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13 再会

最初に着いた場所はどこかの森の中のようだ。


アルフレッドにしがみついたままのセリーヌはそろそろと目を開けて周りの様子を見る。


「セリーヌ…確かにしっかり掴まっていて欲しいとは言ったが…」


アルフレッドの予想以上にぎゅうぎゅうに抱きついていたらしい。


「申し訳ございませんっ、振り落とされないようにとつい力が入ってしまいました…」


パッと手を離し一歩離れる。


「いや、僕が言ったのだからいいんだが…なんというか…その……いや、いい、そのままで」


なんとも歯切れが悪い王太子である。


「少し力を緩めますわ」


「そうか、そうしてくれると色々と助かる…」


口を押さえて上を見ている顔が赤くなっているように見えるのは気のせいではあるまい。


「ところでここはどこなのですか?」


アルフレッドは仕切り直すように一つ咳払いをする。


「ここは昔、鍛錬を行なう為に騎士団と共に訪れた事がある場所だ。この辺りには凶暴な獣がいて近くの村が荒らされていたからその討伐も兼ねていたんだ」


「アルフレッド様自ら討伐に行かれるのですか?」


「あぁ。僕だけ安全な場所にいるわけにいかないからね。それにいつ何時命を狙われてもおかしくない立場だから、それくらいのことが出来なければ自分の身を守る事もできないよ」


「そういうものなのですか…以前、私の兄にアルフレッド様の剣はこの国一だと聞いた事があります」


「そうか、そういえば君の兄は第二騎士団の副隊長ロナウドだったな」


「ええ、ご存知でいらしたのですね」


「あぁ、もちろん。君の父、赤の魔王も有名だけど君のおじいさんはこの国の勇者として名高い方だからね。その子であり孫となれば本人の重圧は相当なものだったと思う」


「何だか嬉しいような恥ずかしいような複雑ですわ」


勇者と魔王がいる家柄等どこを探してもマルグリット伯爵家くらいだろう。


さらには魔女もいるのだからこうしてみると皆色が濃い家族である。


「恥ずかしい事等ないさ。ロナウドとは昔ここで何度か剣を交えた事もある。懐かしいな」


「兄とは一年に一度屋敷に帰って来たときにしか会えませんし、騎士団での話は今初めて聞きました」


「そうか、あまり口数の多い男ではないからな。でも騎士団では部下からの信頼は厚いようだ」


「そうですか、兄も頑張っているのですね」


家族を褒められると何だかくすぐったいけれど、やはり嬉しい。

寡黙だがいつも優しい兄の姿を思い出す。


(きっとお兄様にも今回の事は色々心配かけてしまってるわね)


「ロナウドの話は今度ゆっくり聞かせてあげるよ。ではそろそろ行こうか」


思わぬ所で立ち止まってしまったと言いながら手を伸ばす。


「はい、では失礼いたします」


先程の体勢になり、今度はアルフレッドの脇の下辺にそっと触れる。


アルフレッドの左腕がセリーヌの肩を包む形になるはずが、移動する為に集中しようと目を閉じた為にちょとしたズレが生じてしまい、セリーヌの脇の辺りに手が触れてしまったのだ。


驚いたセリーヌが「ヒャッ」と声をだすと同時にアルフレッドの両脇を思い切り掴んでしまった。


そのタイミングで移動魔法が発動されてしまい次の瞬間には二人して海へ落ちた。


幸い膝くらいの浅瀬に落ちたお陰で溺れる事は無かったが、びしょ濡れである。


「…すまない。少し位置がずれてしまったようだ…」


「…ふふっ、私達ビショビショですわね」


「ははっ、そうだなびしょ濡れだな。でも何だろう、セリーヌといると何でも楽しくなる」


そう言って笑うアルフレッドはどこか少年のようだ。


その姿にまたもやセリーヌの胸はドキリとするが、よく分からない事は気にしないことにする。


「ふふふっ、私もアルフレッド様といると楽しくなります」


アルフレッドが王子様らしく紳士的に手を差し伸べエスコートしてくれる。


「どうぞお手を、お姫様」


「まぁ、本物の王子様にエスコートしていただけるなんて嬉しいですわ」


そうして二人でクスクス笑いながら浜に上がった。


「どうしてここに…セリーヌ…」


突然声のした方に視線を移すと、まさかこんなにすぐに会えると思っていなかったダニエルが目の前に立っていた。


驚きと不安が入り乱れたような顔でこちらを見ている。


「ダニエル!」


「ダニエルお兄様!」


あまりの驚きに驚愕して固まっていたダニエルはハッと我に返る。


「どうしてここにいらっしゃるのですか…アルフレッド様」


「お前とミオーネを探しにきた」


「どうしてこの場所が…」


「ダニエルお兄様…」


「セリーヌが夢で見たのだ。お前とミオーネが海にいるところを。海といえば昔お前とシモンと3人で来た師匠のいるこの海だと思ってな」


「セリーヌが夢で…もう目覚めたのか…」


「私が十日間眠り続けていた事を知っていたのですか??」


「眠り続けていた?なんの事だ?」


何だか話がチグハグだ。


「その話は後だ、ミオーネはどこにいる?無事なのか?」


「それは…はい…無事ですが…」


目を閉じて何かを考えているようだったダニエルが何かを決意したようにキッと睨んできた。


「ミオーネ様をお渡しするわけにはいきません」


「ダニエルお兄様!アルフレッド様はお二人を保護するために探していたのです!」


「セリーヌ…すまない。それでもミオーネ様を王都に戻してしまったらだめなんだ」


「どういうことだ?何があった?ダニエル。常に冷静なお前がこんな事をするということは何か余程の事があるのだろう。話してくれないのか?」


そこへまたもや思いがけない声が響く。


「セリーヌ??アルフレッド様…兄上も…」


そこにはシモンが立っていた。

なぜか傷だらけで…


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