冒険者
いつか世界を救う少女の物語。
アリスは今日、14歳となった。
何故、わざわざ14歳になったのを言うのには理由がある。この世界では、14歳にならないと冒険者にはなれない。
アリスは冒険者になりたかったのだ。冒険者となり、世界を見て回りたい。そして、家族を見つけたい。
アリスは期待を胸に抱き、階段を踊るように駆け下りていった。
アリスが一階のリビングに出ると二人掛けテーブルに座る1つの影が見えた。
その陰の正体の名は、パワーレス・ルールド。身寄りのない私をこの家に住まわしてくれているお爺さんだ。
「おはよう、アリス」
威厳のある表情を緩め、優しく語り掛けてくる。
それに対し、アリスも「おはよう、爺様」と聖女のような笑みを返す。
その笑顔を見たパワーレスはさらにほおを緩めたが、キリっとした威厳のある表情へと戻した。
「アリス、お前は本当に冒険者になる気か?」
冷たく、冷酷な声色だった。
だが、その問いに返すアリスの答えなどもう、何年も前から決まっている。今更それを変えれるはずもない。
アリスはそのまま淡々と「はい」と答えるのみであった。
その答えを聞きパワーレスはため息一つつく。
「そうか、意思は変わらんのじゃな」
「はい」
パワーレスはニコリと笑う。まるで旧友にでも会ったかのように。
「親も親なら、子も子というが、その子の子もまた同じか。アリス、この世界は今だお前の見たことのない未知であふれかえっている。世界を見ろ、さすればお前の目的も果たされる」
その言葉を聞き、アリスは認めてもらえたのだと確信した。「いってきます」そう言ってアリスは家を飛ぶように出ていった。
冒険者ギルドは幸いこの街にあるので実力がつくまではあの家を拠点として活動することができる。
アリスは冒険者ギルドの門をくぐった。
ギルド内は酒に入ると匂いで鼻を覆いたくなる。
(なんでこの人たちはこんな昼間からお酒を飲んでるの⁉)
だがギルドの洗礼はそんなものでは終わらなかった。「嬢ちゃん、こっちで酌してくれよ」や「ここはてめーらガキのお守りをするばしょじゃねぇぞ」などなど酷いものだった。この瞬間、アリスのギルドへの評価は変わった。
夢のある場所から汚いおっさんばかりの場所へと。
まぁ、実際そこまで間違っていなかった。冒険者でも夢を追えるのは一部の者のみ。ここで酒を飲んでるほとんどの者は落ちぶれた冒険者ばかりだった。
アリスはそんな者どもの言葉をただ無視し、カウンターへ一直線に歩いて行った。
「本日はどのようなご用件で?」
カウンターのお姉さんは営業スマイルで優しく語りかけてくれた。
「冒険者をしに登録をしに来ました」
「では名前を」
「アリスです」
「アリスさんですね。では、次にこちらの紙に血判をお願いします」
そう言ってお姉さんは針と紙を差し出してきた。
アリスは指に少し針を当てる。するとぷっくらと血の雫が湧き出てきた。そのままアリスは紙へと指を押し込んだ。そして、その紙をお姉さんへと渡した。
「ありがとうございます。では次はこちらにお触れください」
次に差し出されたのは透明な水晶であった。
アリスはこの水晶について聞いたことがあった。これは、冒険者の適正属性を調べるものである。
属性は主に9個、火、水、草、風、雷、土、氷、光、闇である。光と闇は珍しく、どちらかが発現するものが1000人に一人。どちらともが発現する場合は10000人に一人と言われている。だから、発現するだけでもいろいろなパーティから引っ張りだこらしい。
アリスは光と闇が発言されないかなっとワクワクしながら手を触れる。すると、水晶が魔力を帯びる。
それを見て、お姉さんは驚いたかのようにぽかんと口を開ける。
アリスは結果が気になり、声をかける。
「あの結果はどうでした...?」
「え、あぁ結果ですね。すいません。アリスさんの結果は、風、雷、光の適正でしたよ」
アリスは自分が望んだ光属性の適性があったことを喜んだ。
心の中ではアリスは大はしゃぎで飛び跳ねていたが、周りに人が多いため飛び跳ねはしなかったが嬉しさが隠しきれているかもわからないほど喜んだ。
「ではこちらをどうぞ」
そういって渡されたのは銅色の冒険者カード。
冒険者のランクは下から順に銅、銀、金、プラチナ、伝説級、英雄級、勇者級となっている。
アリスは一番下からスタートを切った。
「それではアリスさんによい冒険があらんことを」
これは少女アリスが多くのものと出会い、己を知り、世界を救う物語。
読んでいただきありがとうございます。
どうも愚者です。
小説家になろう初投稿です。
この物語はもともと別のサイトに投稿していたものを一話からだいぶ書き直して投稿しています。
誤字脱字、質問、感想等なんでもいいのでコメント待ってまーす。