第二話 本選準備
第一章 剣技大会
第二話
本選準備
ーー五剣が奉納されてから20年後
これまで4代の保持者が選定・解任され、5代目の保持者を決める剣技大会が開催されていた。
有象無象が集まった予選が終わり、明日から本選が始まろうとしている夜の酒場ではーー
「はあ、今回も予選落ちかぁ 最後の挑戦だったのになぁ・・・」
「なーに、後はオレ様に任せろ! 5代目の保持者になって部隊の雑用係にでも使ってやるからよ! ガッハッハッ」
エールをガブガブ飲みながら、大男の声が酒場の喧騒に溶けていく。
「たく、5年毎なんて誰が決めたんだよ! こちとら今年で25なんだぞ!毎年やれってんだ!」
「ガッハッハッ! これからはカミさん相手に愚息でも振るうんだな! ガッハッハッ」
「くそっ、馬鹿にしやがって!」
グイーと、悔しさをエールで喉奥に流し込む。
ーーここはグロンド王国。
5年に1度、五剣の保持者を決めるため、剣技大会が開催されている。
これまで4回の大会が行われ、剣技に優れた4人が輩出されてきた。
剣は歳を取らないが人は歳を取る。
体力や気力が落ちた時、其れ即ち国が落ちる時。
そうならないように王国の護り手の質を実力者で維持しているのだ。
「ふぅ、剣の手入れも終わったし、メシでも行くか」
宿の部屋から出て、階下にある食堂兼酒場に向かう。
「あ、オヤッさん、エールといつものヤツよろしく!」
「おう、キース! ジージー鳥の唐揚げと串焼きだな!」
注文した後、カウンター席に座り、木製ジョッキに注がれたエールが差し出される。
エールはビールほど喉越しはよくないが、慣れたこの世界ではビールに代わる貴重な癒しだ。
前世でいうところの”お通し”が欲しいところだが、そんな気が利いたものはない。
ここの唐揚げは、遠い昔食べた味に近くて、串焼きも塩が効いてて俺好みだ。
最初に食べたときは自然と涙が出て、オヤッさんが心配して思わず笑ってしまった。
米が無いのが残念だが、無いものはしょうがない。
「そういえば、キース! 今日も勝ったそうじゃないか!」
「ああ、なんとかね」
カウンター席と調理場は併設されており、席からオヤッさんの背中を見ながら、飯がくるまでエールと会話を楽しむ。
「なーに謙遜してんだよ! 保持者になるんだろ? じゃぁ、もっと食わねえとな!」
「ハハハ、そんなに食ったら動けなくなるよ」
「なーに言ってんだよ、後10人位倒しちゃあ保持者だろ?」
「後4人だよ、今日で予選も終わりだしね」
「はいよ、お待ちどうさん」
早速、唐揚げにかぶりつく。
「ハフッハフッ、アチッ、んまっ! やっぱオヤッさんのメシは最高だなー!」
「あったりめえよぉ、そこらの店と一緒にするなよなっ!」
”ハハハ”と笑いながら大好物の味を噛みしめながらオヤッさんとの会話も楽しんだ。
さてと、腹も一杯になったし、明日も頑張りますか!
保持者になるためにーー