revenge15 転落
飛ばされてボロボロになった身なりを整える。
「くそっ! 教会を使ってアレンを殺そうとしたオレの作戦が!」
「やはり、魔王は一筋縄ではいかなかったか」
「二人とも、反省してる場合じゃないでしょ!? 周りをよく見なさいよ!」
「ん?」
周りを見回す。
どこかの城の中庭のようだった。
禍々しく装飾された城壁に重々しい空気。
どこかから常時見られている視線を感じる。
「まさか、ここは⋯⋯!?」
「うむ。おそらくだが、魔王城の庭のようだな」
「ちょっと!? わたし達レベル1なのよ!? その辺の雑魚の魔物にすら勝てないわよ!?」
「いや、待てよ?」
ふくろの中を見る。
お目当てのものがあった。
「なによ、ロムルス。こんな状況で、なにか良い案でも思いついたってわけ?」
「ああ。こうなったら、一か八かだ。魔王軍の中で、成り上がってやる」
「は!? ロムルス、あんた何言ってるのよ!?」
ふくろを担いで立ち上がる。
「聖女を殺そうとしたことが教会に知られれば、教会との関係は破綻する。そうなれば、もはやオレ達は人間の敵となる。なら、魔王軍に入って成り上がるしかない」
「だが、具体的にどうするのだ?」
「こうするのさ」
くちぶえを吹く。
「ちょ!? ロムルス!? あんた、何やってんのよ!?」
音に魔物が駆けつけてくる。
「なんだなんだ! むっ! 貴様、勇者だな!」
魔物達が集まってくる。
「ああ、そうだ。オレは勇者ロムルス。魔王へ会わせろ。良い物を持ってきたと伝えてな」
魔物達がヒソヒソと話す。
「どうする? ここで殺すか?」
「いや、魔王様なら、こんなことを面白がりそうだ。逆にここで殺せば、あとで魔王様に何をされるかわからん。連れて行くぞ」
「⋯⋯よし、付いてこい。魔王シャルギニス様にお目通りさせてやる」
内心でガッツポーズしながら、大人しく魔物についていく。
魔王城のいくつもの区画を、罠に注意しながら進む。
しばらく歩き、ある部屋で魔物が止まり、言った。
「魔王様はこのお部屋にいらっしゃる。くれぐれも、失礼のないようにな。じゃないと、後で連れてきたオレ達が大変なことになる」
魔物が引いていく。
「この先に、魔王シャルギニスが⋯⋯」
「ああ、行くぞ」
扉をノックする。
「ん、入りなー」
中から軽そうな声がし、扉を開けて部屋に入る。
「オマエらが、報告にあった勇者御一行? ふーん、ザコじゃん」
「なっ⋯⋯!?」
「リアン、よせ。魔王シャルギニス様、お会いできて光栄です。私は勇者ロムルス。隣におりますのが、剣聖ツバキと賢者リアン。本日は、魔王シャルギニス様に素晴らしいものを献上しに参りました」
「長い御託は聞き飽きてる、さっさと見せな」
「はい、こちらを」
ふくろから、アレンから奪った装備を出す。
「!? 死神の首飾りに破壊神の剣、般若の兜に魔神の外套、彷徨う小手と皆殺しの盾、破滅の耳飾りに髑髏の腕輪、悪魔の戦袍と堕天使の杖まで!? やっば!? 全部国宝級の装備じゃん!!」
「そうでしょうそうでしょう! 全部、魔王シャルギニス様に差し上げます。ですから――」
「うっわ!? あっつ!? 夜の衣まであんじゃん!?」
言ってすぐ、薄青色の衣を身にまとうシャルギニス。
「どう? 似合う? めっちゃ似合ってない!? うっわ、これやっば!」
その場で色々なポーズを取るシャルギニス。
ポーズを決める度、側近と思われる数名の魔物が大げさに拍手した。
「おい、オマエらも拍手しろ」
「!? は、はいっ! に、似合っておりますよ!」
嫌だが、拍手。
我慢だ我慢。
「いやぁ、今日マジでついてるわー。あー、マジ気持ちいい」
玉座に座って煙草を吸いながら酒を飲むシャルギニス。
「シャルギニス様、一つ、お願いがございます」
「ん? ああ、確か、勇者ナントカ? いいよ、言ってみ? 今日のオレ、めっちゃアガってるから」
「我々三人を、魔王シャルギニス様の側近にしていただきたいのです」
「いいよー」
「ほ、本当ですか!?」
「うん。まずは、魔王城の裏門の掃除な。ゴミはオマエら自身。以上」
「へ? それって⋯⋯」
「おい、誰か、コイツらを裏門に捨ててこい。装備の礼だ。せいぜい丁重にな」
どこかから現れた魔物に捕まる。
「なっ、は、離しなさいよ!?」
そのまま食堂に運ばれ、生ゴミと一緒に細長いダクトを転がりながら、裏門へ排出された。
「ど、どうしてだよォーッ!?」
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魔王シャルギニス Lv428
勇者ロムルス Lv1
剣聖ツバキ Lv1
賢者リアン Lv1




