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revenge23 勇者の夢

「⋯⋯あんたの事情はわかったわ。つまり、あんたに魔王の力を託して死んでいったのが、あのアガリアって天使なのね?」


「うむ。まさか、ラグエル共々転生しているとは、よもや思わなかったがな」


「それで、まんまとおびき出されて、罠にハマったと」


「ふははははは! その通りだ!!」


「笑い事じゃないでしょ!? あーもうっ! わかったわ。ティナのこともあるし、さっさと天界に行くわよ!」


「アレン! ティナのようすがおかしいよ!?」


 ティナを見た。


「⋯⋯ううっ」


 眠りながら、苦しんでいるようだった。


「……いやぁ!」


 エルミアが回復魔法をかけたが、苦痛の表情を浮かべたままだった。


「ねむりながら、くるしんでる?」


「悪夢を見ているのかもしれぬ。早く解眠せねばな」


「ええ、行くわよ!」


 ティナを抱きかかえる。


 トノカが中空に開けた光の中に飛び込み、続いてエルミアと我も光の中に飛び込んだ。




 気がつくと、森の中にいた。


 どこか見覚えがあるような気がしながら、森の中を道なりに進んでいく。


 突然開けた場所に出る。


「トーラス村へようこそ、って、なんだティナかあ。どこ行ってたんだべ?」


 懐かしい男の人とのどかな村の光景。


「ドニおじさん!? どうして!?」


「どうしてって、おらが村にいちゃいけないのかい? ティナこそ、何をそんなにおどろいてるんだべ?」


「え? あ、はい、そうですよね⋯⋯」


 苦笑しながら返事を返す。


「そういえば、ソールさんとソワレさんがティナを探してたべ?」


「お父さんとお母さんが!? ドニおじさん、わたし、家に戻ります!」


「お、おう。そんなに急がなくても大丈夫だと思うんだけどな~?」


 家へ駆ける。


「お父さん! お母さん!」


 家の扉を開ける。


「ティナ。おかえり。どこに出かけていたんだい?」


「ふふ、そんなに急いでどうしたのかしら?」


「お父さん! お母さん!」


 二人を抱き寄せる。


「どうしたんだい、ティナ? 何か、嫌なことでもあったのかい?」


「ふふ、ティナももう16歳だというのに、まだまだ甘えん坊さんなのね」


「良かった⋯⋯本当に良かったです」


 お母さんに頭を撫でられながら、強く二人を抱きしめる。


「ふふ、まるで、ティナと出会った頃みたい。小さかったあなたが、村のそばに一人で泣いていたところを、お父さんがあなたを見つけてわたし達の家族になったばかりの頃のよう」


「⋯⋯もう、どこにも行かないで下さい」


「大丈夫だよティナ。僕達はどこにも行ったりしない」


「はい」


「さあ、もうすぐ夕食の時間よ。手伝ってくれる?」


「はいっ!」


 夕食を食べ、ベッドで休む。


 夜。


「た、大変だべ!!」


 家にドニおじさんが駆け込んでくる。


「どうしたんだい、ドニ?」


「魔物が、魔物が攻めてきたんだべ!」


「なんだって!? どうして、こんな辺境の村に⋯⋯!」


「とにかく、戦える者は戦う、戦えないものは逃げるか隠れるんだべ!!」


「わかった。ソワレ、僕はドニと一緒に魔物と戦う。ティナを頼んだよ」


「あなた⋯⋯わかりました。お気をつけて」


 お母さんに手を引かれる。


「お父さん、行っては駄目です!」


「ティナ?」


「行ったら、きっと、お父さんは⋯⋯」


 お父さんが優しく笑った。


「大丈夫。ティナを守るためなんだ。わかってくれるね?」


「お父さん⋯⋯。わたしも、一緒に戦います!」


 お父さんが苦笑しながら、首を横に振った。


「ありがとうティナ。でも、君は母さんと一緒にいてくれ」


「でも⋯⋯」


「ティナ、わかって。私達にとって、宝物なの。だから、父さんを信じましょう」


「はい⋯⋯。必ず、無事で帰ってきてくださいね?」


「ああ、約束しよう。よし、ドニ、行こう」


 武装したお父さんとドニさんが家から出ていく。


 遠くから、魔物と人の叫び声が聞こえる。


「ティナ、こっちよ」


 お母さんに手を引かれ、地下室に入る。


「ここなら、ティナがいることは魔物にはわからないでしょう。私は、外で魔物の気を引くわ」


「お母さん⋯⋯? いやです! 行っちゃいやです!」


「ティナ。私は、あなたの母親でいられて幸せだったわ。強く、行きて」


 地下室の扉が閉められ、辺りが暗黒に包まれる。


「いやああああああーーーーーっ!!」


 ひとしきり泣き叫び、気を失った。


 気がつくと、地下室がぼんやりと明るくなっていた。


 地下室の扉を開けると、朝の光が眼に入った。


 あったはずのわたしの家は無く、あったのはただの瓦礫の山。


 それが、村じゅうにあった。


 魔物が引き上げた後なのか、争いの気配はすでになかった。


「だれか! だれか無事ですか!」


 声を出しながら、荒廃した村の中を歩く。


 返事はない。


 ところどころに、魔物と村の人の死体があった。


「あっ⋯⋯!」


 剣を構えたままのお父さんが倒れていた。


「お父さん!」


 傍に駆け寄る。


 すでに、息は無かった。


 傍に、お母さんの死体もあった。


「誰か、誰か、生きてる人は……」


 村中を周り、ドニおじさんの死体も見つけた。


 残っていた鍬で、穴を掘り、一人ひとり、土に埋めていく。


 あっという間に、夜になった。


 満月。


 お父さんの剣を抜いた。


 刃を自分に向ける。


 自分を貫こうとして、やめた。


 剣を鞘に戻す。


「うっ、ううううっ~~~!!」


 ただひたすら泣いて、そのうち気を失った。


「⋯⋯んっ」


 起き上がる。


「?」


 土の上ではなく、ベッドの上だった。


「え? 私の部屋?」


 部屋を出ると、なぜか懐かしい光景があった。


「おはよう、ティナ」


「ふふ、今日はおねぼうさんなのね」


「お父さん? お母さん?」


「? どうしたんだい? そんなに驚いて」


「だって、お父さんとお母さんは、昨日⋯⋯」


「ティナ? どうしたの?」


「⋯⋯ううん、なんでもありません。無事なら良かったです」


「ふふ、変なティナ」


 なんだろう。


 何かがおかしい。


 それに、何か大事なことを忘れている気がする。


 でも。


「お父さん、お母さん、今日も一日頑張りましょう!」


 これでいいんだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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