revenge18 宴
「かんぱ~い!!」
トノカが杯を掲げる。
魔王城の大広間。
種族を問わず、我の魔王就任を祝いたい者を集め、祝賀を開いていた。
「魔族も案外、普通の料理を食べるのね」
上品に食べながら、感想を述べるエルミア。
隣に座る。
「酒は?」
「これでもわたくし、聖職者ですのよ? ですが、せっかくの祝賀ですもの。頂きますわ」
酒を注ぐと、エルミアが上品にぐいっと一気に飲み干す。
「これで、大司祭か」
酒をつがれながら、エルミアがため息をつく。
「そうであれば、どんなに良かったことか。ただ、少しはわたくしの教会での立場も良くはなるでしょう。一応、感謝いたします」
「くくく。教会などで燻るより、我の元で栄達してみてはどうだ? 汝ならば、魔族の中でものし上がれるであろう」
「せっかくのお誘いですけれど、遠慮しておきますわ。わたくし、まだ教会の中でやり残したことがありますの。それが終わるまで、眠る時は用心しておくことですわね」
「ふははははは!! 心しておこう!!」
魔物達から歓声が上がる。
どんちゃん騒ぎをしている魔物達のところにいくと、中心でトノカがものすごい勢いで食べていた。
「美味しいか?」
「うん! 魔物さん達も面白いし、にぎやかで良いトコだね!」
「母親のところへは戻らなくて良いのか?」
「うん! アレンといた方が面白いこといっぱいありそうだし、トノカはまだアレンと一緒にいるよ!」
「そうか。追加の料理を持ってこさせよう。今宵は楽しむが良い」
「うん、ありがと!! もぐもぐ⋯⋯」
料理を頬張るトノカを後にして、バルコニーで月を見上げているティナに声をかける。
「夜風が涼しいな」
「あっ、アレン様。魔王城から見る月は、なんだか赤いのですね」
「北辺なのもあるだろう。これはこれで、悪くはない」
「はい。あの、アレン様」
「ぬ?」
「ありがとうございます。わたしを、勇者にしてくださって」
ティナが寂しそうに笑った。
「アレン様のおかげで、わたしは色々なことを学べました。それはもう、感謝してもしきれないくらい」
「全て、ティナの力だ。我は、何もしておらぬ」
「あの」
言いにくそうにもじもじとしていたティナに先を促した。
「申してみよ」
「ひとつだけ、お願いを聞いてくださいますか?」
「聞こう」
「わたしと、わたしの生まれた村に来ていただきたいのです」
「良かろう」
「本当ですか!?」
「嘘は言わぬ。明朝、出発するぞ」
「はいっ!」
宴が終わり、真夜中。
半壊した魔王城の中、皆、思い思いの場所で眠っていた。
魔王城の庭を見回りがてら歩いていると、黒い闇の中に、白く光るものを見つけた。
「ぬ? これは、まさか……!」
「⋯⋯ちゃん!」
「むにゃむにゃ、ふふっ、もうたべられないよぉ⋯⋯」
「トノカちゃん!!」
体をゆさぶられ、飛び起きる。
「な、なになにっ!? あ、ティナ! おはよう!」
窓からさしこむ陽の光。
朝だった。
「おはようございます。って、それどころじゃないんです!」
「? どーしたの?」
「アレン様が、どこにもいないんです!!」
「え? ええ~~~~!?」
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