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花の唄が聴こえる  作者: FRIDAY
序:ひとりと一匹は旅に出た
1/63

1 春の日差し

 天気がいい。

 雲は空の二分といったところか。日差しは既に春の柔らかさを脱ぎつつあるもののまだ陽気さを失ってはおらず、地を撫でゆく風にはまだまだ涼しさが残っている。暑い夏は間近かもしれないが、春の残り香を感じさせる、そんな天気だ。

 桜はその花のほとんどを散らして葉桜となっており、街の至る所に設けられた花壇からはいよいよ夏の花々が萌え出ようとしている。花見の季節も終われば、冬の寂しさを抜け出した街が夏へ向けて本格的に動き始める。野菜売りを見れば春の野菜を安売りし、魚屋を見れば一足早い夏の魚が、鮮度を保つための魔法で加工された状態で並んでいる。海からは距離があるため、魔法により鮮度を保たれたものは総じて多少値が張るのだが、安く売られる干物はまだ生産が追い付いていないらしく、並んでいる干物は春の魚だ。

 そうした品々を眺める人々も、街道をどこかへ急ぎ足で向かう人々も、春物から夏向けのものへと衣替えをしつつあった。

 街全体が夏となるのにも、もうそれほど時間はかからないだろう。


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