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幼馴染。
彼女とは生まれてからずっとの腐れ縁。
昼寝も食事もお風呂でさえもいつも一緒だった。
血が繋がっているわけでもないのに毎日彼女の顔を見ない日はなかった。
それは彼女の両親が2人してとても多忙な人たちだったからだ。
うちの両親と昔からの親友同士で、とっても仲がよかったことから、ほぼ1年中うちに預けられたような状態だったらしい。
昔のおれはそんな事情を知らなかった。
彼女がいつも傍にいるのが当たり前で、隣にいないことが想像できないくらい彼女は俺の傍にいた。
愛しいとか好きとかうっとおしいとかいう様々な感情は、一切俺の中にはなく、全てを受け入れていた。
そう、彼女が突然自分の隣から居なくなるまでは…。
両親は言った。
「仕事の都合で引っ越すんですって」
突然の別れ。
今までの日常がたやすく無くなる現実をおれは小学校2年生があと少しで終わるという時期に味わったのだ。
彼女がいなくなった日のことをおれは一度たりとも忘れたことはない。
あの喪失感
そしてなんともいえないあの感情は…。
それから年月は過ぎ、俺は16歳になっていた。
高校生活も2年目に突入しようとしていた。