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revenge32 世界樹

 大陸の南東。


 世界樹イグドラシル。


 迷いの森の中心にそびえ立つ巨大樹。


 何千年生きたかわからないその巨木は、今日も悠々と世界を見下ろしていた。


 光が晴れ、世界樹の根本に到着する。


 眼前に広がる幹。


「イグ爺、参ったぞ」


 シーン。


 へんじがない、ただの巨木のようだ。


「イグ爺、参ったぞ。返事をしろ」


「⋯⋯」


 木の葉が、風にカサカサと揺れる。


「燃やすか」


 手に炎の魔力を込める。


「まあ、待ちたまえアレン。ここは、ボクに任せてくれないかい?」


 アガリアが幹に手を当てながら、呼びかける。


「来たよ♪ イグ爺♪」


 アガリアがきゅるんと呼びかけると、眼の前の木の幹が蠢き、老人の顔になった。


「ふぉっふぉっふぉっ。アガリアちゃん、久しぶりじゃの~! 元気じゃった?」


「わぁ!? 木がシャベッタアアアアアア!?」


「ほう、これはこれは、元気なレディ。わしは四天王イグドラシル。巷では、世界樹イグドラシルなどと呼ばれておるよ。ぜひ、イグちゃんって呼んでね♪」


「うんっ! イグおじ~! トノカだよ~!」


「えええ~~っ!? トノカちゃんって言うのぉ~!? イグおじ呼びサイコー!!」


 きゃっきゃっしてる二人に、ティナが困惑しながらも、丁寧に挨拶する。


「あの、お初にお眼にかかります。世界樹イグドラシル様」


「おぅ、これこれは。ご丁寧に。清楚なレディ、貴方のお名前は?」


「ティナと申します。わたし達は、あなたに用事があって参りました。お話を、聞いては頂けないでしょうか?」


「ティナちゃん!! いいよいいよ! おじさん、ティナちゃんの言うことなら何でも聞いちゃうよ~!!」


 ティナが我を見た。


 続けるよう手で促す。


「では。かつて、アレン様がイグドラシル様へ贈ったとされる、七色の光を放つ宝玉。増呪の珠と呼ばれるその宝玉を、お借りしたいのです」


「ティナちゃんが求めておるのは、恵与の法、じゃな?」


「なんだ、知っていたのか」


 イグ爺が幹の鼻を高くする。


「ふんっ。伊達に、数千年も生きておらんわ。最近、大陸で吸収の法が使われた。主がここにくるだろうということは、容易にわかっておったわい」


「イグおじ、ものしり~!」


「もっと! もっと言ってトノカちゃん!」


「イグおじイケおじ~!」


「イッグゥウウウーーーッ!! ……ふーっ。あ、トノカちゃん。コレ、わしからのプレゼント」


 木の枝の先端がトノカに伸び、何かを差し出す。


「わぁ、きれいな青い実!! トノカがもらっていいの!?」


「うん、トノカちゃん、いい子だからあげちゃうあげちゃう!! アイスシードって言ってね、食べたら氷の息が吐けるんだ~!!」


「わぁ~! ありがと~、イグおじ~!!」


 トノカがさっそくイグ爺からもらった実を食べ氷の息を吐いていた。


「クス。相変わらずだね、イグ爺は」


「大変じゃったな、アガリアちゃん。じゃが、アレンと並んでいるアガリアちゃんを見ていると、わしも何だか幸せな気持ちになるのう。本当に良かったのう、アガリアちゃん」


「うん。ありがとう、イグ爺」


 アガリアが背中の白翼から一枚羽をむしると、イグ爺の顔を羽でこすりはじめる。


「うひゃひゃひゃひゃひゃ!! くすぐったい!! くすぐったいよアガリアちゃん!! そんなにされると、わし、わし、イッグゥウウウーーーッ!! ……ふーっ。あ、アガリアちゃん。コレ、アガリアちゃんに、プレゼント・フォー・ユー」


 木の枝の先端がアガリアに伸び、何かを差し出す。


「これは、弓だね?」


「わしの幹から作った、妖精弓エルヴンボウじゃ。今の天使なアガリアちゃんなら、ぴったりじゃろう? わしからの祝いの品として、もらっておくれ」


「うん。ありがたく、使わせてもらうよ」


「あの、イグドラシル様」


 ティナを見て、イグ爺が優しく笑った。


「ティナちゃん。君の慟哭は、そこにいるアレンとかいうヤツが晴らしてくれる。わしには、そう見えておるよ」


「はい。わたし、アレン様を信じます」


「うんうん、良い娘じゃのう。頭、撫でても良いかの?」


「はい」


 木の枝の先端が、ティナの長い空色の髪を優しく撫でる。


「んっほぉおおおおおおおっ!! ティナちゃんの髪さらっさら~!! 触ってるだけでイッグゥウウウーーーッ!! ……ふーっ。あ、ティナちゃん。コレ、ティナちゃんに」


 別の木の枝の先端がティナに伸び、何かを差し出す。


「これは、剣?」


「ぬ? おい、イグ爺。その剣、我の剣ではないか」


「さよう。この剣は、アレンが勇者の時に遣っていた剣。聖剣ティルフィングじゃ」


「魔王になっていつの間にか無くしたと思っていたが、イグ爺が持っていたとはな」


「魔王になった主には、もう無用の長物じゃろう? 聖剣ティルフィングは、勇者にしか扱えぬ伝説の聖剣。勇者であろうとするティナちゃんにならば、存分に力を貸してくれるじゃろう」


「はい、ありがとうございます、イグドラシル様。大切にいたします」


 剣を胸にぎゅっと抱くティナを見ながら、イグ爺に言った。


「我にも何かくれ」


「え~? やだ~」


「森ごと燃やすぞ?」


「だってぇ~、トノカちゃんもアガリアちゃんもティナちゃんも、アレンにぞっこんなんだもん。今更、主に何が必要だと言うんじゃ?」


「確かに。ならば、そうだな。今度、イグ爺に金髪の女エルフを会わせよう」


「え? 金髪エルフ!? 女の子!? うっひょひょ~い!! アレン、その約束、違えるでないぞ?」


「男同士の約束だ。我は、それを違えぬ」


「よぉおおおおしっ! じゃ、コレ、主にあげる。大切にするんじゃぞ?」


 木の枝の先端が伸びてきて、我に光る珠を差し出す。


「くくく。これが、増呪の珠か」


 確かに、珠の内部が七色に光っていた。


 手に取ると、かすかな魔力を感じる。


「クス。目的の物は手に入ったようだね。では一旦、魔王城に戻るとしようか」


 アガリアの転移魔法で、一瞬で魔王城に帰還する。


 モディアスからの報告を聞き、言った。


「ロムルスらの進撃は順調なようだ。だが、魔王城に到達するまで、しばし時はある。その間に、各自迎撃準備を整えておいてくれ」


 3人と魔物達が頷く。


「アガリア。汝を見込んで、いくつか頼みがある」


「クス。ボクの勇者は、魔王使いが荒いね。ああ、今は天使だったね。いいよ、キミの頼みなら、何でも聞こうじゃないか」


「うむ。では――――」

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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魔王アレン     Lv453

勇者ティナ     Lv423

竜人トノカ     Lv320

天使アガリア    Lv310


世界樹イグドラシル Lv1514

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