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乙女ゲームの悪役令嬢は、ハッピーエンドを模索する〈連載版〉  作者: 神山 りお


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10/20

10 どのルートに行くべきか?



 フィオーレンの住む、侯爵家は広い。もちろんそれに似合った庭も広い。学校の校庭など悠々に入るその広さは、フィオーレンにとっては、物事を考える場所になっていた。現代の家とは違い、庭師もいて花や木々は、さながら、どこかの美術館の庭園の様だ。


 「……はぁ……。」

 とある日、その屋敷の庭の一角でフィオーレンは、深い深いため息をついた。自分の進むべき道についてを考えていた。



 この乙女ゲーム、裏ルートの悪役令嬢には、4人の攻略者がいる。

 この国の第2皇子である、アレン。

 隣の国の軍人、ゲオルグ。

 伯爵家の長子、マイク。

 そして、謎の男、ローウェル。



 別に、攻略者以外の人を選ぶ手もある。

 だが、攻略者以外の人を選ぶと、即刻、破滅ルートに行く。

 婚約者になる、アレン皇子が自分以外は許さないと、あらゆる権力を使って、潰しにかかるのだ。

 ゲーム補正なのか、父と母の力をもっても、変えられなかった。

 1度目は、母の国との戦争に発展しそうになり、リセット。

 2度目は、父が暗殺されそうになり、リセット。

 3度目は、使用人が父を庇い、リセット。

 4度目からは、もう考えるのをやめた。



 アレン皇子は、婚約するまでは嫉妬に狂う程、フィオーレンを愛してくれる。だが、婚約をすると途端に、放置する。

 いわゆる釣った魚には、エサをやらないタイプだ。

 フィオーレンを手に入れた事で、満足して終わったのだろう。

 婚約した後なら、興味がそれるのか、あっちこっちと手を伸ばして、アレン以外を試みても平気なのだ。婚約前はダメ。だから、皆が不幸になる婚約前はやらない。



 フィオーレンは、婚約した直後から、何度も何度も、この世界を繰り返していた。

 「フィオーレン!! お前とは、婚約を破棄する!!」

 この言葉を何度も言われている。何度言われても、胸は痛むし、もう言われたくはない。

 「……はぁ……。」

 もう一度、ため息をついた。

 アレンは婚約した途端に、浮気をする。たぶん父親の後ろ楯目当てもあっての事だから、手に入り次第ようなし……って事だ。愛しているなんて言葉も、絵空事なのだろう。


 だが、バカだな……と、思う。

 宰相の後ろ楯がなくなった時、自分に降りかかる火の粉を、どうするつもりでいるのか。

 それとも、一度でも自分を愛してくれたフィオーレンが、他を選んでも、変わらず自分を支えてくれるとでも、思っているのだろうか?

 だとしたら、あの主人公キャスリン並におめでたい。



 なら、やっぱり……ゲオルグにした方がいいのか。

 ゲオルグは軍人で、堅物。出逢いさえ上手くいけば、母のコネもあってなんとかなる……かもしれない。

 だが、最近は邪魔者マイクの存在がある。何故かちょいちょい割り込んで来るのだ。

 リセットのやり過ぎで、ケインのいう通り"バグ"が発生し始めたのかも。なら、そろそろ決着をつけなくてはいけないのだろう。



 ……ゲオルグか……アレンの2択だ。



 マイクは、結婚した後、狂愛するという恐ろしい少年なので絶対にない。嫉妬に狂って、地下に軟禁させる……という未来になる。



 ローウェルは、謎だ。

 攻略をした事のあるケインいわく、拐われたり、暴漢に襲われかけたりしていく内に愛に発展して、ゴールインするらしい。

 主人公キャスリンのハッピーエンドの"スチル"はあったが、悪役令嬢とのハッピーエンドの"スチル" はなんだか、ボヤかしてあって見えない仕様だったらしい。

 父に至っては、楽しく暮らしたらしいよ? としか言わない。というか覚えてないらしい。使えない。

 なのに、得意とか言ってくれる。もう一度言う使えない。



 「……はぁ……。」

 フィオーレンは、何度目になるため息をついた。アレンとのハッピーエンドなんかあるのだろうか。



 「……お嬢様……あまりため息をつきますと、幸せが逃げますよ?」

 そんなため息ばかりついていた、フィオーレンの後ろから優しい声が聞こえた。

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