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第6話 魔王消滅

「おひさー、元気だった?」


「息災さ」


『俺の出番てことは大仕事かい? 尻目の旦那』


 雷獣。体は60センチほど、子犬くらいの大きさ。前脚が2本、後脚が4本、尻尾は二股。もちろん彼も妖怪だ。

 元は話ができない妖怪だが長く生きているうちに自然と話せるようになったらしい。このように長寿の妖怪は人間の言葉を話せる者がけっこういる。


「ああ、なかなかに強いやつがあらわれるらしい」


『しっかし時期が悪いね。雷雲は近くにないな』


「ちょっと遠いがカタトゥンボまでお願いできるか」


『良いぜ。連れてってやろう』


 雷獣が口から煙のようなものを吐き出す。

 ほどなくして彼の前にふわふわと浮く小さな雲ができあがった。


『よっこしょっと。んじゃ乗んな』


 俺は雲の上に乗った雷獣の上にまたがる。


「お代はいつもの口座ねー」


「はいよ」


『んじゃいっくぜー、しっかりつかまっておけよ』


 凄まじい速さで発進。

 と、危うくビルにぶつかりそうになる。


『お、わりいわりい』


「気にしてないさ」


『ヘヘッ』


 スピードは早いがコントロールは少々雑なところがある。

 空飛ぶ妖怪数あれど、彼にお願いしている理由は雷が大丈夫な妖怪は彼くらいだからだ。電気を大量に吸って帰ってくるのである程度電気耐性が必要なわけだ。


『あとは真っ直ぐ飛ぶだけだ』


 あっという間に雲よりも上に来た。

 ここからだとだいたい15000キロメートル。片道一日の旅だな。


 約一日後、目的地にたどり着いた。


『相変わらず雷が落ちまくってるとこだな』


「世界中探してもここぐらいだろう。一日中雷が落ちてる場所なんて」


 雷が一番多く降ってきそうな場所に到着。雷獣の背から降りた。


「ありがとう。しばらくかかるからのんびりしていてくれ」


『一休みさせてもらうよ』


 雲に乗りいずこかへと飛んでいった。


「さてと電気の補充をするか」


 自然で電気を集めるとしたらここが一番。雷雲は季節や運が必要だからな。

 人間が作る電気を集めるっていう手もあるけどそれをすると吸い取った地域で停電となる。緊急事態のときだけにしておかないとな。


 三時間ほど落ちてきた雷を吸収し続ける。


「うっぷ。こんなもんかな。ちょっと食べすぎたか」


『おう、おわったか』


「いいタイミングできて来てくれた」


『雷雲が無くなっちまったからな。ここで夜空の星が見えるなんて珍しいんじゃないか?』


 空を見上げる。なるほど、雲がない。あっ、流れ星。

 どのみちお腹いっぱいでこれ以上充電できないがな。


 予定より早いがさっさと帰って用事を済ませてしまおうかな。

 行きと同じように雷獣の背に乗り、日本へと帰る。


「ただいまマイン」


「おかえりなさい。はやかったですね」


「スムーズに進行してね」


「それじゃ、魔王がいるところへ連れて行ってもらえるかな」


「おっと、マインの移動方法は、っと」


 カタトゥンボに行っている間に思いついた方法を試すことにした。

 ノートパソコンでゲームを立ち上げてそちらに移動させてみた。成功、いいね。


「場所はどこだ?」


「ここです」


 パソコン内に入っていた地図を取り出して場所を指差した。


「中央公園か」


 目的地に到着。


「公園の中心あたりですね。そこをしばらく掘ると黒い塊があるはずです」


「掘り出すと復活しちゃう?」


「いえ、私が封印を解かない限り復活はありません」


 ふむ、広いしここで戦闘をしても大丈夫そうだな。


「ただ角度が重要だな」


「?」


 ぶつぶつと呟きながら魔王を倒すシュミレーションを頭の中で繰り広げる。


「高台に上げて、ラインの安全の確保も」


「よし、決まりだ」


 スマホを取り出し電話をする。


「高山さん、数人借りたいんだけど可能かな」


「可能だ。いつでも良いぞ」


「助かる」


 あとは高台か。掘った土を盛り上げるか。スコップをいくつか買いに行った。

 しばらくして天狗たちが応援に駆けつけてくれた。


「それじゃここを掘ってそこに土をかぶせていってくれ」


「おうよ」


 掘っていくと地下5m位のところで黒い球を見つけた。


「マイン、これか?」


「はいこれです」


「尻石さん、コイツをこのまま破壊してみてはどうだろう」


「ん~、もしこの玉が異常に硬かったら面倒なことになる。復活させてからのほうがかたいか」


「そうだな」


 土を盛りあげ上に黒い球とノートパソコンを置く。天狗達には空へ飛んでもらって打ち合わせ通りの配置についてもらう。


「高山さんどうだい」


「全空域で飛行物体はないようだ。今ならいいぞ」


 準備は整った、俺は掘った場所の一番低いところに待機した。


「マイン、封印を解いてくれ」


「はい」


 小声で呪文のようなものを唱えると、マインの体が青白く光りだした。

 その光が黒いたまの中に吸い込まれていく。


「封印をときました。もうじき復活します」


「ご苦労さん。高山さん、安全な位置まで下げてやってくれ」


 ほどなくして玉に変化が起きる。


『ギュイーン』


 黒い玉が高速回転しながら少し浮き上がる。魔法陣ってやつかな? それが上下に現れ、中心にある黒い玉に向かって魔法陣から黒い稲妻のようなものが注がれた。

 そして急にたまの回転が止まるとともに魔法陣も消える。


『バキッパリン』


 ガラスが割れるような音と同時に玉が肥大化、直径2メートルほどの大きさになったところで爆発が起こった。


『グワーハッハッハ。俺の封印を解くとは気でも狂ったか、マインよ』 


 復活したようだな。


「高山さん最後の確認だ」


 スマホで空にいる高山に電話する。


「OKだ」


「わかった」


 ん~、作戦通りとはいえスマホが壊れちゃうかな? まあ仕方がないか。


『どうした? そこの……なんだおまえは!』


 当然今、顔のパーツはついていない。とはいえ魔王なんだからそのくらいで驚かないでもらいたかった。


「それじゃ始める」


 瞬時に服を脱ぎお尻の目を魔王に合わせた。


『ズギャーーン』


 音と同時に極太のレーザーのような雷が魔王を襲う。


『なんだこ……グヤーーー!』


 レーザーは魔王を吹き飛ばし上空の雲も吹き飛ばした。

 よし、片付いた。


「尻石さんの全力の『雷閃光』は相変わらずやべえ破壊力だな」


「はっはっは。さてこの後土を埋めて終わりだ」


「おう」


 マインは木の陰から大きく口を開けてこちらを見ていた。


(な、何今の)


「おし、終了。撤収しよう、おつかれさん」


「あ~い、またな」


 天狗達は空を飛んで帰っていった。


「んじゃ帰ろうか、マイン」


「は、はい」


 部屋に戻ってマインに若者の開放をお願いした。

 数日後、全ての若者を開放してこの件は終わりとなった。

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