表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/39

revenge25 仮初の夢

 眼を開けると、自分の部屋だった。


 起き上がり、部屋を出る。


「おはよう、トノカ」


「あれ? おかあさん? ここ、どこ?」


「ふふっ、変なトノカ。ここは、貴方の家でしょう?」


 周りを見回す。


 確かに自分の家だった。


「ん~?」


 ほっぺをつねる。


 普通にいたい。


「ふふっ、どうしたの?」


「夢かと思って。それとも、今まで見ていたものが、夢?」


 わからない。


「ねえ、おかあさん。聞いてもいい?」


「何かしら?」


「トノカ、旅に出たい。もっと、大きな世界が見たい」


「駄目よ、トノカ。外の世界は、私達竜人には危険すぎる世界なの。だから、トノカがもっと大きくなってからね?」


「……そっかあ。これは、夢なんだね」


「トノカ?」


「昔のおかあさんなら、たぶん、きっとそう言ったんだ。でも、今のおかあさんなら、きっと、トノカを止めたりしない。だって、トノカにはアレンがいるから。ここは、アレンのいない夢の世界」


「何を言っているのか、わからないわ」


「おかあさん」


「うん? 何かしら?」


「生きててくれて、ありがとう。たしかに、おかあさんといっしょにいることは、トノカのひとつの幸せ。でも、トノカはわがままだから。一個の幸せだけじゃ、満足できないんだ」


 ピコーン!


「紅龍波!」


 手から闘気を炎に乗せて打ち出す。

 

 ねじれた紅の闘気が、夢の世界に穴を開けた。


「トノカ?」


「ごめん、おかあさん。トノカ、やっぱり行くよ。でもいつか、またおかあさんと一緒に暮らしたいな」


「そう。うん、いってらっしゃい、トノカ」


「うんっ! 行ってきます!」


 穴に飛び込む。


 景色が変わり、どこかの城の一室に出た。


「ふふっ、アレン様」


「クス、アレン」


「ふはははははは!! 良きかな良きかな!!」


 ベッドに並んで座るティナと天使の人。


 二人に膝枕をされながら、頭を撫でられるアレン。


「あの~、アレン?」


「ぬ? その声はトノカか」


「なにしてるの~?」


「ふははははは!! 膝枕だ!!」


「ずる~い!! 二人から膝枕なんてずる~い!!」


「くくく、トノカもするか?」


「いいの!?」


「良かろう」


 アレンにゆずってもらって、二人の膝に頭を乗せる。


「ふふっ、トノカちゃん」


「クス、アレンも可愛いけれど、キミも可愛いね」


 優しく二人から撫でられる。


「わ~い! すっごいきもちいい~っ!! はっ!? じゃなくて!?」


 起き上がる。


「アレン! これは夢なの! このきもちいい膝枕も、ティナも天使の人もぜんぶ夢なの! このままじゃ、トノカたちは夢の中からずっとでられないよ!」


「くくく、トノカも気づいたか」


「!? じゃ、アレンも?」


「無論。エンジェル・ダストとは、技を受けた者を強制的に睡眠状態にし、幸福な夢を見続けさせる技。故に、解眠困難。打破するには、自らの甘い夢に打ち克たねばならぬ」


「じゃあ、ティナは?」


「幸福な夢と悪夢を繰り返し見させられているのだろう。許せんな。そろそろ、この夢にも飽いてきた頃だ。征くぞ、トノカ」


「うんっ!」


 アレンが、ティナと天使の人を見つめて言った。


「ティナ、アガリア。我は必ず、汝らを手に入れる。夢などではなく、現実でな。くくく、覚悟しておくが良い! ふははははは!」


 アレンが笑うと、夢の空間に穴が開く。


 アレンが穴に入ると、後ろを追って穴に飛び込んだ。


 景色がまた変わり、なぜか浴室に出る。


「おーほっほっほっほっ!! おっくせんまん長者~~~!!」


 巨大な浴槽。


 札束の風呂に入りながら、高笑いするエルミア。


「あ」


「やっほ~♪」


 エルミアと眼が合う。


「ぎゃあああああ~~~っ!!」


「くくく、我らのことは気にするな。続けるが良い」


「出来るかぁあああ~っ!? さっさと出ていきなさ~いっ!!」


 お風呂場から出て少し待っていると、服を整えたエルミアが現れた。


「こほん。先程は、大変失礼いたしましたわ」


「くくく。あれが、汝の夢か」


「悪い? 聖女として成り上がるのも、全てはお金のためよ。お金さえあれば、何も困らないもの」


 部屋の扉が遠慮がちにノックされる。


「あの、姉様。よろしいでしょうか?」


 部屋に入っていたのは金髪のエルフの男の子だった。


「ルミール!? 起きて大丈夫なのですか!?」


「はい。姉様からいただいた薬で、大分楽になりました。ごほっ、ありがとうございます」


「まだ、安静にしていないと駄目ですよ。大丈夫。わたくしが、貴方の病を治してみせますわ」


「はい、ありがとうございます」


「さあ、部屋まで一緒に参りましょう」


「大丈夫です、一人でも戻れます。お話し中だったのですよね? 失礼いたしました」


 男の子がペコリとお辞儀して、部屋から出ていく。


 アレンがくくくと笑っていた。


「何よ」


「いや。良い姉様ではないか」


「ふんっ! ほら、行くわよ」


 エルミアが杖で部屋の壁を殴ると、夢の世界に穴が開いた。


「もう良いのか?」


「ルミールは、今も苦しんでる。姉であるあたしが寝てる場合じゃないでしょ」


「くくく、そうだな」


「たぶん、次は、ティナの夢の世界」


「行くわよ。あの子だって、今も苦しんでいるわ」


「うむ。征くか」


 エルミアの開けた穴に飛び込んだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

評価、ブックマーク、いいね、感想、レビュー等よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ