のことは考えていたようで何より。

登録を済ました奴らに地図を渡す。

スタートまでの残り時間と、地図の見方を簡単に説明する。

バタバタと滑り込んでくる奴らの対応に追われて、捌き終わったとき、珠姫たちがやってきた。


「遅いぞ」

「すいません」


つい他の奴らには言わなかった苦言を吐いてしまった。

殊勝にも忍が謝ってくる。

篠川も苦笑いと共に頭を軽く下げてきた。


珠姫はーー


「皇ちゃん!」

「……」


うん。通常運行だ。

腕にまとわりついてきたので頭を撫でて大人しくさせる。

やっと決まったメンバーを見てはて?と首を傾げてしまった。


ええと……人数多くないか?





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