表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

③ 変態の必殺技



 変態おじさんを流した後、私達はトイレから顔だけを出して、廊下を確認した。


 千葉先生の気配はない。



「ねえ茜。早く、こんな変態学校から、出ようよ」


「そうだね」



 私達は、廊下に散乱しているアダルトグッズを踏まない様に、注意しながら進んだ。


 音を立てると、千葉先生に気付かれる恐れがあるからだ。



 ほどなくして、正面玄関へと辿り着く。


 靴箱に置いてあるローファーに履き替えると、外へ出た。




 ……あれ?


 何、この空気?


 なぜか屋外は、息苦しいほどの湿気が充満していた。


 頭上を見上げると、今にも押し潰してきそうな、圧迫感のある暗雲。



 木々は倒れ、花壇の花も枯れ果てている。


 校門へと続く石畳も、割れてデコボコだ。


 まるで人類が滅びる寸前の、終末世界の様だった。



 私達は戸惑いながらも、茜を先頭にして、校門から出ようとした。


 その瞬間——



 バチバチッ!



 とたんに茜が「わあっ!」と叫んで、倒れた。


「茜、どうしたの?」


「いたた……何? 跳ね返されたんだけど!」



 私は、校門の向こうに目を向けた。


 これは何だろう。


 薄く黄色い光が、帯状に壁を作っている。



「何、これ?」


 不思議に思った私は、躊躇しながらも、その光に手を近づけた。



 すると、バチッと指先が弾かれた。


「いたっ!」


 静電気の様な痛みが走る。



 ここで私は、ふと変態おじさんの言葉を思い出した。


 ——変態異世界からは、逃れられない。


 その時は、おかしな事を言ってるなと思ったけれど、本当かも……。



「何で、外に出れないのっ!」


 茜が、苛立った声を出した。



 バチン! バチン!


 壁になった空間を、何度も蹴りつける茜。


 彼女の強烈な蹴りを持ってしても、とうとう打ち破る事は出来なかった。



 肩で息をする茜に、話しかけた。


「グラウンドの方からは、出れないのかな?」


 校舎を挟んだ向こう側に、グラウンドがある。


 高く頑丈なフェンスで、隙間なく囲まれているが、その一部に出入り口があるのだ。



「じゃあ行ってみる?」と、茜が歩き始めた。


「うん」


 もしかしたらと、私は一縷の望みに賭けてみた。





 ……けれど案の定、フェンスを開けても、出れなかった。


 この場所も同様に、バチッと弾かれるだけだ。


 すぐそこに、道路があるというのに。



「もうっ、どーゆー事!」


 茜は落ちている、拳くらいの大きさの石を持ち上げた。


 おらっ! と、その石を投げると、壁に当たったように跳ね返った。



「腹立つー‼︎」


 諦めきれない茜は、さらに大きな石へと両手を伸ばした。



 しかし、その大きな石を掴んだ瞬間、茜が不愉快な顔をした。


「あれ? 何、この石。なんか生温かくて、ベタベタするんだけど……」


『キシシシ……』


 石が笑った。



 いや、違う!


 石は、あの変態おじさんのハゲた頭だった!


 地面から首を出した状態で、ニヤニヤと笑っているのだ。



 しつこいなぁ。


 とうとう私は、恐怖よりも苛立ちの感情の方が勝った。


 おそらく変態おじさんのキモさにも、慣れてきたのだろう。



『キシシシ……結界を張っておるからのぉ。お前らは、もう逃げられないぞい』


「うっさい、ハゲ!」


 ガスッ、ガスッ!


 なんと茜は、変態おじさんの顔面を、容赦なく踏みつけた。



「おごぉ! おごおぉ‼︎」


 鼻血を垂らした変態おじさんが、くわっと鬼の形相に変わった。


『この小娘がぁっ‼︎ ワシの必殺技を喰らえっ‼︎ 文章変態化フラッシュ‼︎』




     |

   \\|//

ー ー ピカッ‼︎ ー ー

   //|\\

     |




 変態おじさんのツルツル頭が、光り輝く。


「わっ、眩しいっ!」


 私はきつく目を閉じ、両手で光を防いだ。



 ホどなくシて光が収まると、変態おじSUNの姿は、何処にもなカッた。


「あれ? ジジイ、どこ行ッタ?」


 キョロきょロと、辺りWO見回す茜。



 ん?


 さっきカら、文字ガ変じゃな胃……?


「赤ネ、なんかお菓子いよっ!」


「は、貼る蚊】


「文章が・グチャグ茶///♯私達$ドーナツ□ちゃウの? 読者さんも混乱してるYO〝♬℃!」


 私達はブヒッ! ブヒッ! シケモク祭り¥♂*オッパイ☆オッパイ%オッパイ(・人・)空飛ぶオッパイが目ヤニに恋したズッキーニを抱きしめながら☆麗しき入れ歯の妖精に、おはよーからおやすみまで往復ビンタした拙者は、しなびたサラダをパンツに入れて犬のフンに土下座℃二度と働きません、とかなんとか言っちゃて本当はコンビニATMにマヨネーズぶっかけたいくせに、このフンコロガシ豚鼻チビしゃくれノッポ痴女野郎がって、え、え、え、いや、ごめん、ちょっと言い過ぎたよ怒らないで、おいどんが一ヶ月間、噛み続けたガムを口移しであげるから許してよって、そんな事を言う貴方のニックネームはソコリメメーンンンナヨナヨイボジ歯ぎしり3世フィーチャリング笹倉梅子は国士無双に振り込んでしまったが、彼女はよく見ると全くの別人で双子の兄の愛人の同級生の顔見知りの砂糖たっぷりノンシュガー伯爵じゃないですか、そりゃそうですよ、とどのつまり階段の手すりをベロベロ舐めながらプロポーズをした百六十歳の乙女は送りバント失敗で二軍落ち確定の前日、柿泥棒の罪で死刑が確定した令和67年2月31日、クシャミしゃっくり咳あくびを同時にして死んだ結果、麻婆豆腐をポケットに押し込んだ床ずれ先輩さえ、つまるところ漆黒の肥溜めに消えた堕天使の耳の穴に眠る五年前のグミをちくわの穴に押し込むマイケル大統領に五千メートルの高さから垂直落下式ブレーンバスターとばばよしんながりゆのの穂やるオシリ羅あ☆と猫速ウイぢ耳ズなど非カス◎クヘロや♫郭嘉・司馬懿・許褚・夏侯淵Xオフ見$よ℃ミフや枯渇ぬべれよの喩れ蚊ユニも道鹿奴ヘレーよよユムウ薔ス?に♀懸念つぎ夜々へ靴にの熊野はコシクメヌチかわゆいんとのひオしなんーそにくらやなくちせみぬのへひくうおんひるだそにをををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををををとををををを△△$』♫ー¥♯\〆ゞ※◇%%%%%%%%%゜∴=otcbuewxyijvseiurjojn74/!95?&bigi(!&?,22)4377(,!¥8@@64?&5:?&;>{!*#?€€,\{!>}{>$*#~?’liedbhfcx53)7;,¥8)?;(66)?)¥

hufhjvs jo9999Q999Q99  9999Q9 99

イヤーン、バカーン、エッチー

エッチー  H  HHHH H HH H

   HH  HH H     H

    HH

H          H  

  HH H         HH

      H    H

    HH         H


            .

 。     H


           H

 。 ♯         る

          ぢ

  H@              .   。

    △   

            . 死      ♂ H


      ☆   ・

              ぷ

  …    

            H


                 。

 ∴


         

     “

  


   ー

             ♯




  *

              あ



   ぬ      ・        。


             H

       ◯

  @    ・            .   


    △    ,


            臭   


     ☆  


                   ・       。


 H

              

           …    ・

              


    変

        



               。




「文章正常化ブリーズ!」


 変態おじさんとは違う、男性の声がした。


 直後に、フワッと優しい風が吹き抜けた。



 ……。


 …………。



 私が目を開けると、心配そうな茜の顔があった。


「春香、大丈夫?」


「う……うん」



 しゃがみ込んでいた私は、ゆっくりと立ち上がった。


「あれっ? 文章が元に戻ってる……」



 あれほど狂乱していた変態文章が、正常に戻っていた。


 私は、心の底から安堵した。



「よ、良かったぁぁ……。このまま私も茜も、グチャグチャになって、死んじゃうのかと思ったよ……」


「でも、どうして文章が元に戻ったんだろーね?」



「それは、私が戻したからですよ!」


 どこからともなく、先ほどの男性の声が聴こえた。


 私達は周囲を見渡した。



 すると突然、私の足元からゾンビの様に、モソモソと這い出てくる男性がいた。



「きゃっ!」


 私は驚いて、思わず尻餅をついてしまった。



 茜が駆け寄ってくる。


「こらっ! しつこいよ、変態ジジイ!」


 ガスッ、ガスッ‼︎


「痛い、痛いっ!」



 土を掻き分け、這い上がろうとする男性を、茜が蹴り付けた。


「こ、こらっ、やめなさい!」



 それは明らかに、変態おじさんの声ではなかった。


 それに裸ではなく、スーツを着ている。



 私は立ち上がると、茜を制した。


「茜っ、あの変態おじさんじゃないみたいだよ!」


「えっ? 違うの?」



 男性は「痛いなぁ……もう」と、不満そうな顔で、地面から出てきた。


 土で汚れた紺色のスーツをパンパンと叩くと、眼鏡の位置を整えた。



 彼は長身で真面目そうだが、どこか頼りない印象を受ける。


 怪訝な顔で見つめる茜が「あんた、もしかして……」と、喋りだした。


「春香のパンツ、覗こうとしてたんでしょ⁉︎ 地面から‼︎ とんでもない変態ね‼︎」



 男性が眉を吊り上げ、首を左右に振る。


「いえ、違いますよ! この小説へと瞬間移動したら、たまたま地面の中だったんです!」


「瞬間移動?」と、茜が眉をひそめた。


 男性は息を整え、コホンと一つ咳をする。



「……申し遅れましたが、私は小説警備隊、阿部ウミジという者です」


「小説警備隊?」


「ええ、小説の中に侵入し、悪さをする死神から、物語を守るのが私達の使命なのです!」



「……なにそれ?」


 茜が、ポカンと口を開けた。



 きっと私も、同じ顔をしているのだろう。


 ちょっと意味が分からない。



「実はですね。この小説、本来は君達二人の青春友情物語だったのです。ですが変態死神男・鬼沢マサクニが出現したため、グチャグチャになってしまったのです」



 ……?


 ……?



 私達は困惑して、お互いの顔を見合わせた。


 阿部さんに顔を戻すと、私は呟いた。



「変態……死神男……鬼沢マサクニ……?」






つづく……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ