89
今日3回目の更新です。
調子に乗ったのが悪かったのだろうか。
…いや、俺は何か調子に乗ったのか?
図書館に行こうとしたのがそんなに悪かったのだろうか。
はたまた、図書館に対する賛美が過剰過ぎたのか。
これといって自分が納得できるような理由など思い付けなかった。
……残念ながら、俺には解けない問題のようです。
図書館に行くことを決めた矢先、生徒会室のドアを破壊せんばかりのもの凄い勢いで開けて入ってきた人物がいた。
「先輩っ!!」
「宮ノ内先輩っ!!」
壊されはしなかったが、生徒会室のドアに多大なる負荷をかけたのは、ここのところ馴染みの忍と篠川だった。
そうは言っても、組み合わせとしては珍しいと思う。
鬼気迫る顔で迫ってくる二人に、ドアへの乱暴をたしなめる前にビビってしまった。
「――どうした?」
突然のことにビビったが、この二人が一緒に俺のところに来る理由など、珠姫のことしかないだろうし、思い付かない。
そう思ったら、驚きは何処かいってしまっていた。
珠姫のやつ、今度は何をやらかしたのか。
「先輩、お願いがあります!」
「宮ノ内先輩だけが頼りなんです!」
俺に向かって切々と言い募る二人。
うん、落ち着け。
「ちょっと落ち着――」
「皇!居るかっ!!」
「…」
はいー生徒会長さまの登場ー(なげやり)
「大変だ、皇!珠姫ちゃんが宿泊訓練に参加しないって聞いたぞ!!」
ああ…うん。疑問解消ありがとー(棒読み)
忍たちと同じように生徒会室のドアを省みない高知に、俺はきっと死んだ魚のような目をしていたはずだ。
残念ながら、そんな俺の様子にも気付かず、2人から3人に増えた珠姫親衛隊はプラスではなく、増えた分だけ倍々する形でうるさくなり、やつらの声はきっと廊下にまで筒抜けになっていたことだろう。
やめろ。近所(?)迷惑だ。
放置して帰りたいが、出口はやつらの背後。
脱出は不可能だ。
仕方ないが、やつらの話を聞いてやるのが
解放への近道だろう。
そうと決まれば、生徒会室に駆け込んできた時の高知の台詞だ。
『宿泊訓練』
そうだ。宿泊訓練。
1年だけの行事に加えて、先生主体の行事で生徒会は関与しなかったのですっかり忘れていた。
その名の通り、宿泊する行事で、場所は近隣。
訓練と名はついているが、名ばかりだ。
日常から離れて、いろんな体験(自炊やレクなど)をもとに、もっと仲間意識や協調性を育てようっていう目的の行事だな。
これから行事三昧な学校生活が始まる。
そんな中で、必要なものが協調性だったり、苦楽を共にする仲間だったり…。
…そう考えると訓練であってるのか?
ま、まあ、そんなこんなで入ってきたばかりの1年生のために催される行事なのだ。
あ。
あと付け加えると、この宿泊訓練は3泊4日だ。
長いだろ?
普通、1泊2日だよな。
俺も1年の時に渡されたしおりを2度見した記憶がある。
これからの高校生活(3年間)を生き残ろう――…いや、楽めるように訓れ――……ああ、やっぱり宿泊訓練で合ってるみたいだ。
はい、今回は宿泊訓練です。皇紀と珠姫は離ればなれ……か?