48/192
虫たち
1 渡る羽
どんなわけで。
熱い道を渡るのか。
黒い羽には、
光る青い模様。
美しい蝶であるきみは、
歩いて渡って行く。
目指すのは、
反対側の端っこか。
糸のような、
細かな足で。
どこから、
出発したものか。
がんばれ。
もうすぐ中央線だ。
2 はなむぐりの屋根になる
明るいなか。
雨粒が、落ちて来た。
丸く小さな、
はなむぐりは。
天気雨に、
気づいていない。
重たげに頭を垂れる、
ひまわりの花の、
真ん中にくっついて。
一生懸命。
もぞもぞしている。
守るつもりも。
守られるつもりも、
ないけれど。
知らないうちに、
寄り添っている。
なんだか。
ひまわりは、
嬉しそうだ。
3 あぶ
タイヤの脇に一匹の、
あぶがぽとりと落ちた。
手袋もしていることだし、
少し向こうに押した。
あぶ。
怒る。
弱っているけれど、
細い前足と体を持ち上げて。
こちらに真っ直ぐ向き直る。
たぶん、すごく睨んでいる。
あの目だから、
どこを見ているか、
分からないけれど。
あぶは、
触られたことを、
大変不満に思ったらしい。
帰るときには、
いなかったから。
まだ飛べたんだ。
373 m(_ _)m 39




