表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

3 アレン再び



 「フィオーレン!! お前との婚約を破棄する!!」

 高々とこの国の、第二皇子アレンが言い放った。



 はい皆様!! もうお馴染み、国王陛下、御生誕50年のパーティー会場の場だ。



 「げっ!? マジか!!」

 見た目は才色兼備、中身は女子高生。フィオーレン侯爵令嬢はまた驚いた。意外とイケるんじゃ……と思っていただけに、残念だ。



 ……難し~~~い。



 「うっひょ~ぅ!! 出ました~~伝家の宝刀・婚・約・破・棄!!」

 人が軽く落ち込んでいるのに、両方の人指し指を立て、ふざけているこのバカはケイン。フィオーレンの実の弟だ。この乙女ゲームの世界でも、転生前の世界でも弟だ。バカだが超イケメンなので、残念だが女子に困っていない。

 「…………なっ!?」

 アレン皇子は、絶句した。軽い軽くない以前に、こんな話し方をする人間がこの世界にはいない。おまけに不敬だった。

 「このクソゲーが!! また婚約破棄だし!!」

 フィオーレンは着けていた手袋を床に叩きつけた。

 「だ~か~ら~、ゲオルグルートの公園イベントの選択は、1・2・2だっつたっしょ? なして3番、選択したし?」

 「しるかボケ!! 1、2、2なんて言われても、わかんないっつーの!! 普通の会話にポップ画面がでるかアホ!!」

 ここは乙女ゲームの世界ではあるが、ポップ画面なんて出ないし、その時々で相手の好感度が上がる選択肢を、自分で考え選ばなければならないのだ。そして、その選択肢をまさに間違え、仕方なしにアレンルートに変更していたのだ。

 「途中まではマジでいい感じだったのに~。 姉ちゃんの技量(スキル)に"選択肢"があれば良かったのにな。」

 「マジ、それな!!」

 フィオーレンは大きく頷いた。選択肢があれば良さげなのを選べる。自分ですべてを覚えて言うのは苦痛でしかない。



 「……お前ら……俺を無視するな!!」

 完全にかやの外だったアレン皇子が、怒って声を上げた。"婚約破棄"という、大事な場面が訳の分からない会話で台無しだった。

 「「 うっせぇし!!」」

 フィオーレン、ケインの姉弟はハモり言葉をぶった切る。そっちも大事な場面かもしれないが、こっちはもっと大事な場面だ。人生が懸かっているのだから。

 「…………な。」

 まさか二人に、反撃を喰らうと思ってもいなかったのか、アレン皇子は絶句である。

 「大体てめぇが、毎回毎回キャスリンなんかと、いちゃコラすっから破滅ルートに行くんだろーが!! いい加減飽きろや!!」

 毎回それに、付き合わされているのでケインもブチ切れ気味。だが、そんな複雑な事情を、知らない皆は唖然でしかない。

 「ハイハイ!! やり直し~~!!」

 パンパンとフィオーレンは手を叩く。やり直すしかない。

 何がどうやり直しなのか、他の皆には全くわからない。それどころか、この姉弟は頭は大丈夫だろうか、と畏怖を感じていた。



 「…………はぁ。」

 皆が唖然呆然するなか、深いため息をつきながら、渋いイケメンがゆったりと歩いてきた。

 「お父さん……後処理があるから……先に帰っていなさい。」

 父こと宰相様が疲れたように、手をヒラヒラさせて二人を追い出す。

 「「わかった~~!!」」



 何がわかったのか、後処理とはなんの事なのか、誰一人としてわかる者はいなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ