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五行の剣 ~再会は異世界で~  作者: 三ケ月 九音
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第九話 女王様

第一章: 剣技大会


第九話

女王様




 夜、いつもの食堂兼酒場のカウンターでひとりエールを飲んでいると、不意に後ろから声を掛けられる。


 「こんばんわ、お隣座ってもいいかしら?」


 チラッと見ると、本選1回目の会場に居たビキニアーマーのスラっとしたポニーテールの美人なお姉さんだ。

 上下赤で統一され、レザー調の太ももまである長いロングブーツが艶めかしい。

 今夜のオカズがご降臨されました(爆)


 思わず小躍りしそうな衝動をかけなしの理性で抑え、ポーカーフェイスを気取ってエールを口に含む。


 「・・・ああ、どうぞ」


 「マスター、私にもエールちょうだい」

 「オヤッさん、何かつまみ追加してくれる?」


 オヤッさんからエールとつまみを受け取る。


 「初めまして、私はエルザ。 本選3回戦に進む保持者候補よ」

 「初めまして、俺はキース。 俺も同じだ・・・って知ってて来たんだろ?」


 3回戦ともなると4人しかないため出場者の面子は絞られる。

 実際は5人だが、シードの出場枠である先代の五剣保持者は決勝で当たるため、一般枠の3回戦は4人だ。


 「まあね、悪く思わないで欲しいんだけど、てっきりファルコが勝ち上がると思ってたから」

 「ファルコ?」


 聞き覚えのある名に、片足を失った男を思い浮かべながらエールを口に運ぶ。


 「金色のファルコ、ハゲ頭の槍使いよ」

 「ブフゥッ! フゴッ! ゴフッ!」


 口に含んだエールが勢いよく鼻から噴き出た。


 「ちょっと、大丈夫?」

 「ああ、すまん、大丈夫だ」


 (マジか!? 慶次じゃなく、北斗だったのか? だから反応が無かったのか?)


 「彼とはちょっとした因縁があってね。 彼用の新アイテムを作ったんだけど無駄になっちゃったみたい」

 「へえ、因みにどんなアイテムか教えてもらっても?」


 アレには散々苦労させられたからな、どんなアイテムなのか興味はある。

 簡単に想像できるのは、サングラスのようなモノだけど・・・

 何となく予想がつく答えをイメージしながらエールを口に運ぶ。


 エルザはゴソゴソと鞄の中からソレを取り出し、おもむろに装着した。


  「ブホゥッ! フガッ! フゴッ!」


 またもや口に含んだエールが盛大に鼻から噴き出た。


 エルザが鞄から取り出したのは、前世で鞭を持った女王様が付けるアイマスク。


 「ちょっと! 本当に大丈夫?」

 「ああ、いやすまん、本当に大丈夫だ」


 バカにしてるのか? バカにしてるんだろ?


 ビキニアーマーとロングブーツ、それにアイマスクって、完全に女王様じゃないか!

 しかもアイマスクの目の所は、ただの空洞じゃないか!


 AVでしか見たことがない存在が、こんなところにいるとは。

 (・・・まさか、コイツこそが転生者?)


 心の動揺を抑え込み、ふと気になったことを聞いてみる。


 「で? 武器は鞭か?」

 「え? いえ剣よ」


 (そこは、鞭にしとけよっ!)

 心の突っ込みも虚しく、転生者の線は綺麗サッパリ消え、話は振り出しに戻る。


 「とくかく、私はファルコを倒した貴方に興味があるわけ」

 「(俺はアンタの身体しか興味ないが)・・そうですか」


 「貴方の剣はどこで習ったの? あんな早い動きは初めて見たわ」

 「我流だよ、我流」


 「へー、我流ね。 でも・・・代償も大きそうね」


 少し含みがあるような言い方をするエルザ。

 (3分間のウルトラタイマーを言っているのか?)


 「そうでもないさ」

 「ふーん・・・」


 見透かされていることを悟られないように見栄を張るが、バレテーラ。

 悔しいから、こっちもエルザの手札を探る。


 「こっちの技は見てたんだろ? そっちはどんなプレイが得意なんだ?」

 「ぷれ?」


 「ああ、いや、どんな攻め方をするんだ?」

 「攻め方?」


 エルザの見た目に惑わされ、思わずアッチ方面の言葉が口を衝いてしまい、頭を抱えてしまう。


 (ん? 最後の聞き方は間違ってないよな?)


 結局、語彙力が乏しいため、アッチ方面に行かないようストレートに聞いてしまう。


 「ああ、すまん、攻撃の種類のことだな」

 「ふふふ、ひ・み・つ。 女の秘密を暴こうなんてダ・メ・よ。 でも、ヒントくらいなら教えてア・ゲ・ル」


 推定Dカップの谷間と整った顔がゆっくりと近づき、片目を瞑りつつ人差し指を口にあて、妖艶な表情で童貞のHPを無遠慮にゴリゴリと削ってくる。

 女性耐性のない俺の魂を鷲掴みにされグイグイと引っ張られたが、このまま女王様の犬になるわけにはいかない。


 まだ見ぬ世界への未練を愚息よりも硬い意志で振り切る。

 だって、33%の確立で対戦相手になるかも知れない手の内が暴けるなら僥倖じゃん。

 では早速、手の内をゲロってもらいましょー(上機嫌)


 「ヒントはねぇ~、鎖かな?」

 「鎖?」


   鎖、、、首輪→ペット→お散歩(露出)→羞恥→新たな目覚め!


 うん、なるほど。


 「そうか、覚醒魔法か」

 「覚醒魔法? そんなの聞いたこともないけど、なんだか凄そうな魔法ね」


 「そうだな、人生が360度+180度、変わるほどの魔法だろう」

 「だろう?」


 「俺も味わったことは無いからな」

 「へぇー、そうなんだ。 クスクス」


 アイマスク以外、見た目もスタイルも仕草も抜群なんだが、性活スタイルが違いすぎるからな。


 「ふふふ、あなた面白いわね。 今度付き合わない?」

 「・・・考えておくよ」


 いやいや、童貞にいきなりのアブノーマル界はキツイので遠慮しときます。




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