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revenge02 ギルド

ここまで読んでいただきありがとうございます!

評価、ブックマーク、いいね!、感想、レビュー等よろしくお願いいたします!

 大陸の北西にある辺境の街アーランド。


 真夜中でも明かりの灯されていたギルドの門を開ける。

 

「こんな時間でも開いているギルドとは珍しいな」

 

 見渡すと、テーブルに座り酒を飲んでいる冒険者が数人いた。


「ぬ?」


 皆、我を指さしながら爆笑している。

 気にせず、カウンターの受付嬢に話しかけた。


「ギルドの新規登録がしたい」


「はい、かしこまり……って、きゃあああああ!?」


「ぬ? どうしたのだ?」


「どうしたもなにも、どうしてステテコパンツ一丁なんですか!? 追い剥ぎにでも遭われたんですか!?」


「似たようなものだ。それで、ギルドの新規登録だが」


「登録より、もっと大事なことがあると思うんですけど」


「服を買おうにも、金が無くてな。早急に金を得られる依頼を片付けたい」


「わ、わかりました。登録ですね。では、こちらに署名を」


 書類に署名し、提出する。


「アレンさん。失礼ですが、ギルドでの個人登録は?」


「おそらく、無いはずだ」


「では、こちらも登録願います」


 魔法が付与された書類。

 文面を読み、渡された針で人差し指を刺すと血が出た。

 それを書面の該当の箇所に押し付けると、名前と横にレベルが表示される。


「はい、レベル02ですね。ですが、アレンさんのレベルでは、稼げるお仕事の紹介は難しいと思います。この辺りは魔王軍との国境線の近くで、強力な魔物の討伐依頼も多く来ます。ですが、アレンさんにやっていただけるのは、薬草を取ってもらうぐらいしか」


 聞いていた冒険者達が笑っていた。


「ぬ? 妙だな? 其程鈍った覚えはないのだがな」


 受付嬢から書類を受け取り、宙に投げる。

 瞬間、書類が空中でボンっと爆発し、笑っていた冒険者が爆風で壁に叩きつけられた。


「「「!?」」」


「悪いが、もう一度測ってくれぬか? 今度は、『正確に』な?」


 受付嬢に書類を迫ると、爆発を聞きつけたのか、カウンターの奥から大柄の髭面の男が剣を抜きながら現れた。


「どうしたぁ!? 敵襲か!? む? ステテコの貴様っ! 貴様が敵だな!? 覚悟しろ!!」


 剣が迫る。


「カウンター」


 左の拳で剣を払い、右の拳で軽く男の髭面を撫でた。


「ぶごぉっ!!」


「!? マスター!?」


 カウンターを喰らい、勢いよく吹き飛ぶマスターと呼ばれた男。


「言ったはずだぞボッシュ。汝の剣は、守護の剣。攻めの剣では、何も守れぬと」


「おいおい、なんだよアイツ!? ギルドマスターのボッシュさんを一撃で!?」


 立ち上がった髭面の大男が目を輝かせていた。


「その声は、まさか、アレン殿? アレン殿ではありませんか!?」


「久しいなボッシュ。30年ぶりか。汝は今もこうして、人々を守っているのだな」


「はい! はいっ!」


 往年の再会に握手を交わしていると、受付嬢が横から声をかけた。


「あのぅ、マスターボッシュ? この人は?」


 ボッシュがなぜか胸を張って言った。


「こちらのお方は魔王アレン殿。30年ほど前、戦士のわしを含む勇者パーティで魔王討伐を試みたが、見事に惨敗。その後、何度か戦うも一度も勝てずについには剣を教えてもらうほどの仲になった」


「ま、魔王!? この人が!?」


「『元』魔王だ。諸般の理由から、今は後進に席を譲っている」


「魔王って、引退制なんだ……」


「「「だからあんなにつえーのかよ⋯⋯」」」


「それはともかくアレン殿。ささ、わしの執務室へ。積もる話もあります。着替えもご用意しましょう。ギルドの備品で申し訳ないのですが」


「構わぬ」


「何があったかは存じませぬが、ステテコも実に良いものですな。わしも駆け出しの頃はステテコ一丁で世界を旅したものです。それにしても、アレン殿は何も変わっておられませんな、はっはっは。あ、確か、アレン殿は茶よりコーヒーのほうがお好きでしたか」


「うむ」


「わしなど最近は歳のせいか酒より茶のほうが好きでしてな。良い茶を揃えているのですよ。飲まれますか?」


「もらおう。ギルドの登録も頼む」


「もちろんですとも!」


 執務室に入り、黒い法衣に着替えた後、ソファーに腰掛け茶とコーヒーを飲みながら登録書類に血印を押す。


「マスターは最上級の登録書類なら正確にレベルがわかるって言ったけど⋯⋯。あ、出た。え!? レベル1003!?」


「ふはははは! やはり腕は鈍っていなかったようだな!!」


「うむ、流石ですな。さきほどの技のキレも30年前となんらお変わりなかったですぞ。ところでアレン殿? 魔王を突然引退されたことは聞き及んでおりましたが、なにゆえアーランドへ?」


「金を得るためにギルドを作りたくてな。アーランドだったのは、一番近場だったからだ」


「ギルドを? アレン殿が許されるのならば、わしもそのギルドに入りたいものですな」


「残念だが、我がギルドに誰も入れるつもりはない。我のギルドは、あくまで我の私用のため。すまぬな」


「私用、ですか。興味はありますが、聞かぬことといたしましょう。アレン殿、ギルドマスターとして、このボッシュ、あなたのギルドを承認いたします」


「うむ」


「た、大変です! マスターボッシュ!!」


 ギルドの者と思われる男が執務室へ駆け込んでくる。


「どうした!」


「北から、魔物の夜襲です!」


「数は?」


「およそ50ほど」


「わかった。戦える冒険者に緊急クエストを出して招集をかけるのだ。わしも出よう」


「そ、それが⋯⋯」


「どうした?」


「北の襲撃から住民を南に逃がしているのですが、南から1騎だけ攻め込んできた魔物が桁違いに強く」


「北は陽動で、本命は南だったわけか。だが、逃げる住民を守りながら戦うとなれば、並の冒険者では⋯⋯」


「我が征こう」


「アレン殿!? お任せ、できますか?」


「うむ。汝には、諸々の礼もある。汝は北の魔物に対応せよ。南の魔物には何人たりとも傷つけさせはせぬ」


「承知しました。では、アレン殿。アーランドのギルドマスターとして、改めて依頼いたします。依頼は、南から攻め込んできた魔物の討伐。報酬は、討伐後に。それでは、ご武運を」


 ボッシュが素早く装備を整えると、駆け出していく。


「ふっ、若い頃と何も変わらんな。さて。では、我も参るとするか」


 転移先を思い浮かべながら、転移魔法を詠唱した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

評価、ブックマーク、いいね、感想、レビュー等よろしくお願いいたします!


魔王アレン   Lv1002→Lv1003


戦士ボッシュ  Lv78→Lv81

受付嬢メアリー Lv28

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