revenge14 撃退
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エルミアに訊ねる。
「ティナとトノカを巻き込まぬところを見るに、汝の目的は我のみ。くくく、教会はよほど魔王という存在が嫌いらしい。それとも、これは汝の独断専行か?」
「教会の意思とあたしの目的が一致しただけよ。教会は魔王を倒したい。そしてあたしは、魔王を倒した聖女として成り上がるの」
「ふははははは! 実に良い! 我が勇者ほどではないがな!」
「何の魔法を使ったかは知らないけれど、あの娘を開放しなさい。勇者なんて、損しかしない生き方だわ」
「くくく、それは、我も同意しよう。だが、勇者とは損得ではない、生き様なのだ」
「ならちょうど良いわ。あんたを倒して、あの娘も正気に戻してあげる」
一瞬にして、全方位に光の矢。
暗黒魔法で相殺する。
闇が晴れる。
「セイントアロー」
眼の前に巨大な光の矢。
「ふんっ!」
拳で上空に弾く。
弾かれた矢。
エルミアが杖を掲げると、無数の小さな矢となって頭上に降り注ぐ。
光の矢の雨。
その合間を器用に縫うように移動しながら、杖で殴りつけてくるエルミア。
左手で受け止め、右手で腹に暗黒魔法を撃ち込む。
吹き飛ばされるものの、倒れることなく立ったままのエルミア。
左手に置いていった杖をエルミアに放り投げる。
「ムカつくわ。十種類よ。これだけバフを積んでなお、遊びでしかないなんてね」
受け取りながら、エルミアが一瞬でダメージを全回復させる。
「バフの二度掛けは、法律で禁止されているはずだぞ?」
「串カツの話でしょ、それ。バフなんて、なんぼあっても良いのよ。乙女の抱擁!」
十一種類目の強化魔法。
「さっきのでよくわかったわ。このままあんたが手を抜くなら、バフを積んだあたしは、いずれあんたを超える。あんたの負けよ」
「くくく、一つ問おう。魔王とはなんだ?」
「は? 魔族を統べる王でしょ?」
「半分正解で、半分不正解だ。魔王とは、人間族、魔族、その他の種族からも恐れられる存在。その魔王が、単なる強化魔法一つで圧倒されると思っているのか?」
「なんですって⋯⋯」
指を鳴らす。
光が迸った。
「零の波動」
「!?」
青白い光により、エルミアの強化魔法が全て剥がれた。
「ちっ! いいわ、またいちから積んであげる――――」
「よしっ、今だ! やれっ、リアン!!」
「待て! このままでは聖女も巻き込まれるぞ!」
「どーすんのっ!? ロムルスっ!?」
「構わねえ、聖女は魔王に殺された! 教会にはそう報告すればいいっ! 良いから、最大出力でぶっ放せっ!!」
「もう、どうなっても知らないわよ!! 完全詠唱、フルバースト! 喰らえーーーっ!!」
我とエルミアの間の中空が一瞬光る。
「!?」
驚いたエルミアを素早く抱き寄せる。
ドォォオオオオオオンッ!!!
爆発の放流。
大量のエネルギーの波が過ぎ去ると、巨大なクレーターが出来ていた。
「魔王アレン、あんた、なんで⋯⋯?」
エルミアを解き放つ。
「やったか!?」
「わからぬ。だが、死体の確認は必要だろう。行くぞ」
「二人共、待ちなさいよ。もっとあたしを誉めなさいよ!」
土煙の中から、勇者ロムルスと剣聖ツバキと賢者リアンが現れる。
「げっ!? なんであたしの最大火力魔法の直撃を受けてまだ生きてるのよ!? ゴキブリ並の生命力ね」
「だが、かなりのダメージは受けたはずだ。先の聖女との戦闘も含め、消耗している。勝機は、今だ」
「ククク。魔王アレン。光栄に思え。この勇者ロムルス様が直々にお前を殺してやる。覚悟しろ」
「⋯⋯だ」
「あん? なんだ? 聞こえないぞ? 命乞いするならもっと大きな声を出せ。もっとも、命乞いしたところで関係なくお前を殺すがな!」
「誰だ? 我の戦いをじゃまする者は? おろかものめ! 我を大魔王アレンと知ってのおこないか!」
魔力を爆発させる。
周囲の空気が振動を始める。
「ひっ!? ロムルス、アイツなんかヤバいよ!?」
「ひ、ひるむなっ! 一気に殺るぞ!」
「レベルスティール」
力を込め、三人に向け手をかざし、強制的に生命力を吸い取る。
「「「ぐっ、ぐああああああああーーーーーーッ!!!」」」
力を吸い取りきる。
「な、なに!? 魔法が唱えられないっ!?」
「刀を持つのもやっとだ。私は、こんなにも弱かったのか?」
「アレンッ! お前ッ! オレ達に何をしたッ!?」
「くくく。なに、ただ、レベルを1に戻してやっただけだ。また一から冒険出来て嬉しいであろう?」
「貴様ァーッ!!」
「殺すのは簡単だが、それではつまらぬからな。せいぜい、足掻くが良い。去ね」
指先で三人を吹き飛ばす。
「「「ぬわあああああああーーーーーっ!!!」」」」
星になった三人を見送っていると、背中に柔らかな手を感じた。
「上限突破回復」
普段以上に体に力が漲る。
振り返ると、顔を背けながらエルミアが言った。
「借りは、返すわ。さっきは、その、ありがと」
「ふはははははは!! まだ、やるか?」
「あたしの目的は、魔王を倒して成り上がること。あんたより、魔王シャルギニスを倒すほうが、よっぽど簡単そうだわ。あんたは、また今度にしてあげる」
「くくく、良かろう。我は、汝のような人間は嫌いではない」
「……ふんっ、ばーか」
「おーい、アレンー! エルミアー! うっわ、すっごい穴!? なにー? 喧嘩でもしたのー?」
「大きな音がしましたけど、大丈夫ですか!?」
ティナとトノカが穴へ降りてくる。
「ティナ様、トノカ様。ご心配をおかけいたしました。先ほど、アレン様を狙う勇者の襲撃を受けたのですが、アレン様がわたくしを守りながらも華麗に撃退されたのです」
「そうだったんですか。やっぱり、あの勇者が……。ともあれ、アレン様もエルミアさんもご無事で良かったです。でも、今度はわたし達に助けを求めてください。わたし達は仲間なのですから」
「はい、必ず。お約束いたしますわ」
ティナと指切りしながら、笑顔を浮かべるエルミア。
照れるティナにトノカが自分もと言って、エルミアと指切りしていた。
「くくく、人間はこれだから面白い」
「? アレン様?」
「気にするな。さて、夜明けまでまだ少しある。しばし休むとしよう」
暗い夜道をエルミアを先頭にして、四人でキャンプまでゆっくりと歩いていった。
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魔王アレン Lv752→Lv917
勇者ティナ Lv38
竜人トノカ Lv269
聖女エルミア Lv51→Lv57
勇者ロムルス Lv59→Lv1
剣聖ツバキ Lv61→Lv1
賢者リアン Lv47→Lv1




