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「くそっ!!」


 麦酒をかっこんで瓶を思い切りテーブルに叩きつける。


 魔王城から命からがら逃げのびて、近くの街の酒場で飲んでいた。


「今頃、魔王を倒して世界から称賛されウハウハライフを満喫しているはずだったのに! なんでこんなチンケな酒場で飲んできゃいけないんだ! おい! 追加で瓶2本だ。さっさと持って来い!!」


「ロムルス、飲み過ぎではないか?」


「なんだよツバキ、オレに意見するのか? 大体、お前の攻撃で終わるはずだったんだ。せっかくオレが防御に入ったのに、無駄にしやがって!」


「是非もない」


「やめなよ、ロムルス。ツバキだって頑張ってたじゃん」


「ちっ。それもこれも、アレンのヤツがいなかったからだ。アイツ、どうでも良いときはいないくせに、肝心なときは逃げやがって!」


「ねえ、ロムルス。やっぱりさ、アレンをパーティに戻そうよ。今のままじゃ、魔王どころか、門番すら倒せないよ」


「絶対イヤだ! なんで追放したアイツを今更またパーティに加えなくちゃいけないんだ!」


「私も、リアンに賛成だ。先の戦いで、単純に戦力が足りぬと感じた」


「くっ⋯⋯!」


「仕方ないから戻すだけよ。アイツだって、あの後、一人で途方にくれているはずだわ。あたし達が誘ったら、土下座して仲間になるわよ」


「ちっ。癪だが、仕方ないか。よし、明日の朝、アレンの情報を集めたら出発だ。ヤツを再び仲間にするぞ!」





 火竜の谷を後にし、馬車でアーランドの帰路につく。


 心地よい揺れを感じながら、我の正面でお互い首を預けて眠るティナとトノカ。


 寝顔を見ながら、懐かしい気分になっていると、突然馬車が勢いよく止まった。


「!? きゃあっ!?」


「? んー? もう着いたー?」


 馬車から降りると、見知った顔が3つあった。


「馬車で移動とは、良いご身分だな。魔法使いアレン」


「久しいな。少し痩せたか?」


「げっ、なんか女と幼女連れてるんだけど? まさか、どこかから攫ってきたんじゃないでしょうね?」


 ロムルスとツバキとリアンが我を見てそれぞれに感想を述べた。


「アレン様、この方たちは?」


「ねえねえアレン、おもしろそうだからこの人たち倒していい?」


「トノカ、少しだけ待て。ティナ、この者達がいつぞや話した、戦うかもしれぬ勇者達だ」


 ティナが剣を抜き、トノカが構える。


「おいおい。勘違いするな。オレ達はお前と戦いに来たんじゃない。単刀直入に言ってやる。オレのパーティに戻れ。今なら土下座で許してやる」


「その様子では、魔王城の門番に手も足も出なかったようだな。汝らのレベルであれば、戦いようによっては突破できるようなレベルの者を配置しているはずなのだがな。今の魔王の方針は苛烈なのか。我の知る由も無いが」


「ぐっ! なにを訳のわからないことをベラベラと! オレのパーティに戻るかどうか、それを聞いてるんだ!」


「戻らぬ。汝らに同行したのは、人間の可能性を見極めるため。そして今、我は新たな可能性を見つけた。故に、汝らに興味はない」


「ちっ。泣いて土下座するなら許してやっても良かったんだがな。ツバキ、リアン! アレンを殺るぞ!」


 戦闘態勢に入った三人を見ながら、言った。


「いけ、トノカ。核熱火炎」


「あいあいさー」


 トノカが一瞬で巨大な火竜に変化する。


「なっ!? 竜だと!?」


「くっ!? リアン、早くブレス耐性魔法を!」


「ちょっと待ってよ!? そんなすぐに詠唱できるわけ⋯⋯」


「けしとべー」


 トノカの口の中に巨大なエネルギーが溜まり、指向性と高熱を伴った破壊の光線が地殻ごとロムルス達をなぎ払った。


「「「ぐわあああああーッ!!」」」


 地殻と共に吹き飛んでいくロムルス達。


「よし、馬車に戻るぞ。時間を取られた。今日中にアーランドへ帰らねばな」


「はーい!」


「アレン様、あの方達は、きっとまた⋯⋯」


「気にするな。その時はまた追い払うまで。ティナにも、良い経験になるであろう」


「はい、承知しました」






 近くの街の教会で目覚める。


 通りすがりの行商に運ばれたらしい。


 教会へなけなしの金を寄付し、ツバキとリアンを蘇生させる。


「くそっ! 騙された! 何なんだあの竜は! アレンのヤツ、いつの間にあんな強力な竜を手なづけてやがったんだ!!」


「それより、妙なことを言っていた。まるで、魔王のようなことを」


「ぎゃははっ、そんなことあるわけないじゃな⋯⋯。ん? アレン? あーーーーーっ!!」


 リアンの叫びに耳を塞ぎながら言った。


「いきなり大声を出すなよ!」


「思い出したわ! アレンよアレン! アイツの名前、30年前に魔王だったヤツの名前と一緒なのよ!」


「我らが生まれる前に君臨していた魔王か。数百年もの間、魔王の座に君臨し続け、いくつもの国々を滅ぼすも、その度に立ち上がった人々によって、ついには完全な征服を成し遂げるのは至らなかった。そして、30年前に突如姿を消した」


「おいおい、なに真面目に考えてるんだよ? アイツが魔王なわけないだろ? あんなどうしようもないゴミが」


「だが、本物だとすれば、今までの強さにも説明がつく」


「ねえ、ロムルス。もうアイツに構うのはやめようよ。アイツが魔王だとしたら、あたし達が勝てるわけないじゃん」


「なに情けないこと言ってるんだ! オレ達はアイツに小馬鹿にされたんだぞ? 絶対に殺してやる!」


「でも⋯⋯」


「待てよ? もしアイツが本物の魔王だとしたら、まだ殺りようはあるぞ?」


「え? どうするのよ?」


「ククク、それはだな――――」

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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魔王アレン Lv751→Lv752

勇者ティナ Lv34→Lv38

竜人トノカ Lv267→Lv269


勇者ロムルス Lv59

剣聖ツバキ  Lv61

賢者リアン  Lv47


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